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非日常を求めるといっても実際に求めるのは自分に都合の良い非日常である
しおりを挟む神楽坂颯士は考える。
男としてどうなんだ?と。
倉庫の時も、変態男の時もそうだ。
気絶させられ、スケッチブックを渡したくらいのことしかしていない。
…気絶させたのは灯里だけど。
灯里はDV男にも、複数のチンピラにも、敵わなそうな敵にも怯まず立ち向かって行った。
…原因は灯里が撒いた種だけど。
とりあえず最低限、自分の身を守れるくらいには鍛えておきたい。
と、腕立て伏せ4回目くらいで腕の筋肉に限界を感じたので一休みしながらぼんやりと考えていた。
もし戦いに巻き込まれても、戦力が1人より2人の方が良いに決まっている。
せめて俺にも能力があればなぁ。
推測の域を出ないのだけど、灯里は多分、お手本なしにイメージするのはあまり得意ではないような気がする。
複雑な形状の能力を発動する時は細部までじっくりイメージしないとちゃんとしたものは出せないわけで、良く見知ったものや簡単な形状のものは出せても、龍を想像だけで細部まで作り出すことはできないようだ。
親の顔を思い出せといきなり言われて、ぼんやりと浮かべることは出来ても、何も見ずに精巧な似顔絵を描けない感覚に似ている。
そもそも何故、能力が発動したのだろう。
漫画とかアニメだと血統とかあったりするけど、灯里の様子を見ると周りに能力が発動した人は居なそうだし。
灯里以外に能力者を見たことないから共通点とかもわからん。
そんなことを考えながらスクワットをしてみていたが16回くらいで脚の筋肉に限界を感じたので休みながら考えていた。
身体を鍛えるって大変なんだな…
簡単に筋肉がつく手はないだろうか。
手ぐせのようにスケッチブックにマッチョの絵を描きながら思う。
マッチョ…
細マッチョ
ソフトマッチョ
ゴリマッチョ…
様々なマッチョを何となく描きながらアイデアを練る。
筋力はそのまま破壊力に繋がる。
やはりマッチョになるのが一番の近道か…
しかし颯士はどちらかと言うと完全な文化系男子。
今から筋肉を本格的につけるにはちょっと時間がかかりすぎる。
非力でも力を手にする方法…
いっそのこと灯里に何か作ってもらうのはどうだろうか。
灯里は非力さを能力を応用してカバーしている。
蒸気の爆発のイメージはそんなに難しくないし、灯里のスタイルにしっくりきたところもあるだろう。
さすがに蒸気作られても颯士は有効利用できないのでそれに代わる何か。
うーん…
ご飯を食べる時も、風呂に入る時も、布団に入ってからも颯士はずっと考えた。
颯士が役に立つ方法、自分に能力が芽生える方法…
寝不足のまま学校に行くもやはり颯士は悩んでいた。
思い付いたものをノートに羅列して吟味してみるか…
もういっそ、能力で筋肉を出して颯士をコーティングしてもらうか?
時間限定だが、パワーアップできないだろうか…
とりあえず第一案として書き留めておこう。
『マッチョ』
しかし時間限定か…
常時使える技や武器も課題だな。
『ジョウジ』
そう言えば灯里は猫を精巧に作ることは出来たな。普段から慣れ親しんだものはすぐに作ることもできるのか。猫愛とかで能力が芽生えたとか?
『ネコ』
よもや能力に拘らなくても武器とか用意するのも手か?けど刀とか持ち歩くわけにもいかないからなぁ。有事の際にもすぐ取り出せるようなものがいいか?
『ユウジ』
いや、それなら能力で刀を出して貰うのも手か。けれども斬れるものだと殺してしまいかねない。殺傷能力は低いけど威力がある木刀みたいな。どうせならちょっと大きい方がいいか?太刀みたいな。
『タチ』
しかし武器の案は前にも出したが、灯里は使いこなすのが難しかったようで結局肉弾がメインになっていたな。曲芸のように使いこなせるようになるのも課題だな。
『ゲイ』
しかし灯里は武器を出すのも見本が必要か。描いていないものも咄嗟にスケッチできるといいのだが。写生とか。
『シャセイ』
うーん、寝不足のせいか考えがまとまらない。
脳神経がピリピリする感じがする。
と、行き詰まって、息詰まっていると
「どうした、難しい顔して」
と背後から声をかけられた。
声の主は真田雄二(さなだゆうじ)
颯士とは幼なじみでくされ縁。
颯士と違ってレスリング部で日々鍛えているパワフルさを持ち、彼女いない同盟などと一方的に颯士に押し付けてくる三枚目である。
「おう、雄二か、いやちょっと色々悩んでてね…」
寝不足と自律神経失調症で少し顔が火照る感じがした。頭がクラクラして少し眠い。
「なになに?また絵でも描いてるの?俺様の芸術的アドバイスでも欲しいのか?」
雄二は冗談めかしながら、颯士のアイデアノートをみた。
マッチョ…ジョウジ…?
なんだなんだ、鍛えたいのか?なんの暗号だ?
ネコ ユウジ…雄二?俺のこと?猫飼ってないけど…
タチ…立ち?何が?ナニが?
てことはジョウジは情事…?
タチとかネコとかそっちの…?
俺がネコ?タチは颯士?
いやいや、勘違いだよな?
疑心暗鬼になりながらも勘違いであってほしい一心で目線を進める
『ゲイ』
!!!!
颯士の顔を見るとなんだか頬を赤らめているようにも見える。
ま、マジか…いくら女に相手されないからって…
最後のキーワードを見ると
『シャセイ』
や、ヤバい!!狙われている!!!
「あぁ、寝たい」
眠気がピークに達した颯士がボソッと呟く。
(ストレートに誘ってきた!!)
「お、おれ、用事思い出したわ、じゃあな!!」
雄二は逃げるように去っていった。
何しにきたんだアイツ?まぁいいや。
颯士はそのまま居眠りに入った。
放課後、いつものように灯里と特訓をしようと待ち合わせをしていた。
色々と考えたがまずはこれをお願いしてみよう。
「俺をマッチョにしてくれ!」
「キモい。」
即答で断られて、うなだれながら去る颯士であった。
残されたノートをパラパラとめくり、灯里が見たものは…
「アイツ…マッチョになってナニするつもりだったのよ…」
顔を赤らめ軽蔑しながらも、どこか興味津々な灯里であった。
男としてどうなんだ?と。
倉庫の時も、変態男の時もそうだ。
気絶させられ、スケッチブックを渡したくらいのことしかしていない。
…気絶させたのは灯里だけど。
灯里はDV男にも、複数のチンピラにも、敵わなそうな敵にも怯まず立ち向かって行った。
…原因は灯里が撒いた種だけど。
とりあえず最低限、自分の身を守れるくらいには鍛えておきたい。
と、腕立て伏せ4回目くらいで腕の筋肉に限界を感じたので一休みしながらぼんやりと考えていた。
もし戦いに巻き込まれても、戦力が1人より2人の方が良いに決まっている。
せめて俺にも能力があればなぁ。
推測の域を出ないのだけど、灯里は多分、お手本なしにイメージするのはあまり得意ではないような気がする。
複雑な形状の能力を発動する時は細部までじっくりイメージしないとちゃんとしたものは出せないわけで、良く見知ったものや簡単な形状のものは出せても、龍を想像だけで細部まで作り出すことはできないようだ。
親の顔を思い出せといきなり言われて、ぼんやりと浮かべることは出来ても、何も見ずに精巧な似顔絵を描けない感覚に似ている。
そもそも何故、能力が発動したのだろう。
漫画とかアニメだと血統とかあったりするけど、灯里の様子を見ると周りに能力が発動した人は居なそうだし。
灯里以外に能力者を見たことないから共通点とかもわからん。
そんなことを考えながらスクワットをしてみていたが16回くらいで脚の筋肉に限界を感じたので休みながら考えていた。
身体を鍛えるって大変なんだな…
簡単に筋肉がつく手はないだろうか。
手ぐせのようにスケッチブックにマッチョの絵を描きながら思う。
マッチョ…
細マッチョ
ソフトマッチョ
ゴリマッチョ…
様々なマッチョを何となく描きながらアイデアを練る。
筋力はそのまま破壊力に繋がる。
やはりマッチョになるのが一番の近道か…
しかし颯士はどちらかと言うと完全な文化系男子。
今から筋肉を本格的につけるにはちょっと時間がかかりすぎる。
非力でも力を手にする方法…
いっそのこと灯里に何か作ってもらうのはどうだろうか。
灯里は非力さを能力を応用してカバーしている。
蒸気の爆発のイメージはそんなに難しくないし、灯里のスタイルにしっくりきたところもあるだろう。
さすがに蒸気作られても颯士は有効利用できないのでそれに代わる何か。
うーん…
ご飯を食べる時も、風呂に入る時も、布団に入ってからも颯士はずっと考えた。
颯士が役に立つ方法、自分に能力が芽生える方法…
寝不足のまま学校に行くもやはり颯士は悩んでいた。
思い付いたものをノートに羅列して吟味してみるか…
もういっそ、能力で筋肉を出して颯士をコーティングしてもらうか?
時間限定だが、パワーアップできないだろうか…
とりあえず第一案として書き留めておこう。
『マッチョ』
しかし時間限定か…
常時使える技や武器も課題だな。
『ジョウジ』
そう言えば灯里は猫を精巧に作ることは出来たな。普段から慣れ親しんだものはすぐに作ることもできるのか。猫愛とかで能力が芽生えたとか?
『ネコ』
よもや能力に拘らなくても武器とか用意するのも手か?けど刀とか持ち歩くわけにもいかないからなぁ。有事の際にもすぐ取り出せるようなものがいいか?
『ユウジ』
いや、それなら能力で刀を出して貰うのも手か。けれども斬れるものだと殺してしまいかねない。殺傷能力は低いけど威力がある木刀みたいな。どうせならちょっと大きい方がいいか?太刀みたいな。
『タチ』
しかし武器の案は前にも出したが、灯里は使いこなすのが難しかったようで結局肉弾がメインになっていたな。曲芸のように使いこなせるようになるのも課題だな。
『ゲイ』
しかし灯里は武器を出すのも見本が必要か。描いていないものも咄嗟にスケッチできるといいのだが。写生とか。
『シャセイ』
うーん、寝不足のせいか考えがまとまらない。
脳神経がピリピリする感じがする。
と、行き詰まって、息詰まっていると
「どうした、難しい顔して」
と背後から声をかけられた。
声の主は真田雄二(さなだゆうじ)
颯士とは幼なじみでくされ縁。
颯士と違ってレスリング部で日々鍛えているパワフルさを持ち、彼女いない同盟などと一方的に颯士に押し付けてくる三枚目である。
「おう、雄二か、いやちょっと色々悩んでてね…」
寝不足と自律神経失調症で少し顔が火照る感じがした。頭がクラクラして少し眠い。
「なになに?また絵でも描いてるの?俺様の芸術的アドバイスでも欲しいのか?」
雄二は冗談めかしながら、颯士のアイデアノートをみた。
マッチョ…ジョウジ…?
なんだなんだ、鍛えたいのか?なんの暗号だ?
ネコ ユウジ…雄二?俺のこと?猫飼ってないけど…
タチ…立ち?何が?ナニが?
てことはジョウジは情事…?
タチとかネコとかそっちの…?
俺がネコ?タチは颯士?
いやいや、勘違いだよな?
疑心暗鬼になりながらも勘違いであってほしい一心で目線を進める
『ゲイ』
!!!!
颯士の顔を見るとなんだか頬を赤らめているようにも見える。
ま、マジか…いくら女に相手されないからって…
最後のキーワードを見ると
『シャセイ』
や、ヤバい!!狙われている!!!
「あぁ、寝たい」
眠気がピークに達した颯士がボソッと呟く。
(ストレートに誘ってきた!!)
「お、おれ、用事思い出したわ、じゃあな!!」
雄二は逃げるように去っていった。
何しにきたんだアイツ?まぁいいや。
颯士はそのまま居眠りに入った。
放課後、いつものように灯里と特訓をしようと待ち合わせをしていた。
色々と考えたがまずはこれをお願いしてみよう。
「俺をマッチョにしてくれ!」
「キモい。」
即答で断られて、うなだれながら去る颯士であった。
残されたノートをパラパラとめくり、灯里が見たものは…
「アイツ…マッチョになってナニするつもりだったのよ…」
顔を赤らめ軽蔑しながらも、どこか興味津々な灯里であった。
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