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【復讐編3】初対面の人に無礼な態度取るのはやめましょう。
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正義感の強い灯里のことだから、そう言うと思っていた。
加えて、「拘束されて動けない状況」と「圧倒的優位な状態で協力を申し出てくるメリットがない」ことから、灯里にその気はなかったとしても心理的に揺さぶることに成功したようだ。
「詳しく、聞かせてくれないか…」
すっかり大人しくなってしまったのを見て、これ以上の敵意はないと判断した灯里は、アイアンメイデンを解除した。
「まずは自己紹介、私は吉村灯里、高2。あっちは神楽坂颯士。年は一緒。あなたは?」
「椿(つばき)だ。高3。」
それは名字なのか、名前なのか…
もうちょっと親切な自己紹介をしてくれても良いのに、と思うけどもややこしくなりそうなので話を進めることにする。
「椿さん、でいいかな?」
「構わん。」
ちょっとお堅い態度が生意気に感じるが、一応年上ではあるようなので、気にしないことにする。
「まずはそちらの事情から聞きたいのだけど…」
気になることは灯里がグイグイ聞きに行くのは助かる。
実は結構苦手だったりするのだ。この手の話を聞き出すのは。
「悪いが、まだ完全に信用したわけではない。そちらの妖術の納得いく説明からしてくれないか。」
うーん、この態度。いきなり襲いかかってきて、立場的にも追い詰められた側の癖に偉そう…
俺とは合わなそうだ。
「おっけー、そう言うことなら。」
灯里はサバサバと気にもしていない様子。
もしかして聖人なのではあるまいか。
そんな聖人、灯里は要点をかいつまんで説明をした。
自分は妖怪ではないこと。
ある日、突然能力に目覚めたこと。
その能力で色々な戦いを乗り越えてきたこと。
他にも能力者がいたが、能力の目覚めのキッカケは良く分からないこと。
「突然だの良く分からないだの抽象的なことばかりだな。」
何となくまた、鼻につく態度で言い放つ。
「ハハハ、面目ない!」
笑って対応する灯里はやはり聖人だ。
今までずっと『ムッ』とした顔をしていた椿も、ほんの少し口角が上がったのをかんじた。
「それでは、こちらの事情も。」
そう言って椿は事情を話し始めた。
・
・
・
椿はこの神社の一人娘である。
椿の父親は神主で、娘には甘々ながらも正しいことを行うことの大切さ、間違ったことを行うと自分に返ってくるという厳しさをしっかり教える、真の意味での優しさを備えていた。
母親は代々続く剣術の使い手であった。
厳密には、表向きには剣道教室で生計を立て、それ以外の時間には一族にのみ伝わる剣術を後継者である椿に伝えていたという。
「へぇ~、現実にもそんな話があるのね。」
感心したように灯里が言う。
続けるように、完全に漫画の中の世界じゃん、と呟くと、
「わざわざ言わないだけで、存外良くある話だと思うぞ」
と椿は言う。
椿の母は剣術の腕も強かったが、『凛』と言う言葉が似合う風格と、弱音を決して吐かない心の強さも兼ね備えた女性だったらしい。
そんな椿の母には、昔から言い寄ってくる男も決して少なくはなかったそうだ。
財力のあるもの、権力のあるもの、様々な男が言い寄ってきたが、椿の母が選んだのは、腕っぷしもなければ財力もない椿の父であった。
母の友人のほとんどは、意外に感じながらも素直に二人を祝福したそうだ。
しかし、それを許さない男もいた。
母の幼なじみであり、ずっと好意を寄せていた『近藤』と言う男だけは、
「あんな甲斐性なしはやめておけ」とか「俺の方が幸せにできる」とずっと言い続けてきた。
結局最後まで近藤は、母の祝福はせず、二人の結婚式の日から完全に消息を断ったという。
ただ一言、「必ず取り返す」とだけ言い残して。
加えて、「拘束されて動けない状況」と「圧倒的優位な状態で協力を申し出てくるメリットがない」ことから、灯里にその気はなかったとしても心理的に揺さぶることに成功したようだ。
「詳しく、聞かせてくれないか…」
すっかり大人しくなってしまったのを見て、これ以上の敵意はないと判断した灯里は、アイアンメイデンを解除した。
「まずは自己紹介、私は吉村灯里、高2。あっちは神楽坂颯士。年は一緒。あなたは?」
「椿(つばき)だ。高3。」
それは名字なのか、名前なのか…
もうちょっと親切な自己紹介をしてくれても良いのに、と思うけどもややこしくなりそうなので話を進めることにする。
「椿さん、でいいかな?」
「構わん。」
ちょっとお堅い態度が生意気に感じるが、一応年上ではあるようなので、気にしないことにする。
「まずはそちらの事情から聞きたいのだけど…」
気になることは灯里がグイグイ聞きに行くのは助かる。
実は結構苦手だったりするのだ。この手の話を聞き出すのは。
「悪いが、まだ完全に信用したわけではない。そちらの妖術の納得いく説明からしてくれないか。」
うーん、この態度。いきなり襲いかかってきて、立場的にも追い詰められた側の癖に偉そう…
俺とは合わなそうだ。
「おっけー、そう言うことなら。」
灯里はサバサバと気にもしていない様子。
もしかして聖人なのではあるまいか。
そんな聖人、灯里は要点をかいつまんで説明をした。
自分は妖怪ではないこと。
ある日、突然能力に目覚めたこと。
その能力で色々な戦いを乗り越えてきたこと。
他にも能力者がいたが、能力の目覚めのキッカケは良く分からないこと。
「突然だの良く分からないだの抽象的なことばかりだな。」
何となくまた、鼻につく態度で言い放つ。
「ハハハ、面目ない!」
笑って対応する灯里はやはり聖人だ。
今までずっと『ムッ』とした顔をしていた椿も、ほんの少し口角が上がったのをかんじた。
「それでは、こちらの事情も。」
そう言って椿は事情を話し始めた。
・
・
・
椿はこの神社の一人娘である。
椿の父親は神主で、娘には甘々ながらも正しいことを行うことの大切さ、間違ったことを行うと自分に返ってくるという厳しさをしっかり教える、真の意味での優しさを備えていた。
母親は代々続く剣術の使い手であった。
厳密には、表向きには剣道教室で生計を立て、それ以外の時間には一族にのみ伝わる剣術を後継者である椿に伝えていたという。
「へぇ~、現実にもそんな話があるのね。」
感心したように灯里が言う。
続けるように、完全に漫画の中の世界じゃん、と呟くと、
「わざわざ言わないだけで、存外良くある話だと思うぞ」
と椿は言う。
椿の母は剣術の腕も強かったが、『凛』と言う言葉が似合う風格と、弱音を決して吐かない心の強さも兼ね備えた女性だったらしい。
そんな椿の母には、昔から言い寄ってくる男も決して少なくはなかったそうだ。
財力のあるもの、権力のあるもの、様々な男が言い寄ってきたが、椿の母が選んだのは、腕っぷしもなければ財力もない椿の父であった。
母の友人のほとんどは、意外に感じながらも素直に二人を祝福したそうだ。
しかし、それを許さない男もいた。
母の幼なじみであり、ずっと好意を寄せていた『近藤』と言う男だけは、
「あんな甲斐性なしはやめておけ」とか「俺の方が幸せにできる」とずっと言い続けてきた。
結局最後まで近藤は、母の祝福はせず、二人の結婚式の日から完全に消息を断ったという。
ただ一言、「必ず取り返す」とだけ言い残して。
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