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【リゾートバイト編7】リゾート地に来てまで変な連中の相手をしないといけないなんて訴訟ものだ
しおりを挟むとにかく麗華さんを助けないと。
人質にするからにはすぐにどうこうされるわけではないだろうが、気がはやって仕方がない。
エレベーターを待つ間すらもまどろっこしく感じる。
ようやく1階に到着し、外に飛び出ると拡声器を持った人影が見える。
構わず走って近づくと、その恐ろしい全貌が見え始める。
あれが…邪悪大国(じゃあくたいこく)…!!
…。
そこにいたのは、10台ほどの原付に乗ったヤンキー集団だった。
く、くそっ、ダサいぜ…こんな連中に麗華さんが…
胸の奥に熱いものを感じる。
呼吸が荒くなるのを感じる。
これは恐怖ではない。
これは…怒りだ。
気が付いたら叫んでいた。
「お前ら!!麗華さんを返せ!!!」
原付軍団…もとい邪悪大国はざわざわとどよめき始める。
「麗華…誰だ?」
「さぁ…?」
「勘違い野郎か?」
こいつら、しらばっくれる気か。
「オーナーの娘のことだ!!」
怒鳴りつけてやるとようやく理解したようで
「あぁ、そっち?」
「オーナーじゃないのかよ」
みたいな声がどこそこで聞こえる。
すると、リーダー格の男が前に出てくる。
リーゼントの頭に長くたなびくハチマキに特攻服。
いつの時代のヤンキーだよ。
「てめぇじゃ話にならねぇ。オーナーを連れてこい。」
メンチを切ってくるリーダー。
だが今更この程度の小物にビビるわけもない。
こちとらこの間まで化け物と対峙してきたんだ。
「堕悪帝国(だーくていこく)のパチモンに言われたくないわ」
ジャブ程度に言い返すと、
「な、なにっ…!?」
と、リーダーは思いのほかショックを受けている。
「いや、だから堕悪帝国のパチモン…」
「俺たちはなぁ!!サトルさんに憧れて、認めて貰えてやっとこの邪悪大国を立ち上げたんだ!!パチモンじゃねぇ!!!そう、それは5月のことだった…」
勝手に回想モードに入ってやがる。
・
・
・
「サトルさん、どうして堕悪帝国を解散するんですか!?」
リーダーはサトルへ叫ぶように訴える。
「俺らもいつまでもバカやってらんねーからな…それに、本気になれるものを見つけたんだ…」
無言の間があり、そこから間をごまかすようにふっ…とタバコの煙を吐き出す。
「俺ら…ずっと堕悪帝国を、いや、サトルさんを尊敬していたっス…なのにこんな急に…」
「…次はお前たちの時代だ。本気になれるもの、見つけろよ」
そう言うとサトルは、バイクにまたがり去っていった。
・
・
・
「いや、別に言うほど認められてなくない?」
本音がポロリと出てしまった。
「お前、言ってはならねぇこと言いやがったな。お前ら全員かかれ!!」
「「「うぉぉぉぉ!!!!」」」
のそのそ。
ガッチャン。
タッタッタッタッ。
邪悪大国の連中は原付から降りてちゃんとスタンドを立ててから走ってこちらに向かってきた。
1人目は真正面から脛のあたりを下段蹴りで刈り取ると面白いくらいに頭からすっ転んだ。
2人目は、1人目が転んだところに不幸にも走ってきていたのでそのまま体制を崩したところをポンッと背中を押すとそのままもつれて倒れた。
3人目、4人目は走る速度が同じくらいだったのかほぼ同時に来たが、3の人の殴りかかってきた腕をかわして引っ張ると、4の人ももつれて倒れた。
「さぁ、早く人質を返さんかい!」
ゴキゴキ…と指を鳴らそうとしても特にならなかったので指をうねうねしてしまった。
「こ、こいつ強い…のか?」
イマイチ、事故みたいな倒し方に見えたのか力の差が伝わっているのか微妙だが、構わず進む。
「え、えぇい、お前らもいけ!」
「いや、リーダーこそ行ってくださいよ!」
「お、俺は最後の砦だから」
揉めているところにも構わずズシズシと攻め込んでいく。
「ひぃぃ、来た!!!」
5名ほど、原付に乗って逃走していった。
「あ、お前ら待てって!ちょっと、待って!」
リーダーは慌てて呼び止めるが、後の祭り。
メンバーはみんな逃げて行ってしまった。
「く、くそぉ、俺はサトルさんの後継者だ!お前なんかに…!!」
殴りかかろうと拳を振り被るリーダー。
しかし殴るモーションに入るリーダーの右手首を左手で掴む。
「何!?」
リーダーも驚いていたが、こちらも驚きだ。
こいつ、俺の手を振りほどけない…つまり非力!!
「サトルの後継者なら、サトルがどうやって散ったかも知ってるよな…」
空いた右手で作った拳を振り上げた。
「真っ!!白チン撃っ!」
「あ、あひぃぃぃぃ」
ピタッ…リーダーの股間の前で拳を止める。
ジョボジョボジョボ…
みるみるできる水たまり。
「…サトルは、当てられても耐えていたぞ」
駄目押しの一言を告げると
「負けた…漢(おとこ)として…」
と、リーダーは男泣きに泣いた。
・
・
・
さてと、どうでもよいバトルパートも終わったことだし、麗華さんはどこだろう。
人質らしき人物のところに行くとそこにいたのは、全然知らない、強いて言うなら中年小太りのオーナーに体系と顔までそっくりな女の子だった。
服装だけはブリッブリのフリッフリのお姫様のような恰好をしたソレは、泣きじゃくりながら何を言っているのかイマイチわからないことを言い出した。
「だっで、パパが、ぜんぜん、がまっでぐれないがらぁ」
ぱ、パパが構ってくれないから、だとぉ…?
人質にするからにはすぐにどうこうされるわけではないだろうが、気がはやって仕方がない。
エレベーターを待つ間すらもまどろっこしく感じる。
ようやく1階に到着し、外に飛び出ると拡声器を持った人影が見える。
構わず走って近づくと、その恐ろしい全貌が見え始める。
あれが…邪悪大国(じゃあくたいこく)…!!
…。
そこにいたのは、10台ほどの原付に乗ったヤンキー集団だった。
く、くそっ、ダサいぜ…こんな連中に麗華さんが…
胸の奥に熱いものを感じる。
呼吸が荒くなるのを感じる。
これは恐怖ではない。
これは…怒りだ。
気が付いたら叫んでいた。
「お前ら!!麗華さんを返せ!!!」
原付軍団…もとい邪悪大国はざわざわとどよめき始める。
「麗華…誰だ?」
「さぁ…?」
「勘違い野郎か?」
こいつら、しらばっくれる気か。
「オーナーの娘のことだ!!」
怒鳴りつけてやるとようやく理解したようで
「あぁ、そっち?」
「オーナーじゃないのかよ」
みたいな声がどこそこで聞こえる。
すると、リーダー格の男が前に出てくる。
リーゼントの頭に長くたなびくハチマキに特攻服。
いつの時代のヤンキーだよ。
「てめぇじゃ話にならねぇ。オーナーを連れてこい。」
メンチを切ってくるリーダー。
だが今更この程度の小物にビビるわけもない。
こちとらこの間まで化け物と対峙してきたんだ。
「堕悪帝国(だーくていこく)のパチモンに言われたくないわ」
ジャブ程度に言い返すと、
「な、なにっ…!?」
と、リーダーは思いのほかショックを受けている。
「いや、だから堕悪帝国のパチモン…」
「俺たちはなぁ!!サトルさんに憧れて、認めて貰えてやっとこの邪悪大国を立ち上げたんだ!!パチモンじゃねぇ!!!そう、それは5月のことだった…」
勝手に回想モードに入ってやがる。
・
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「サトルさん、どうして堕悪帝国を解散するんですか!?」
リーダーはサトルへ叫ぶように訴える。
「俺らもいつまでもバカやってらんねーからな…それに、本気になれるものを見つけたんだ…」
無言の間があり、そこから間をごまかすようにふっ…とタバコの煙を吐き出す。
「俺ら…ずっと堕悪帝国を、いや、サトルさんを尊敬していたっス…なのにこんな急に…」
「…次はお前たちの時代だ。本気になれるもの、見つけろよ」
そう言うとサトルは、バイクにまたがり去っていった。
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「いや、別に言うほど認められてなくない?」
本音がポロリと出てしまった。
「お前、言ってはならねぇこと言いやがったな。お前ら全員かかれ!!」
「「「うぉぉぉぉ!!!!」」」
のそのそ。
ガッチャン。
タッタッタッタッ。
邪悪大国の連中は原付から降りてちゃんとスタンドを立ててから走ってこちらに向かってきた。
1人目は真正面から脛のあたりを下段蹴りで刈り取ると面白いくらいに頭からすっ転んだ。
2人目は、1人目が転んだところに不幸にも走ってきていたのでそのまま体制を崩したところをポンッと背中を押すとそのままもつれて倒れた。
3人目、4人目は走る速度が同じくらいだったのかほぼ同時に来たが、3の人の殴りかかってきた腕をかわして引っ張ると、4の人ももつれて倒れた。
「さぁ、早く人質を返さんかい!」
ゴキゴキ…と指を鳴らそうとしても特にならなかったので指をうねうねしてしまった。
「こ、こいつ強い…のか?」
イマイチ、事故みたいな倒し方に見えたのか力の差が伝わっているのか微妙だが、構わず進む。
「え、えぇい、お前らもいけ!」
「いや、リーダーこそ行ってくださいよ!」
「お、俺は最後の砦だから」
揉めているところにも構わずズシズシと攻め込んでいく。
「ひぃぃ、来た!!!」
5名ほど、原付に乗って逃走していった。
「あ、お前ら待てって!ちょっと、待って!」
リーダーは慌てて呼び止めるが、後の祭り。
メンバーはみんな逃げて行ってしまった。
「く、くそぉ、俺はサトルさんの後継者だ!お前なんかに…!!」
殴りかかろうと拳を振り被るリーダー。
しかし殴るモーションに入るリーダーの右手首を左手で掴む。
「何!?」
リーダーも驚いていたが、こちらも驚きだ。
こいつ、俺の手を振りほどけない…つまり非力!!
「サトルの後継者なら、サトルがどうやって散ったかも知ってるよな…」
空いた右手で作った拳を振り上げた。
「真っ!!白チン撃っ!」
「あ、あひぃぃぃぃ」
ピタッ…リーダーの股間の前で拳を止める。
ジョボジョボジョボ…
みるみるできる水たまり。
「…サトルは、当てられても耐えていたぞ」
駄目押しの一言を告げると
「負けた…漢(おとこ)として…」
と、リーダーは男泣きに泣いた。
・
・
・
さてと、どうでもよいバトルパートも終わったことだし、麗華さんはどこだろう。
人質らしき人物のところに行くとそこにいたのは、全然知らない、強いて言うなら中年小太りのオーナーに体系と顔までそっくりな女の子だった。
服装だけはブリッブリのフリッフリのお姫様のような恰好をしたソレは、泣きじゃくりながら何を言っているのかイマイチわからないことを言い出した。
「だっで、パパが、ぜんぜん、がまっでぐれないがらぁ」
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