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【魂なき世界2】また名乗る間もなく進行してしまった
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完全に油断をしていた、ということには間違いない。
だけど、背中に受けた衝撃は並みのものではなかった。
成す術もなく地面に倒されるが、頭の中のスイッチが戦闘モードに切り替わる。
即座に立ち上がって構えると、目の前に立っていたのは、スーツに七三分け、眼鏡をかけた真面目な会社員風の男だった。
「すぐ戦いに切り替えるとは、何か格闘技でもやっているのか?」
こちらに聞いてきたのか、独り言なのか分析するかのようにブツブツと男が呟いている。
「いきなりJK殴ってきておいてシカトですか?」
恐怖心よりも怒りを感じた。他人にいきなり暴力を振るうこの男にも、油断していた自分にも。
それにしても、言ってはみたものの本当に殴ったのだろうか。蹴ったのかもしれないし何かをぶつけられたのかもしれない。
もしかしたらこの人は何もしていなくて、単に事故で何かぶつかっただけかもしれない。
背後からの衝撃だったので何も見ていなかった、なので断定するにはちょっと早すぎたかもしれない。
それらの冤罪の可能性を全て否定しても有り余る『証拠』がそこにはあった。
「お兄さん、その腕、どうしたんですか?」
会社員風の男の右腕は青白く光っていた。
「大人しくしなさい。そうすればすぐ終わるから。」
じりじりと近寄ってくる男に不気味さを覚える。
「こちらの質問は無視してセクハラでもするつもりですか?」
「ガキには興味はないな!」
男は跳躍し、一気に距離を詰めてくる。
見た限り足は生身のようだがかなり速い。
そのまま青白い拳をハンマーのように叩きつけてきた。
「甘いっ!」
身をよじって躱すついでに、そのまま後頭部に必殺の加速蹴りを放つ。
が、スーツ男は見もせずに左手を捻らせて足を受け止める。
「甘いのは…」
何か言いかけていたようだが、能力を発動させてさらに加速させる。
「甘いのはそっちでしょ!!」
手のガードの上から上乗せした威力の蹴りを押し込むが、支点がずれて男の体がきりもみ状に宙を舞う。
シュタッ、と言うほど華麗ではないが、両膝と片手を地面につき、男は衝撃に耐えきる。
こいつ、右腕以外は生身の癖に結構強い。
「もしかして今、何か使いました?」
男がずれた眼鏡を直しながら訊ねてくる。恐らく能力のことに勘付いたのだろう。
だがまだ確信に至ってはいないようだ。
「か、空手よ。」
できれば能力のことを気づかれたくはない。苦し紛れだけど…
「なるほど…空手か。」
苦し紛れだけど信じてくれた。案外いい奴なのかも。
「空手だけなら、恐れることはないな!」
今度は真正面から早歩きで近寄ってくる。
こんなに堂々とされると逆に攻撃しづらいけど…
お互い必中の間合いに入ると、今度はこちらから攻撃に入る。
「食らえ!灯(とう)…」
下段蹴りを始点とした必殺の4連蹴り。
だが、下段の一撃目を既に脛でガードされる。
「空手『だけ』なら通用しない。」
そのまま振りかぶって青白い腕で再び殴りつけてくる。
伸びてくる腕を垂直に飛んで躱し、そのまま腕に乗る。
「ーー 火連撃(かれんげき)!!」
そのまま男の腕を踏み台にし、中段、肩、顔面へと連続蹴りを叩きこむ。
「くっ…」
2,3mほど吹っ飛ばされて男は膝をつく。
やはり体は生身のようだ。普通の打撃でも十分通じる。
立ち上がる前に一気にブーストで駆け寄り、拳を能力のコーティングで固める。
「せーのっ!えいやッ!!」
全力で振り下ろした拳が男の青白い腕を砕いた。
男の青白い腕…恐らくは魂で作られた右腕は、魂で作ったものでしか干渉できない。
ようやく驚いた顔を見せた男だが、これで終わりではない。
「どういうことか説明してもらいましょうか。」
だけど、背中に受けた衝撃は並みのものではなかった。
成す術もなく地面に倒されるが、頭の中のスイッチが戦闘モードに切り替わる。
即座に立ち上がって構えると、目の前に立っていたのは、スーツに七三分け、眼鏡をかけた真面目な会社員風の男だった。
「すぐ戦いに切り替えるとは、何か格闘技でもやっているのか?」
こちらに聞いてきたのか、独り言なのか分析するかのようにブツブツと男が呟いている。
「いきなりJK殴ってきておいてシカトですか?」
恐怖心よりも怒りを感じた。他人にいきなり暴力を振るうこの男にも、油断していた自分にも。
それにしても、言ってはみたものの本当に殴ったのだろうか。蹴ったのかもしれないし何かをぶつけられたのかもしれない。
もしかしたらこの人は何もしていなくて、単に事故で何かぶつかっただけかもしれない。
背後からの衝撃だったので何も見ていなかった、なので断定するにはちょっと早すぎたかもしれない。
それらの冤罪の可能性を全て否定しても有り余る『証拠』がそこにはあった。
「お兄さん、その腕、どうしたんですか?」
会社員風の男の右腕は青白く光っていた。
「大人しくしなさい。そうすればすぐ終わるから。」
じりじりと近寄ってくる男に不気味さを覚える。
「こちらの質問は無視してセクハラでもするつもりですか?」
「ガキには興味はないな!」
男は跳躍し、一気に距離を詰めてくる。
見た限り足は生身のようだがかなり速い。
そのまま青白い拳をハンマーのように叩きつけてきた。
「甘いっ!」
身をよじって躱すついでに、そのまま後頭部に必殺の加速蹴りを放つ。
が、スーツ男は見もせずに左手を捻らせて足を受け止める。
「甘いのは…」
何か言いかけていたようだが、能力を発動させてさらに加速させる。
「甘いのはそっちでしょ!!」
手のガードの上から上乗せした威力の蹴りを押し込むが、支点がずれて男の体がきりもみ状に宙を舞う。
シュタッ、と言うほど華麗ではないが、両膝と片手を地面につき、男は衝撃に耐えきる。
こいつ、右腕以外は生身の癖に結構強い。
「もしかして今、何か使いました?」
男がずれた眼鏡を直しながら訊ねてくる。恐らく能力のことに勘付いたのだろう。
だがまだ確信に至ってはいないようだ。
「か、空手よ。」
できれば能力のことを気づかれたくはない。苦し紛れだけど…
「なるほど…空手か。」
苦し紛れだけど信じてくれた。案外いい奴なのかも。
「空手だけなら、恐れることはないな!」
今度は真正面から早歩きで近寄ってくる。
こんなに堂々とされると逆に攻撃しづらいけど…
お互い必中の間合いに入ると、今度はこちらから攻撃に入る。
「食らえ!灯(とう)…」
下段蹴りを始点とした必殺の4連蹴り。
だが、下段の一撃目を既に脛でガードされる。
「空手『だけ』なら通用しない。」
そのまま振りかぶって青白い腕で再び殴りつけてくる。
伸びてくる腕を垂直に飛んで躱し、そのまま腕に乗る。
「ーー 火連撃(かれんげき)!!」
そのまま男の腕を踏み台にし、中段、肩、顔面へと連続蹴りを叩きこむ。
「くっ…」
2,3mほど吹っ飛ばされて男は膝をつく。
やはり体は生身のようだ。普通の打撃でも十分通じる。
立ち上がる前に一気にブーストで駆け寄り、拳を能力のコーティングで固める。
「せーのっ!えいやッ!!」
全力で振り下ろした拳が男の青白い腕を砕いた。
男の青白い腕…恐らくは魂で作られた右腕は、魂で作ったものでしか干渉できない。
ようやく驚いた顔を見せた男だが、これで終わりではない。
「どういうことか説明してもらいましょうか。」
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