使えない私が何故か溺愛されてるんだが！？

１.異能犯罪取締課です！

９

課長助けて＿＿＿＿
そう願った瞬間、先ほどまで私の腰に手をまわしていた男が、何メートルか先の壁までぶっ飛んでいた。
「天海くん！大丈夫か！？」
ああ、課長の異能だ。身体能力の大幅な向上。
良かった。助かった。本当に気持ち悪いし、ナイフを突きつけられていたりで、ほんとにほんとに死ぬかと思った。安心感からか、涙が頬を伝った。
「あ、天海くん！？すまない、大丈夫か？？」
課長があたふたと慌てふためいている。
優しいなあ。
私を見つめる瞳も、心配してくれる声も全部、全部＿＿
「大丈夫ですっ！ありがとうございます！！」
本当に私は課長が大好きだ。
私はハッと我に返り、手錠を取り出し、吹っ飛んだ男のもとへ行く。
「.....異能取締課のものです。麻薬所持は違法なので、取り締まらせていただきます。警察署の方に引き渡しますので。」
冷静にそう告げた。
吹っ飛ばされた男は気を失っていたため、何も言わなかった。
ああ～！！ほんっとうに怖かった....死ぬかと思った。私まだ課長のこと見つめてたいし、もっと課長と話したいのに、死んだらそれもできなくなるところだった。
「天海くん、ありがとう。これで仕事完了だ！このままパーティーでご飯食べたりして楽しんでいいぞ。」
「え、ほ、ほんとですかっ」
まだあの美味しいケーキとかを食べられるってこと！？
嬉しい～吐きたくなるくらいおなか一杯甘いものたーべよ！人生で一番ケーキ食べられる日になると思うし、後悔しないようにいっぱい食べるぞっ！！
ふと課長のほうを見ると、なにやらメールを確認しているようだった。
ん、課長は一緒に楽しまないのかな？
「課長は一緒に楽しまないんですか？？」
私がそう聞くと、一瞬悲しそうな顔をした気がしたが、笑顔になって言った。
「え、いいのか？このメールを確認したら私も食べようかな。」
「はい！！」
課長と一緒に楽しめるなんて！嬉しすぎてケーキを食べる手が止まらないよ！！
パクパクとケーキを食べていると、課長がこちらに近づいてきた。
「あ、天海くん....その......」
「？？どうかなさったんですか？？」
「課長....じゃなくてさっきのようにこれからも呼んでほしいんだが....」
「ふぇっ？」
んんんん？課長のお顔が赤く染まっていく。課長じゃなくて、花崎さんって呼べってことかな？？
え、そんな！そんなの！恥ずかしすぎて私の心臓が持たないんですが！？
「は.....花崎.....さん」
「！！」
うわあああ！私今絶対顔赤い！体中の熱が顔だけにこもっているような感じがする！
でも、花崎さんが顔を赤らめながらも嬉しそうに笑っていたから、なんだか私も嬉しくなってしまった。