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1日目
3話「第一村人発見」
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俺達はあの最初の村に戻っていた。
「で、あれ何? ミッションなんて出てなかったぜ?」
「俺が知るかよ。というか、あれかこのゲーム、レベルもないんだな」
KKポイントは少しだけ入ったが、経験値らしき物が見当たらない。
ある意味シンプルで嫌いではない。
「っぽいな。KKポイントで上がるランクぐらいか? いや、でもスライムにはレベル表記あったぜ……訳分からん」
肩をすくめるチチパイの仕草はオーク姿に妙に似合っていた。
まあクソゲーに整合性を求めても仕方ない。
「村とか人とかを襲う以前にスライムに勝てないとかどうよ。一生村から出れないぞ」
「さっきのミッションの女騎士は糞雑魚だったけど。バランス調整クソか?」
「だからクソゲーなんだろ?」
「そうでした。まあとりあえずデスペナはなかったし、スライムの行動パターン把握しようぜ!」
こうして俺達はスライムを倒すべく、凸っては死ぬを繰り返した。
ちなみにあの謎闘技場にリスポンすることはなかった。
何だったんだよあれ。
「結論から言うとだ。現時点の装備で倒すのは不可能に近い」
「賛成だぜ。物理無効に、全部の攻撃がワンパン。あれは無視して駆け抜けろって事だな」
あのニュー棍棒で遠くから攻撃しても、スライムのHPゲージは1ミリも減らなかった。
あの謎当たり判定は、見事にスライムの身体を素通りした。
近付けば、
・触手薙ぎ払い(即死)
・触手針(即死)
・粘液噴射(即死)
・コア殴り(即ry)
などなどの攻撃で死ぬ。伸ばした触手の先端にコアを乗せて殴ってきた時は、思わず笑ってしまった。それ弱点じゃねえのかよ。
スライムの出る位置の横の森に隠れて他のプレイヤーの動きを観察すると、皆スライムをスルーしていく。
たまに俺らのように挑んで、死んでいくプレイヤーもいたがそいつらは賢いのか次からはスルーしてた。
まあ強くなってから倒せばいい。そう判断して、ほとんどのプレイヤーが駆け抜けていく。
「……まあ素人ならこう考えるだろうぜ」
そうチチパイがドヤ顔しながら俺の肩を叩いた。
「流石だ相棒。そう、初期位置付近の強モンス。あとで倒せばいい。だめだだめだ、その思考の時点で既に運営の手のひらの上」
「初期装備で勝てる要素は絶対にある。そして倒したご褒美は——きっと役に立つぜ」
俺達は伊達にゲームをやりまくってない。
大概こういう強モンスは倒すと、レアアイテムや武器をドロップする。もしくは隠しイベントが始まる。
そして往々にしてそういう物は強くなってから取りに行くと、ゴミだったりする。
「さあ、見せつけてやろうぜ! 俺達の力をよ!」
こうして俺とチチパイはここから5時間、スライム攻略に費やしたのだった。
☆☆☆
「倒せねえじゃねえか!!!」
「何が初期装備で倒せるだ! 全然無理だろ!!」
倒せませんでした。
「火を使うは、良い感じだったんだがなあ……」
「まさかそこから10匹に分身するとは……流石に俺も予想してなかったぜ」
ちなみに、分裂してもあの鬼攻撃力は変わらず、なんならスライムが道を占領し、通り抜けできなくて他のプレイヤーが死にまくった。
割とまじですまないと思ってる。
「どうするよ。とりあえず森を通ってスルーするか?」
「だなあ……これ以上やってスライム増えたら流石に他の奴等に迷惑だぜ」
結局俺らはくそほど時間を無駄にして、ようやく最初の村から離れたのだった。
森の中もビクビクして進んだが、幸い出てくる魔物は、普通に殴って殺せた。
「殴って殺せるって素晴らしいな。神フィールドかよ」
「あとニュー棍棒強すぎて笑う」
そう。ニュー棍棒。あれの謎当たり判定、オブジェクトを無視する事に気付いたのだ。
木の幹やら岩やらなんやらを全て貫通するのだ。ちょっと強い魔物も、木の裏から殴ればノーダメで倒せる。
こうして俺らは魔物を適度に狩りつつ森を抜けた。魔物を倒すと得られるドロップ品——装備用の素材は拾わずとも、勝手にインベントリに入るので便利である。
「見ろ!! 人間の村だ!!」
森を抜けた先には、牧草地が広がっており、その奥にしょぼい木の柵で囲われた小さな村があった。
村の入口付近に風車があり、横に流れる小川沿いには水車が回っている。牧歌的と言ってもいいし、のどかとも言える。
「ひゃっはあああ!! このニュー棍棒が有れば余裕だぜ!!!」
「どうするよ?」
「は? 真正面から突破以外あんの?」
「ねえな」
俺らはにやけながら、棍棒を振り上げて村へとダッシュ。
途中に、可愛らしい少女がいたが、きゃーとか叫びながら村へと逃げていく。
「オークよ! オークが来たわ! 総員——第一種戦闘配置」
ん? 今なんかあの少女が言ったような。
「げへへへへへ全員ぶっ殺してや——」
タッーン、という音と共に、チチパイの頭部に穴が空いた。
「あれ、これ、なんかデジャ——」
俺が言葉を言い終わる前に、目の前に飛んできた手榴弾が爆発した。
……。死因は『村人により爆死』、だそうです。
「で、あれ何? ミッションなんて出てなかったぜ?」
「俺が知るかよ。というか、あれかこのゲーム、レベルもないんだな」
KKポイントは少しだけ入ったが、経験値らしき物が見当たらない。
ある意味シンプルで嫌いではない。
「っぽいな。KKポイントで上がるランクぐらいか? いや、でもスライムにはレベル表記あったぜ……訳分からん」
肩をすくめるチチパイの仕草はオーク姿に妙に似合っていた。
まあクソゲーに整合性を求めても仕方ない。
「村とか人とかを襲う以前にスライムに勝てないとかどうよ。一生村から出れないぞ」
「さっきのミッションの女騎士は糞雑魚だったけど。バランス調整クソか?」
「だからクソゲーなんだろ?」
「そうでした。まあとりあえずデスペナはなかったし、スライムの行動パターン把握しようぜ!」
こうして俺達はスライムを倒すべく、凸っては死ぬを繰り返した。
ちなみにあの謎闘技場にリスポンすることはなかった。
何だったんだよあれ。
「結論から言うとだ。現時点の装備で倒すのは不可能に近い」
「賛成だぜ。物理無効に、全部の攻撃がワンパン。あれは無視して駆け抜けろって事だな」
あのニュー棍棒で遠くから攻撃しても、スライムのHPゲージは1ミリも減らなかった。
あの謎当たり判定は、見事にスライムの身体を素通りした。
近付けば、
・触手薙ぎ払い(即死)
・触手針(即死)
・粘液噴射(即死)
・コア殴り(即ry)
などなどの攻撃で死ぬ。伸ばした触手の先端にコアを乗せて殴ってきた時は、思わず笑ってしまった。それ弱点じゃねえのかよ。
スライムの出る位置の横の森に隠れて他のプレイヤーの動きを観察すると、皆スライムをスルーしていく。
たまに俺らのように挑んで、死んでいくプレイヤーもいたがそいつらは賢いのか次からはスルーしてた。
まあ強くなってから倒せばいい。そう判断して、ほとんどのプレイヤーが駆け抜けていく。
「……まあ素人ならこう考えるだろうぜ」
そうチチパイがドヤ顔しながら俺の肩を叩いた。
「流石だ相棒。そう、初期位置付近の強モンス。あとで倒せばいい。だめだだめだ、その思考の時点で既に運営の手のひらの上」
「初期装備で勝てる要素は絶対にある。そして倒したご褒美は——きっと役に立つぜ」
俺達は伊達にゲームをやりまくってない。
大概こういう強モンスは倒すと、レアアイテムや武器をドロップする。もしくは隠しイベントが始まる。
そして往々にしてそういう物は強くなってから取りに行くと、ゴミだったりする。
「さあ、見せつけてやろうぜ! 俺達の力をよ!」
こうして俺とチチパイはここから5時間、スライム攻略に費やしたのだった。
☆☆☆
「倒せねえじゃねえか!!!」
「何が初期装備で倒せるだ! 全然無理だろ!!」
倒せませんでした。
「火を使うは、良い感じだったんだがなあ……」
「まさかそこから10匹に分身するとは……流石に俺も予想してなかったぜ」
ちなみに、分裂してもあの鬼攻撃力は変わらず、なんならスライムが道を占領し、通り抜けできなくて他のプレイヤーが死にまくった。
割とまじですまないと思ってる。
「どうするよ。とりあえず森を通ってスルーするか?」
「だなあ……これ以上やってスライム増えたら流石に他の奴等に迷惑だぜ」
結局俺らはくそほど時間を無駄にして、ようやく最初の村から離れたのだった。
森の中もビクビクして進んだが、幸い出てくる魔物は、普通に殴って殺せた。
「殴って殺せるって素晴らしいな。神フィールドかよ」
「あとニュー棍棒強すぎて笑う」
そう。ニュー棍棒。あれの謎当たり判定、オブジェクトを無視する事に気付いたのだ。
木の幹やら岩やらなんやらを全て貫通するのだ。ちょっと強い魔物も、木の裏から殴ればノーダメで倒せる。
こうして俺らは魔物を適度に狩りつつ森を抜けた。魔物を倒すと得られるドロップ品——装備用の素材は拾わずとも、勝手にインベントリに入るので便利である。
「見ろ!! 人間の村だ!!」
森を抜けた先には、牧草地が広がっており、その奥にしょぼい木の柵で囲われた小さな村があった。
村の入口付近に風車があり、横に流れる小川沿いには水車が回っている。牧歌的と言ってもいいし、のどかとも言える。
「ひゃっはあああ!! このニュー棍棒が有れば余裕だぜ!!!」
「どうするよ?」
「は? 真正面から突破以外あんの?」
「ねえな」
俺らはにやけながら、棍棒を振り上げて村へとダッシュ。
途中に、可愛らしい少女がいたが、きゃーとか叫びながら村へと逃げていく。
「オークよ! オークが来たわ! 総員——第一種戦闘配置」
ん? 今なんかあの少女が言ったような。
「げへへへへへ全員ぶっ殺してや——」
タッーン、という音と共に、チチパイの頭部に穴が空いた。
「あれ、これ、なんかデジャ——」
俺が言葉を言い終わる前に、目の前に飛んできた手榴弾が爆発した。
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