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31 魔英雄⑥

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「え……っと私も着るのね」

 次はマリヴェラの英雄スーツ着用である。
 マリヴェラの場合は活動というより魔王として衣装という側面が強い。
 スーツは防御力にも秀でており、前述の情報処理能力も加えて危機の時に着ておけば身を守ってくれることになる。
 俺はいったんスーツの着用を解除した。

「ママ、着てみてください!」
「う、うん」

 マリヴェラがママホを操作した。

「変身!」

 マリヴェラは魔王スーツに変身する!

 それと同時に光が溢れ、光がマリヴェラを取り囲む。なるほど外から見たらこんな感じで着させているのだな。
 素材は魔素まそを使っているのか。魔力を得ると物質化する特殊な化学物質。扱いが難しいがテトラの魔導工学技術使えば今やなんのその。

 光が止まり、スーツを具現化される。

「こ、これは……」
「ぶほっ!」

 アルヴァンが鼻血を吹いて倒れた。

「ちょっと! なにこれ……サイズ間違ってない!? 全体的に服がキツキツだし、肌の露出多すぎだし! お尻丸出しじゃない!」

 あまりに過激すぎる衣装だった。
 豊満な胸元が完全に空いており、手足も肌色が多め、慌てるマリヴェラが後ろを向くと安産型のお尻がプルンと見えた。
 思わず凝視してしまう。

「やだやだやだーーーっ! こんなん痴女じゃない!?」

 マリヴェラは恥ずかしそうに体を隠した。
 黒い髪と赤い眼はそのまま、口元だけはマスクのようなもので隠している。

「テトラ早く直して!?」
「え? すごく似合ってるよ」

 素のテトラの言葉に場は固まる。

「そ、そうですよ! ママってスタイルすごくいいですし、魔王だったらこれくらいの露出しかるべきだと思います」

 フィロは動揺しつつも説得する。

「フィロならこのスーツ着れる?」
「……」

 そっぽを向いて無言となった。
 無言のままフィロに腕でつっつかれる……。
 説得しろってことか。

「マリヴェラ」
「ろ、ロード……あんまり見ないで、恥ずかしい」
「本当に良く似合っている。綺麗だよ」
「え? え? そ、そう。似合ってる? 本当に?」

 過激な露出は置いておいて、似合っているのは間違いない。

「ああ、本当にそう思うよ。いつもは質素な服だし、たまにはいいんじゃないか?」
「ロ、ロードがそういうなら……」

 チョロい……。
 ごほん、決してその際どい格好をもっと見ていたいとか不純な気持ちではないんだ。
 裸のように見えるけど、実際は魔素素材で体を守られているようで鉄壁の防御力を誇るらしい。

「ちょっと恥ずかしいけど、似合ってるならいいのかしら……」
「俺はフルフェイスだからいいけど、マリヴェラはバレるんじゃないか?」

 黒髪と赤眼はそのままなわけだし。

「大丈夫、マスクしてるし」
「そうですね。マスクしたら絶対バレないってのが世間の常識ですから」

 どんな理屈だよ。……口元だけ隠すマスクで顔は隠せるのか?
 まぁ、マスクしたらバレないってのはどこにであるお約束ではある。

「テトラ。じゃあこの格好で活動してみようかしら」
「うん! 悪の女首領みたいですっごく似合ってオヒョヒョヒョ!?」

 あまりに余計なことを言い始めたのでフィロと2人でテトラの脇腹を揉み尽くす。
 分かるよ! ムチ打ってそうなSM女王様っぽいってな! だけど言ったらだめだろ!?

「何か不快感なこと言われそうだったけどまぁいいわ」

 しかしここまで用意をしているんだ。

「フィロやテトラがマリヴェラの代わりに魔王として戦ったらダメなのか?」
「それは駄目だ」

 復活したアルヴァンが答える。
 まだ鼻血でてんぞ。

「子供達の中の1人が魔王では世間の関心度は得られない。すでに僕達の存在は世間に大きく知られているからね」

「君達を従えている魔王。その構図が欲しいというわけか」

「うん、天才達が膝をつくほど魔王は強く、美しい。ママにはそのようになって欲しい」

「で、できるかしら」

「パパもそんなママを支える世界最強の護衛として畏怖される存在になってくれ。強さの象徴は子供達に対して影響力が高い」

「お、おお」

 マリヴェラが母性に訴えかけ、俺が強さで訴えるということか。
 だけどできるか? 【恩返し】スキルの恩恵で少なくともエリオス以上の強さにはなっているが……。

 アルヴァンが手を挙げた

「七英雄討伐のための第二計画を始動する! ママ、パパ……頼むよ!」

 だがやるしかない……そういうことだろう。
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