魂を彩る世界で

Riwo氏

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【リゾートバイトの裏で3】壊れたら大変だけど割れるのは凄いものなーんだ

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~前回までのあらすじとか顛末~

ことの顛末は、先にシャワーから出たヨーコがサーファー軍団に拉致されたことから始まる。

「俺のボード貸してやるから乗れよ」

なんて残虐非道。シャワーが終わった後に無理矢理サーフィンをさせるとは。

ヨーコがいないことに気づき、灯里達一向(灯里はいない)は拡散してヨーコを探しにいった。

そんな拉致されていく様を最初に発見したのは陽一。

しかし陽一は、多勢に無勢を感じ取り、1人で取り戻すのは不可能と判断、すぐに仲間を呼びに戻ってきて灯里にあったわけだ。

攫われていた現場はすでにも抜けの殻。

しかし別働隊で動いていた女子レスリング部のエース谷川が拉致されていたヨーコを見つけ、助けに入る。

いくらレスリング部のエースといえど大人数を相手に戦いきることは難しい。

果たして。






幸いにも、サーファー軍団は谷川のタックルで気圧され、攻めこめずにいるようだ。

小声で谷川がヨーコに告げる。

「なんとか私が突破口を作るからヨーコちゃんはその隙に逃げて。」

「けど、谷川さんが…」

「あいつらは私には興味がないから大丈夫よ、それに一人の方が戦いやすいから気にしないで。」

小声の作戦会議を遮るように、サーファー軍団の中からひときわ体格の良い男が前に出る。

「おい、そこの女。いくら腹筋が割れていてもこの人数から逃げられるとでも思っているのか?大人しくそっちの女を差し出せば見逃してやるぞ。」

谷川は相手の様子をみて戦闘力の分析に入った。

「(素人とは思えない腹筋…この男、できる…)」

「あんた、名前は…?」

思わず谷川は訊ねる。

「サトシだ。」

サトシ…女の子を無理矢理拉致するからには悪いやつなのは間違いない、が、美しい腹筋を素直に認めてしまう谷川がいた。

谷川は決して体躯に恵まれているわけではない。

たゆまぬ努力によってその強固な腹筋を得た。

いわば谷川の腹筋は血と汗の結晶なのだ。

しかしこの男は、体躯に恵まれて、さらに腹筋を鍛えていたのだろう。

谷川に努力の腹筋あれば、サトシに天賦の腹筋あり。

谷川の腹筋+レスリングをもってしても、サトシの才能+努力の腹筋を破れる保証はない。

谷川の額からにじみ出る汗は太陽の熱線によるものか、それとも…

不安を払拭するかのように、誰ともなしに首を横にふり、サトシに向き直る。

「いくぞっ!!」

谷川の弾丸のようなタックルがサトシにぶつかる。

ズザザザザ…

3mほど、谷川の弾丸タックルがサトシを押し込む。

「た、倒れない…なんて強固な腹筋…」

絶望とともに感心した。ここまで極められるのか。

「なかなかいい腹筋だったがそれまでのようだな。」

サトシは両手を結び、そのまま谷川へと叩きつけようとした。

「谷川さん!!」

ヨーコの悲痛な叫びが海岸に響き渡る。






背中に来ると思っていた衝撃がまだ来ないことに、谷川は逆に困惑していた。

「これだけの腹筋をただ殺すのは惜しいな。肝も据わっている。俺の部下にならないか。」

サトシの意外な進言に谷川は困惑する。

ヨーコも困惑する。
「(部下って何するんだろう)」

谷川の心に一瞬の迷いがあったのは確かだ。

サトシの腹筋はそれだけ芸術的だとも言える。

だが、谷川は強い正義の信念でそれを断った。

「おあいにく様、どんなに美しい腹筋でも、悪の腹筋には屈しないわ」

「…そうか、残念だ。」

サトシは捨てるように谷川を振りほどくと

「お前ら、やれ!」

と、部下たちに指示した。

一気に飛び掛かってくる腹筋。

なんとか1人目は飛び掛かってきたところを見事にフォールするが、雪崩のように敵勢力が押し寄せてくる。

「(万事休すか…)」

覚悟を決めた時、美しく輝くもうひとつの腹筋が飛び出してきた。

「待て!!」

サーファー軍団はぴたりと動きを止め、見ほれる。

誰がきたのか。言うまでもないだろう。

「黄金の腹筋を持つ男」

真田雄二その人が太陽に腹筋を輝かせやってきた。

「(悔しいけど、助かったわ)」

谷川は内心、ほっと胸を撫で下ろした。

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