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【魂なき世界5】スピード対パワーでスピードを選ぶ人は堅実、パワーを選ぶ人は博打好きだと思う
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ダッ…!!
猫が獲物を見つけて走るかのように、四本足で走っているかのように錯覚させるように
地を這うような低姿勢で綺羅々は一気に大男に駆け寄った。
対応するように大男が豪腕を突き出すが、クルッとその上を宙返りし、大男の頭を飛び越す。
飛び越しざまに両肩にクロウで切りつける。
「ぐっ…!」
一瞬、痛みに耐える表情は、大男の背後にいる綺羅々には見えなかったが、思わず声が漏れたことからダメージ有りと判断する。
「血の花を咲かすにゃ~!!」
振り向くよりも早く、ただただ愚直に両手のクロウで切りつけまくる。
「ぐぉぉぉ!!」
ようやく背後を振り向いた男が豪腕を叩きつける…
と意識していたが、実際には男の右腕が鎖つきの鉄球に変化しており、綺羅々の足元に鉄球が叩きつけられた。
思いのほか伸びた攻撃の距離に綺羅々は一瞬焦ったが咄嗟に右の壁に飛び、一瞬完全に重力を無視したかのように両手足を壁に着ける。
そのまま溜めた足を思いっきり開放し、大男の方へ飛び込む。
壁を蹴った反動でついた勢いは思いのほか強く、弾丸のように発射された綺羅々が今度は右腕をクロウで切りつける。
大男の青白く光る右腕が爪3本分、大きくえぐれる。
「(今度は手ごたえがちゃんとあったにゃ…)」
最初の手ごたえ、と言うより手ごたえがない感覚は勘違いだったか?
そんなことが頭に浮かびつつも、じっくり考える余裕はない。
とにかく猛攻に次ぐ猛攻で相手に反撃の隙を与えないように努める。
ネコ科の動物を連想させるような動きで大男の周りを飛び回りながら攻撃を繰り返すと、じわじわと大男の体にもダメージが蓄積されていく。
「このまま『だるま』になってもらうにゃ!」
大男は綺羅々の動きを追うように鉄球を振り回すが、素早い動きに対応できず、空振りを繰り返している。
「ちょこまかと…っ!!」
致命的なダメージこそないものの、攻撃が当たらないフラストレーションがたまってきた大男は、半ばヤケクソに鉄球を振り回してくる。
無差別に鉄球が大男の周りの壁を破壊し始める。
「にゃにゃ!?!?」
狙ったのか偶然か、周りの廃ビルの壁が破壊されたことで綺羅々の縦横無尽な動きが封じられてしまう。
「これで逃げられまい!!」
大きく伸びた鎖が弧を描き、横なぎに綺羅々に襲い掛かる。
「甘いにゃ!!」
地を這うように体制を低くし、『4本足』で鉄球を潜り抜ける。
「いい加減とどめを刺すっ…にゃ!」
腕に発言させていたクロウが形を変え、図太い巨大な爪へと変化する。
「横っ腹に風穴空けて反対側の風景が見えるようにしてやるにゃ!」
「…!こんな小娘に!!」
飛び込む綺羅々に大男は残った左腕で殴り掛かるが、簡単に躱される。
「貰ったにゃ!!」
・
・
・
「そういえば、友達にも能力者が1人いるんだけど、その子は狙われないかな?」
灯里はふと、思い出したように谷崎に訊ねた。
「え?他にもいるのか?こんな身近なところに?」
ちょっとまずいなぁ、と言う心情が谷崎から見て取れる。
「いや、割といるでしょ、襲い掛かってきた奴もそうだし、こないだ県外に出た時なんかはさぁ~…」
「いやいや、襲い掛かってきた奴は『疑似能力』を植え付けられた連中だから別物だぞ」
困った顔のまま谷崎が続ける。
「『疑似能力』?」
「自分自身で能力は持っていない奴らが他人から能力を与えられたものだ。」
「あっ…」
どことなく灯里と颯士には思い当たるフシがあった。
椿と共に戦った時、新島が去り際に言っていたセリフ。
『まだ力を失いたくはないんで!』
あの女に能力を与えられていた、と考えるのが自然だろうか。
「つまり、敵は無尽蔵に能力者を増やせると…」
颯士が冷や汗を滴しながら言う。
「まぁ、無尽蔵ではないだろうし何らかの制限はあるのだろうが…能力者を作れるのは間違いないな」
「そうなると、例えば格闘技のプロが能力を得たら、私のアドバンテージは可愛いことしかなくなるじゃん」
灯里は真剣な顔で言うが、谷崎は難しい顔のまま
「いや…」
と一言呟いた。
…灯里はショックを受けた。
猫が獲物を見つけて走るかのように、四本足で走っているかのように錯覚させるように
地を這うような低姿勢で綺羅々は一気に大男に駆け寄った。
対応するように大男が豪腕を突き出すが、クルッとその上を宙返りし、大男の頭を飛び越す。
飛び越しざまに両肩にクロウで切りつける。
「ぐっ…!」
一瞬、痛みに耐える表情は、大男の背後にいる綺羅々には見えなかったが、思わず声が漏れたことからダメージ有りと判断する。
「血の花を咲かすにゃ~!!」
振り向くよりも早く、ただただ愚直に両手のクロウで切りつけまくる。
「ぐぉぉぉ!!」
ようやく背後を振り向いた男が豪腕を叩きつける…
と意識していたが、実際には男の右腕が鎖つきの鉄球に変化しており、綺羅々の足元に鉄球が叩きつけられた。
思いのほか伸びた攻撃の距離に綺羅々は一瞬焦ったが咄嗟に右の壁に飛び、一瞬完全に重力を無視したかのように両手足を壁に着ける。
そのまま溜めた足を思いっきり開放し、大男の方へ飛び込む。
壁を蹴った反動でついた勢いは思いのほか強く、弾丸のように発射された綺羅々が今度は右腕をクロウで切りつける。
大男の青白く光る右腕が爪3本分、大きくえぐれる。
「(今度は手ごたえがちゃんとあったにゃ…)」
最初の手ごたえ、と言うより手ごたえがない感覚は勘違いだったか?
そんなことが頭に浮かびつつも、じっくり考える余裕はない。
とにかく猛攻に次ぐ猛攻で相手に反撃の隙を与えないように努める。
ネコ科の動物を連想させるような動きで大男の周りを飛び回りながら攻撃を繰り返すと、じわじわと大男の体にもダメージが蓄積されていく。
「このまま『だるま』になってもらうにゃ!」
大男は綺羅々の動きを追うように鉄球を振り回すが、素早い動きに対応できず、空振りを繰り返している。
「ちょこまかと…っ!!」
致命的なダメージこそないものの、攻撃が当たらないフラストレーションがたまってきた大男は、半ばヤケクソに鉄球を振り回してくる。
無差別に鉄球が大男の周りの壁を破壊し始める。
「にゃにゃ!?!?」
狙ったのか偶然か、周りの廃ビルの壁が破壊されたことで綺羅々の縦横無尽な動きが封じられてしまう。
「これで逃げられまい!!」
大きく伸びた鎖が弧を描き、横なぎに綺羅々に襲い掛かる。
「甘いにゃ!!」
地を這うように体制を低くし、『4本足』で鉄球を潜り抜ける。
「いい加減とどめを刺すっ…にゃ!」
腕に発言させていたクロウが形を変え、図太い巨大な爪へと変化する。
「横っ腹に風穴空けて反対側の風景が見えるようにしてやるにゃ!」
「…!こんな小娘に!!」
飛び込む綺羅々に大男は残った左腕で殴り掛かるが、簡単に躱される。
「貰ったにゃ!!」
・
・
・
「そういえば、友達にも能力者が1人いるんだけど、その子は狙われないかな?」
灯里はふと、思い出したように谷崎に訊ねた。
「え?他にもいるのか?こんな身近なところに?」
ちょっとまずいなぁ、と言う心情が谷崎から見て取れる。
「いや、割といるでしょ、襲い掛かってきた奴もそうだし、こないだ県外に出た時なんかはさぁ~…」
「いやいや、襲い掛かってきた奴は『疑似能力』を植え付けられた連中だから別物だぞ」
困った顔のまま谷崎が続ける。
「『疑似能力』?」
「自分自身で能力は持っていない奴らが他人から能力を与えられたものだ。」
「あっ…」
どことなく灯里と颯士には思い当たるフシがあった。
椿と共に戦った時、新島が去り際に言っていたセリフ。
『まだ力を失いたくはないんで!』
あの女に能力を与えられていた、と考えるのが自然だろうか。
「つまり、敵は無尽蔵に能力者を増やせると…」
颯士が冷や汗を滴しながら言う。
「まぁ、無尽蔵ではないだろうし何らかの制限はあるのだろうが…能力者を作れるのは間違いないな」
「そうなると、例えば格闘技のプロが能力を得たら、私のアドバンテージは可愛いことしかなくなるじゃん」
灯里は真剣な顔で言うが、谷崎は難しい顔のまま
「いや…」
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…灯里はショックを受けた。
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