魂を彩る世界で

Riwo氏

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【リゾートバイトの裏で4】男と男の戦いには意地もあるが状況に酔ってるところもある

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雄二は無造作にサーファー軍団の一人の首根っこを片手で掴むとブンッ、と草むらへ放り投げた。

「おいおい、女レスのエースがこんなところであきらめちゃうのかい?」

ニカッ、と白い歯を見せて雄二が笑う。

「うるさいわね、来るのが遅いのよ」

谷川と雄二、二人は示し合わせたように背中を合わせた。

「「よしっ!!かかってこいやぁ!!」」

二人が揃えば死角はなかった。

次々と襲い掛かってくるサーファー軍団を次々とちぎっては投げる。

ひとしきりちぎったり投げたりすると

「谷川、ちょっとバテたんじゃないか?」

「真田こそ、息上がってるじゃない」

ふっ、とお互い笑い合ったところに、天賦の腹筋を持つ男、サトシが前へ出る。

「なるほど、そっちの男は骨がありそうだな。良い腹筋をしている。」

サトシは雄二に近寄ると、そっと腹筋を触ろうとする。

その腕を雄二はガシッと掴み、言い放つ。

「俺の腹筋は悪党に触らせるためのものではない!」

「ふん、ほざきやがる。」

サトシは雄二の手を振りほどくと

「二人でかかってこい。二人ならちょっとは良い戦いができるだろう。」

と、挑発してくる。

「いや、俺一人でいく。」

雄二はズイッ、と前に出て腹筋をアピールする。

「悪くない腹筋だが…それでも俺には及ばないことが分からないバカでもなかろう。」

サトシは諭し(さとし)た。

サトシは、さとした。




サトシは、サトシた。

雄二は臆することなく白い歯を見せて、ニカッと笑った。

「うるせぇ。腹筋勝負ってのは1人の意見で決めるものじゃねぇ。それぞれの腹筋の良さ、感じ方は違うんだ。」

グッ、と腰に手を当てて腹筋を堂々とアピールする。

「腹筋勝負ってのは割れるものだ、意見も、腹筋もな!」

「ぬかせ!!」

サトシが拳を雄二の腹筋に叩きつける。

「効かんな!」

お次は雄二が拳を固め、サトシの腹筋を叩く。
フライパンにおたまでも叩きつけたかのような炸裂音がなる。

「そんな拳では俺の鋼鉄の腹筋は破れんぞ!」

サトシもにやりと笑う。

シンプルに交互に腹筋を叩き合う。

男の腹筋勝負が始まった。





30分ほど経った頃だろうか、お互いの拳は赤く腫れあがり、腹筋も真っ赤になっている。

「もういい、もうやめて!私、言うこと聞くから!サーフィンでも何でもするから!!」

ヨーコの悲痛な叫びが響き渡るが、男たちの手は、腹筋は、止まることを知らない。

「ヨーコちゃん、これはもう男と男、雄と雄の意地の見せあいなのよ。神聖な戦い、この戦いにはもう誰にも介入できない…」

谷川がどことなくしたり顔で解説する。

「バカよ…男ってみんなバカよ!!」

ヨーコの涙が宙に光る。

「そろそろ降参したらどうだ?腹筋も真っ赤だぜ?」

サトシは笑いながら言うが、額には玉の汗が無数に浮き出ている。

「そっちこそ、自慢の腹筋が真っ赤だぜ?」

雄二の額にも汗が流れる。

とにかくお互い、腹筋が真っ赤なのだ。

「なぁ、提案なんだが」

雄二が拳を腹筋で受けながら言う。

「なんだ?」

次は雄二の拳を受けたサトシが返す。

「お互い同時に拳を打って、最終決着にしないか?」

雄二が受けながら言う。

「確かに、このままではラチがあかんからな」

サトシも受けながら返す。

「「それじゃあ、いくぞ!!!」」

お互いに全身全霊で拳を叩きこむ。

ゴンッ!!!


「やるじゃないか…」

「そっちこそな…」

お互い気力を使い果たしてバタッと倒れる。

「完全に互角なんて…」

谷川が一人呟き、その後我に返ると雄二の元へ駆け寄った。

「大丈夫?」

心配そうな顔の谷川に、雄二は苦しそうにニカッと歯を見せて笑う。

「なんとか、な。」

これで手打ちか、そう思っていたがサーファー軍団はそうはいかないようだ。

「サトシさんがやられちまったぞ!」

「あいつらを許すな!!」

まずい、雄二がこんな状態の今、谷川一人ですべての敵を倒すことはできない。

襲い掛かってくるサーファー軍団。


シュパパパッ…


一瞬の閃光、3人のサーファー軍団が一瞬で倒れた。

「ここは任せて早く立ち去りなさい。」

サーファー軍団の前に立ちはだかったのは、お待ちかね。

魔導執事(白)その人であった!


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