魂を彩る世界で

Riwo氏

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【復讐編18】各々の作戦を各々で成功させようと動くと成功率は上がる

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「(不死身の謎さえ分かれば…!)」

思えば今までも不死身みたいな相手ばかりではあった。

痛みを感じない綺羅々

防御力がやたら高いサトル

そしてこの女、名前すらまだ分からないけれどコイツこそ本物の不死身かと思っていた。

だがむしろコイツは…






「いい加減倒れろっ!!」

女に駆け上るように必殺の四連蹴りを放つ。

そのまま飛び上がった上空から、体勢を崩した女へ叩きつけるように白龍を放つ。

「灯火白龍擊(とうかはくりゅうげき)!」

2つの技を合わせた必殺技。

だが放たれた白龍を女は難なく躱す。

「今のを躱すのか…!」

上空から降り立った灯里に蔦(つた)が襲いかかるが、即座に後ろに飛び躱す。

「こんな感じかしら?」

女が左手を前にかざすと、手のひらから青白く光る大蛇が現れる。

「蒼蛇擊(そうだげき)ってところね」


飛び込んでくる大蛇を間一髪躱すが、大蛇はグルンとカーブを描く。

「えっ…」

そのまま大蛇は灯里に巻き付き、スルスルと締め上げていく。

咄嗟に全身に鋼鉄の硬さをイメージしたコーティングを張ってなんとか耐えるが、お構いなしに大蛇は巻き付いてくる。


端から見ていると難なく巻き付いているようだがその力は相当なものらしく、ギリギリと軋む音が聞こえてくる。

「(コーティングが破られたら終わる…何か手は…)」

考えている間にも蛇は締め付けてくる。

「(何かこう、内側から爆発するようなイメージの技…)」

苦しむ灯里の横で蛇を撫でながら女は灯里の耳元で囁く。

「お友達は薄情ね、こんな状態でもお話に花が咲いているみたいよ」

離れたところで颯士と椿が話し込んでいる様子が見える。

「(いや、颯士のことだ、何か打開の策を話し合っているんだ)」

ピキッ…

コーティングにヒビが入る。

「(だけど、策を待っている余裕があるかは微妙ね…自分でも手を考えなければ)」






「集中できないんで『コッチの袴』履き直してください。」

颯士は灯里が作った白い袴を椿に手渡しながら言った。

複雑なギミックをつけた刀に比べて構造は単純なのとイメージトレーニングの結果なのか、意外に袴はまだ形を保っていた。

「脱がしたのは颯士君だろう?」

「だから不可抗力ですって…」

颯士の弁明はどこ吹く風で椿は話を進める。

「まだ疑問が残るんだが…」

本人は気付いていないのだろうが、元々履いていた袴からほとんど丸出しの太ももが持ち上がって新たに白い袴に入れ込む動作が妙に艶(なまめ)かしい。

目を逸らす颯士にはお構い無しに疑問をぶつける。

「恐らくだが母は、この刀であの手の物体を斬っていたと思うんだが。」

椿は灯里を追う蔦を指差す。

「いや、しかしあの青白い能力で出来たものは、あの人の身体と一緒で普通の攻撃は効かないと思うのですけど…」

と言って颯士は考え込む。

言っている間に大蛇が灯里に巻き付く。

「颯士君、灯里ちゃんが捕えられてしまったぞ。」

椿は腰の刀を持ち直して灯里の方へ向かおうとする。

「待って、椿さん」

颯士が制止する。

「このまま行っても無駄です。どうせダメージを与える術がない。それよりも…」

椿も言いたいことを察した。

「いや、しかし…」

「これしか手はないです。」






「(もう少し、もう少しだけ、ここから動くな…)」

灯里は頭の中でイメージを練り上げていた。

「もう颯士クンは椿ちゃんに乗り替えちゃったのかもねぇ」

薄ら笑いを浮かべながら絶望させようとしてくる。

「(生半可な威力じゃ駄目だ…綿密にイメージするんだ…)」

形の隅々まで、硬さや質感まで、しっかりイメージする。

「もう諦めちゃったのかしら?さっきまでの威勢はどうしたの?」

さらに女が煽ってくるが、無視をして集中する。

女が手を伸ばし、灯里の口元を人差し指と親指で挟みこむ。

「聞こえてんのか!?ガキが!!」

豹変した女に一瞬怯む、が、

「あく…」

「あ?」

「悪夢の…花…」

灯里を中心に爆発するかのように白いトゲが全方位に発生する。

かつて灯里を追い詰めた綺羅々の技。

無数のトゲが蛇を引き裂き、女の身体に突き刺さる。

「(やった…かな…?)」

拘束から解き放たれたが、エネルギーを使いすぎてしまった灯里を激しい脱力感が襲う。

ペタンッ…思わず座り込んでしまう。

「(ヤバいな、ほとんど残量がない…)」

トゲを回収しようと手を伸ばすものの、イメージし慣れていなかったことや爆発を強くしすぎたせいですぐに霧散してしまう。

「(くそっ、回収できない)」

そうこうしているうちに衝撃で巻き起こった砂ぼこりが徐々に晴れてゆく。

「(この一撃で終わっていて…)」

縋(すが)るような想いだが、現実は無情であった。

砂ぼこりが晴れて、姿を表したのは、左目、右胸にぽっかりと穴が空いた女だった。

「メスガキが…楽には死ねると思うな!」

ヒステリックに叫ぶ女には以前のような妖艶さや余裕のある態度はなくなっていた。

フラフラと近づいてくるが、消耗しきった灯里も立ち上がる気力が足りない。

震える右腕を持ち上げながら、ぼんやりし始めている頭の中でイメージを組み上げる。

「白龍…」

ガッ…

女の拳が灯里の顔面に叩き込まれる。

そのまま抵抗する力もなく吹っ飛ばされ地面に倒れこんだ。

「私をこんな姿にして…許さないからなぁ…!」

ゴスッ…

起き上がれない灯里の腹部を蹴りつける。

「うっ…」

灯里はもはや絶望を感じる余裕すらなかった。
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