60 / 84
【復讐編18】各々の作戦を各々で成功させようと動くと成功率は上がる
しおりを挟む
「(不死身の謎さえ分かれば…!)」
思えば今までも不死身みたいな相手ばかりではあった。
痛みを感じない綺羅々
防御力がやたら高いサトル
そしてこの女、名前すらまだ分からないけれどコイツこそ本物の不死身かと思っていた。
だがむしろコイツは…
・
・
・
「いい加減倒れろっ!!」
女に駆け上るように必殺の四連蹴りを放つ。
そのまま飛び上がった上空から、体勢を崩した女へ叩きつけるように白龍を放つ。
「灯火白龍擊(とうかはくりゅうげき)!」
2つの技を合わせた必殺技。
だが放たれた白龍を女は難なく躱す。
「今のを躱すのか…!」
上空から降り立った灯里に蔦(つた)が襲いかかるが、即座に後ろに飛び躱す。
「こんな感じかしら?」
女が左手を前にかざすと、手のひらから青白く光る大蛇が現れる。
「蒼蛇擊(そうだげき)ってところね」
飛び込んでくる大蛇を間一髪躱すが、大蛇はグルンとカーブを描く。
「えっ…」
そのまま大蛇は灯里に巻き付き、スルスルと締め上げていく。
咄嗟に全身に鋼鉄の硬さをイメージしたコーティングを張ってなんとか耐えるが、お構いなしに大蛇は巻き付いてくる。
端から見ていると難なく巻き付いているようだがその力は相当なものらしく、ギリギリと軋む音が聞こえてくる。
「(コーティングが破られたら終わる…何か手は…)」
考えている間にも蛇は締め付けてくる。
「(何かこう、内側から爆発するようなイメージの技…)」
苦しむ灯里の横で蛇を撫でながら女は灯里の耳元で囁く。
「お友達は薄情ね、こんな状態でもお話に花が咲いているみたいよ」
離れたところで颯士と椿が話し込んでいる様子が見える。
「(いや、颯士のことだ、何か打開の策を話し合っているんだ)」
ピキッ…
コーティングにヒビが入る。
「(だけど、策を待っている余裕があるかは微妙ね…自分でも手を考えなければ)」
・
・
・
「集中できないんで『コッチの袴』履き直してください。」
颯士は灯里が作った白い袴を椿に手渡しながら言った。
複雑なギミックをつけた刀に比べて構造は単純なのとイメージトレーニングの結果なのか、意外に袴はまだ形を保っていた。
「脱がしたのは颯士君だろう?」
「だから不可抗力ですって…」
颯士の弁明はどこ吹く風で椿は話を進める。
「まだ疑問が残るんだが…」
本人は気付いていないのだろうが、元々履いていた袴からほとんど丸出しの太ももが持ち上がって新たに白い袴に入れ込む動作が妙に艶(なまめ)かしい。
目を逸らす颯士にはお構い無しに疑問をぶつける。
「恐らくだが母は、この刀であの手の物体を斬っていたと思うんだが。」
椿は灯里を追う蔦を指差す。
「いや、しかしあの青白い能力で出来たものは、あの人の身体と一緒で普通の攻撃は効かないと思うのですけど…」
と言って颯士は考え込む。
言っている間に大蛇が灯里に巻き付く。
「颯士君、灯里ちゃんが捕えられてしまったぞ。」
椿は腰の刀を持ち直して灯里の方へ向かおうとする。
「待って、椿さん」
颯士が制止する。
「このまま行っても無駄です。どうせダメージを与える術がない。それよりも…」
椿も言いたいことを察した。
「いや、しかし…」
「これしか手はないです。」
・
・
・
「(もう少し、もう少しだけ、ここから動くな…)」
灯里は頭の中でイメージを練り上げていた。
「もう颯士クンは椿ちゃんに乗り替えちゃったのかもねぇ」
薄ら笑いを浮かべながら絶望させようとしてくる。
「(生半可な威力じゃ駄目だ…綿密にイメージするんだ…)」
形の隅々まで、硬さや質感まで、しっかりイメージする。
「もう諦めちゃったのかしら?さっきまでの威勢はどうしたの?」
さらに女が煽ってくるが、無視をして集中する。
女が手を伸ばし、灯里の口元を人差し指と親指で挟みこむ。
「聞こえてんのか!?ガキが!!」
豹変した女に一瞬怯む、が、
「あく…」
「あ?」
「悪夢の…花…」
灯里を中心に爆発するかのように白いトゲが全方位に発生する。
かつて灯里を追い詰めた綺羅々の技。
無数のトゲが蛇を引き裂き、女の身体に突き刺さる。
「(やった…かな…?)」
拘束から解き放たれたが、エネルギーを使いすぎてしまった灯里を激しい脱力感が襲う。
ペタンッ…思わず座り込んでしまう。
「(ヤバいな、ほとんど残量がない…)」
トゲを回収しようと手を伸ばすものの、イメージし慣れていなかったことや爆発を強くしすぎたせいですぐに霧散してしまう。
「(くそっ、回収できない)」
そうこうしているうちに衝撃で巻き起こった砂ぼこりが徐々に晴れてゆく。
「(この一撃で終わっていて…)」
縋(すが)るような想いだが、現実は無情であった。
砂ぼこりが晴れて、姿を表したのは、左目、右胸にぽっかりと穴が空いた女だった。
「メスガキが…楽には死ねると思うな!」
ヒステリックに叫ぶ女には以前のような妖艶さや余裕のある態度はなくなっていた。
フラフラと近づいてくるが、消耗しきった灯里も立ち上がる気力が足りない。
震える右腕を持ち上げながら、ぼんやりし始めている頭の中でイメージを組み上げる。
「白龍…」
ガッ…
女の拳が灯里の顔面に叩き込まれる。
そのまま抵抗する力もなく吹っ飛ばされ地面に倒れこんだ。
「私をこんな姿にして…許さないからなぁ…!」
ゴスッ…
起き上がれない灯里の腹部を蹴りつける。
「うっ…」
灯里はもはや絶望を感じる余裕すらなかった。
思えば今までも不死身みたいな相手ばかりではあった。
痛みを感じない綺羅々
防御力がやたら高いサトル
そしてこの女、名前すらまだ分からないけれどコイツこそ本物の不死身かと思っていた。
だがむしろコイツは…
・
・
・
「いい加減倒れろっ!!」
女に駆け上るように必殺の四連蹴りを放つ。
そのまま飛び上がった上空から、体勢を崩した女へ叩きつけるように白龍を放つ。
「灯火白龍擊(とうかはくりゅうげき)!」
2つの技を合わせた必殺技。
だが放たれた白龍を女は難なく躱す。
「今のを躱すのか…!」
上空から降り立った灯里に蔦(つた)が襲いかかるが、即座に後ろに飛び躱す。
「こんな感じかしら?」
女が左手を前にかざすと、手のひらから青白く光る大蛇が現れる。
「蒼蛇擊(そうだげき)ってところね」
飛び込んでくる大蛇を間一髪躱すが、大蛇はグルンとカーブを描く。
「えっ…」
そのまま大蛇は灯里に巻き付き、スルスルと締め上げていく。
咄嗟に全身に鋼鉄の硬さをイメージしたコーティングを張ってなんとか耐えるが、お構いなしに大蛇は巻き付いてくる。
端から見ていると難なく巻き付いているようだがその力は相当なものらしく、ギリギリと軋む音が聞こえてくる。
「(コーティングが破られたら終わる…何か手は…)」
考えている間にも蛇は締め付けてくる。
「(何かこう、内側から爆発するようなイメージの技…)」
苦しむ灯里の横で蛇を撫でながら女は灯里の耳元で囁く。
「お友達は薄情ね、こんな状態でもお話に花が咲いているみたいよ」
離れたところで颯士と椿が話し込んでいる様子が見える。
「(いや、颯士のことだ、何か打開の策を話し合っているんだ)」
ピキッ…
コーティングにヒビが入る。
「(だけど、策を待っている余裕があるかは微妙ね…自分でも手を考えなければ)」
・
・
・
「集中できないんで『コッチの袴』履き直してください。」
颯士は灯里が作った白い袴を椿に手渡しながら言った。
複雑なギミックをつけた刀に比べて構造は単純なのとイメージトレーニングの結果なのか、意外に袴はまだ形を保っていた。
「脱がしたのは颯士君だろう?」
「だから不可抗力ですって…」
颯士の弁明はどこ吹く風で椿は話を進める。
「まだ疑問が残るんだが…」
本人は気付いていないのだろうが、元々履いていた袴からほとんど丸出しの太ももが持ち上がって新たに白い袴に入れ込む動作が妙に艶(なまめ)かしい。
目を逸らす颯士にはお構い無しに疑問をぶつける。
「恐らくだが母は、この刀であの手の物体を斬っていたと思うんだが。」
椿は灯里を追う蔦を指差す。
「いや、しかしあの青白い能力で出来たものは、あの人の身体と一緒で普通の攻撃は効かないと思うのですけど…」
と言って颯士は考え込む。
言っている間に大蛇が灯里に巻き付く。
「颯士君、灯里ちゃんが捕えられてしまったぞ。」
椿は腰の刀を持ち直して灯里の方へ向かおうとする。
「待って、椿さん」
颯士が制止する。
「このまま行っても無駄です。どうせダメージを与える術がない。それよりも…」
椿も言いたいことを察した。
「いや、しかし…」
「これしか手はないです。」
・
・
・
「(もう少し、もう少しだけ、ここから動くな…)」
灯里は頭の中でイメージを練り上げていた。
「もう颯士クンは椿ちゃんに乗り替えちゃったのかもねぇ」
薄ら笑いを浮かべながら絶望させようとしてくる。
「(生半可な威力じゃ駄目だ…綿密にイメージするんだ…)」
形の隅々まで、硬さや質感まで、しっかりイメージする。
「もう諦めちゃったのかしら?さっきまでの威勢はどうしたの?」
さらに女が煽ってくるが、無視をして集中する。
女が手を伸ばし、灯里の口元を人差し指と親指で挟みこむ。
「聞こえてんのか!?ガキが!!」
豹変した女に一瞬怯む、が、
「あく…」
「あ?」
「悪夢の…花…」
灯里を中心に爆発するかのように白いトゲが全方位に発生する。
かつて灯里を追い詰めた綺羅々の技。
無数のトゲが蛇を引き裂き、女の身体に突き刺さる。
「(やった…かな…?)」
拘束から解き放たれたが、エネルギーを使いすぎてしまった灯里を激しい脱力感が襲う。
ペタンッ…思わず座り込んでしまう。
「(ヤバいな、ほとんど残量がない…)」
トゲを回収しようと手を伸ばすものの、イメージし慣れていなかったことや爆発を強くしすぎたせいですぐに霧散してしまう。
「(くそっ、回収できない)」
そうこうしているうちに衝撃で巻き起こった砂ぼこりが徐々に晴れてゆく。
「(この一撃で終わっていて…)」
縋(すが)るような想いだが、現実は無情であった。
砂ぼこりが晴れて、姿を表したのは、左目、右胸にぽっかりと穴が空いた女だった。
「メスガキが…楽には死ねると思うな!」
ヒステリックに叫ぶ女には以前のような妖艶さや余裕のある態度はなくなっていた。
フラフラと近づいてくるが、消耗しきった灯里も立ち上がる気力が足りない。
震える右腕を持ち上げながら、ぼんやりし始めている頭の中でイメージを組み上げる。
「白龍…」
ガッ…
女の拳が灯里の顔面に叩き込まれる。
そのまま抵抗する力もなく吹っ飛ばされ地面に倒れこんだ。
「私をこんな姿にして…許さないからなぁ…!」
ゴスッ…
起き上がれない灯里の腹部を蹴りつける。
「うっ…」
灯里はもはや絶望を感じる余裕すらなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
しちせき 14.4光年の軌跡
主道 学
SF
学校帰りの寄り道で、商店街へ向かった梶野 光太郎は、そこで街角にある駄菓子屋のガチャを引いた。
見事不思議なチケット「太陽系リゾート地。宇宙ホテル(宇宙ステーション・ミルキーウェイ)」の当たりを引く。
同時刻。
世界各地でオーロラが見えるという怪奇現象が起きていた。
不吉な前兆を前に、光太郎たちは宇宙ステーション・ミルキーウェイへ宿泊するが……。
度々改稿作業加筆修正をします汗 本当にすみません汗
お暇潰し程度にお読みくださいませ!
MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』
姜維信繁
SF
1,769年の時を超えて目覚めた古代の女王壱与と、現代の考古学者が織り成す異色のタイムトラベルファンタジー!過去の邪馬壱国を再興し、平和を取り戻すために、二人は歴史の謎を解き明かし、未来を変えるための冒険に挑む。時代考証や設定を完全無視して描かれる、奇想天外で心温まる(?)物語!となる予定です……!
「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.
あおっち
SF
海を埋め尽くすAXISの艦隊。
飽和攻撃が始まる台湾、金門県。
海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。
同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。
苫小牧市を守るシーラス防衛軍。
そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!
SF大河小説の前章譚、第5部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
怪獣特殊処理班ミナモト
kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる