魂を彩る世界で

Riwo氏

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【復讐編15】場の空気を読んでいつになくハイテンションになったりする人は多分、良い人

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目まぐるしく動く戦況に全くついていけなかった。

戦いに混ざったところで灯里や椿が動きにくくなるだけだし、それよりも気になることがあった。

推測が当たっているとしたら、現状で打つ手がなくなってしまう。

とりあえず情報収集をしながら作戦を考えないと。

「お姉さん、先日は落ち込んでいるところを慰めてくれてありがとうございました。」

「いいのよぉ、お礼なんて。それより悩んでいたのはこの子のことだったのね」

女の横で灯里は意識を失ったまま倒れている。

随分オカルトな話だが、これまでの話や発言から考えて、あの白い玉が灯里の『魂』なのだろう。

そして、今の灯里は脱け殻状態。

普通に考えると、元に戻すには『魂』を取り返せば良いのだろうが…

推測が正しければ、自分一人でどうにかするのはかなり難しい。

せめて、椿が意識を取り戻してくれれば幾分マシになるのだが。

とりあえずはダメ元で交渉してみるか…

「お姉さん、その白いやつ。好みじゃないなら譲って貰えません?」

灯里の魂の返還を要求してみる。

「う~ん、キミのことは嫌いじゃないからお願いは聞いてあげたいけど、この子に戻されたら面倒なのよねぇ」

女は指を口元に当て、悩ましげなポーズを取る。

多分これはダメと言うことだろう。

ならば、椿が意識を取り戻すための時間稼ぎを少しでもしないと。

「それってやっぱり、魂ってやつですか?」

ちょっと驚いたような顔をして、そして口許を緩める。

「意外に駆け引きをしないタイプなのね。」

ふふっ、と微笑んだ後に続けた。

「そうね、正解。これは人が魂と呼ぶもの。」

クルクルと器用に掌の上で魂を転がしながら続ける。

「それを取ってどうするんですか?」

案外、なんでも答えてくれそうな雰囲気…。
聞くだけならタダだしダメ元で聞こう。

「夢の中とか、想像の中では現実じゃあり得ないことを実現したりできるでしょ?」

頷いて肯定の意を示すと、女はニッコリと笑って続ける。

「けれども、稀にその『あり得ない想像』を具現化できる人達もいるのは、キミもこれまでに目にしてきたよね?」

灯里や綺羅々、新島や近藤。まさにこれまでに見てきた能力者達のことだろう。

再び頷く。

「その人達は何をエネルギーとして想像を具現化していたと思う?」

この流れで分からないはずがない。

つまりは

「自分の魂…」

「ご名答♪」

女は嬉しそうに拍手をしてみせる。

漸(ようや)く話が見えてきた。

この女は恐らく、魂を集めて何かを作ろうとしているのだろう。

その何かを作るためには莫大な数の魂が必要ってところだろうか。

「何か作りたいものでも…って聞いたら、教えて貰えるものです?」

回りくどい言い方だが、機嫌を損ねず出来る限りの情報が欲しい。

だが女は頬に手を当てて

「そうねぇ…」

と濁してから続ける。

「それは、内緒かな。」

当然、簡単には全ては教えて貰えないか。

「ですよねぇー。アハハ…」

「うふふ。いい男はあまりガツガツしすぎないものよ」

『嫌いじゃない』と言いながらもガードが固い。

当たり前だが女はこちらも警戒しているのだろう。

「もう1つ質問、いいですか?」

「もぅ、知りたがり屋さんなんだから。」

困った子ね、と言わんばかりに女は言う。

椿はまだ目を覚まさないのか。

そろそろ引き伸ばすのも限界だ。

「へへ、すみません。あの、『綺麗な魂』ってどんな魂ですか?俺にも前に言ってくれたし…その、気になって…」

「『綺麗な魂』は、そのまんま魂の色が綺麗ってことよ。この子のは…真っ白だけど…」

灯里と、灯里の魂を見比べて言う。

「そうね、例えばあっちで倒れている子の魂は、スカーレットに黒が混ざりかけていてとても綺麗。元々の情熱的な性格に、復讐の闇の色が混ざっているのでしょうね。」

促されて見るフリをして椿の様子を窺う。

「なるほど、性格や経験で魂が彩られるのですね!美術部としては興味深いなぁ!」

チラチラッ…

「いいわよ、どうせ今からいただく予定だったから一緒に見てみましょう。」

「え!いいんですか!?けど魂を取る時ってやっぱり胸に手を突っ込むんですよね?見えちゃったりしないかな!?」

チラチラッ…

女は意味を理解すると一瞬目を見開いて、それから口角がニヤリと上がった。

「もぅ、困った子ね。お年頃だから仕方ないけど、本当に好きな子に嫌われちゃうぞ」

女は白々しくもプリプリと怒って見せる、が…

「そうね、背徳感でキミの魂がどんな色に変わるか見てみるのも面白そうだけどね」

ペロリ…舌なめずりをして見せる。

「え、それじゃあじっくりみても良いですかね?ついでにその、袴の下の下着とかも見て良いですかね!?」

チラチラチラッ…

「えっちなんだから…気絶しているし、魂も抜き取られるわけだし、問題はないとは思うけど…」

女は少し呆れ顔になった。

「え、じゃあ俺が袴脱がせてもいいですか!?」

チラチラッ…チラチラッ…

「もぅ!好きにして良いけど…あまりえっちだとお姉さんに嫌われちゃうぞ!」

「えへへ、これっきりにしますんで…」

チラッ…

「さっきからあの子のこと見すぎよ。もうさっさと魂取っちゃいましょ。」

女と一緒に椿へと歩み寄っていく。

軽蔑する素振りをしながらも、女は椿に欲望が向けられることを期待しているようであった。

魂の色が屈辱で変わるのを楽しみたいと言ったところだろうか。





椿の足元に座り、少しずつ白い袴を脱がし始めた。

女は

「しょうがない子ね」 

ハァッ…とため息をついて見せる。

ズリズリと丁寧に白い袴だけを脱がしていく。

「すみません、楽しませてもらって」

「もう、今回だけよ」

「えぇ、こんな機会そうそうないですしね。」

そう言って脱がし追えた袴を手に持つ。

「ホント、すみません、『椿さん!』」


ブォン!!


脱がした袴を女に向かって叩きつけた。
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