21 / 84
【制服狩り編4】焦ってことを進めようとすると後でしっぺ返しがきてしまいがち
しおりを挟む
信者たちは大いに盛り上がっていた。
「綺羅々様の奇跡の力だ!」
「神の力を見せつけてください!」
調子に乗ったように綺羅々様も言う。
「謝ってももう遅いにゃぁ」
槍投げでもするかのように腕を振ると、具現化した巨大な爪が弧を描いて飛んでくる。
咄嗟に横へ跳び、避けたものの、爪はコンクリートの床に突き刺さっている。
躊躇なく殺しに来ている…!!!
「ほれほれ」
猫がじゃれるように両手を振り、巨大な爪を連発する。
躱せないスピードではないが、当たると致命傷となることが容易に想像でき、緊張感から必要以上に大きく避けてしまう。
それは体力の消耗を早めることに繋がった。
ここにくるまでに既に何戦か行ってしまっていたこと、尾行や移動にもエネルギーを使っていたこと、この戦いでも既に何回も能力を使っていたことから、残されたエネルギーも決して多くはない。
エネルギー切れは最悪、立つことすら儘ならなくなる。
そう考えている間にも絶え間なく爪は飛んでくる。
躱しながらジリジリと追い詰められていき、ついには壁に背がぶつかってしまうほど追い詰められた。
「もう逃げ場はないにゃぁ~」
ニタァ…と口角があがる綺羅々様の悪魔の笑みに呼応するかのように、今までで最大の大きさの爪が具現化されていく。
刺さらなくても下敷きになるだけで十分致命傷になる大きさ。
決心するしかない。もう後ろに下がれないのならば…
静かに集中する。
どうせ相手も能力を使いまくっているんだ。今さらこっちの能力を見られても大事にはなるまい。なってもいいや、今ヤバいし。
相手は痛みを感じていないのか、痛みが本当に好きなのか、攻撃が効いているのかいないのか全然分からない。
ならば、有無を言わさずダウンさせる威力を叩き込むしかない。
龍のイメージだ。あれから練習して絵を見なくてもイメージできるようになった。
だが一発で決めないと。
外したら後がない。
「いっくにゃぁ~」
極大の爪が放り投げられるが、それを加速してくぐり抜ける。
勝算はあった。
あれだけ巨大な爪を何本も出して、あっちもエネルギーが限界に近いのではないか。
相手は一度も回収していない。むしろ回収の存在を知らない可能性すらある。
ならばこの極大爪さえ凌げばしばらくは何も出せない…はず。
かわした爪が地面を破壊する音が背後でしたが、振り返る余裕もなく綺羅々様だけを見据えてダッシュをした。
「白龍…」
腰に構えた両手を前に突きだそうとした時であった。
「甘々だにゃぁ…」
綺羅々様の周り、全方位に向かって噴出するように巨大なトゲの花が咲いた。
「悪夢の花…にゃ」
出しかけていた龍は目標を大きく逸れて天井を貫き、トゲの花は容赦なく灯里を襲った。
「綺羅々様の奇跡の力だ!」
「神の力を見せつけてください!」
調子に乗ったように綺羅々様も言う。
「謝ってももう遅いにゃぁ」
槍投げでもするかのように腕を振ると、具現化した巨大な爪が弧を描いて飛んでくる。
咄嗟に横へ跳び、避けたものの、爪はコンクリートの床に突き刺さっている。
躊躇なく殺しに来ている…!!!
「ほれほれ」
猫がじゃれるように両手を振り、巨大な爪を連発する。
躱せないスピードではないが、当たると致命傷となることが容易に想像でき、緊張感から必要以上に大きく避けてしまう。
それは体力の消耗を早めることに繋がった。
ここにくるまでに既に何戦か行ってしまっていたこと、尾行や移動にもエネルギーを使っていたこと、この戦いでも既に何回も能力を使っていたことから、残されたエネルギーも決して多くはない。
エネルギー切れは最悪、立つことすら儘ならなくなる。
そう考えている間にも絶え間なく爪は飛んでくる。
躱しながらジリジリと追い詰められていき、ついには壁に背がぶつかってしまうほど追い詰められた。
「もう逃げ場はないにゃぁ~」
ニタァ…と口角があがる綺羅々様の悪魔の笑みに呼応するかのように、今までで最大の大きさの爪が具現化されていく。
刺さらなくても下敷きになるだけで十分致命傷になる大きさ。
決心するしかない。もう後ろに下がれないのならば…
静かに集中する。
どうせ相手も能力を使いまくっているんだ。今さらこっちの能力を見られても大事にはなるまい。なってもいいや、今ヤバいし。
相手は痛みを感じていないのか、痛みが本当に好きなのか、攻撃が効いているのかいないのか全然分からない。
ならば、有無を言わさずダウンさせる威力を叩き込むしかない。
龍のイメージだ。あれから練習して絵を見なくてもイメージできるようになった。
だが一発で決めないと。
外したら後がない。
「いっくにゃぁ~」
極大の爪が放り投げられるが、それを加速してくぐり抜ける。
勝算はあった。
あれだけ巨大な爪を何本も出して、あっちもエネルギーが限界に近いのではないか。
相手は一度も回収していない。むしろ回収の存在を知らない可能性すらある。
ならばこの極大爪さえ凌げばしばらくは何も出せない…はず。
かわした爪が地面を破壊する音が背後でしたが、振り返る余裕もなく綺羅々様だけを見据えてダッシュをした。
「白龍…」
腰に構えた両手を前に突きだそうとした時であった。
「甘々だにゃぁ…」
綺羅々様の周り、全方位に向かって噴出するように巨大なトゲの花が咲いた。
「悪夢の花…にゃ」
出しかけていた龍は目標を大きく逸れて天井を貫き、トゲの花は容赦なく灯里を襲った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』
姜維信繁
SF
1,769年の時を超えて目覚めた古代の女王壱与と、現代の考古学者が織り成す異色のタイムトラベルファンタジー!過去の邪馬壱国を再興し、平和を取り戻すために、二人は歴史の謎を解き明かし、未来を変えるための冒険に挑む。時代考証や設定を完全無視して描かれる、奇想天外で心温まる(?)物語!となる予定です……!
MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.
あおっち
SF
海を埋め尽くすAXISの艦隊。
飽和攻撃が始まる台湾、金門県。
海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。
同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。
苫小牧市を守るシーラス防衛軍。
そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!
SF大河小説の前章譚、第5部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
怪獣特殊処理班ミナモト
kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる