上 下
4 / 50

4.我慢できない※

しおりを挟む
「うわ、たまんないや……」

 リヒトがゆっくり近づいてくる。

「貴様っ、許さんっ!」

 破壊光線を出そうと我は手を向けるが、掌から出るはずの光線が出ない。
 あ、あれ、おかしい……、魔力が弱まってしまったか、と呆気に取られているうちに、奴が目前まで迫っていた。

 やられる、首をはねられるか、それとも胸を切られるか! と覚悟し、痛みに備えて目をぎゅっと瞑った。

 しかし感じたのは我のあごを掴んだ手の感触と唇にねっとりと触れた柔らかな何か。
 ちゅっ……と音がして、恐る恐る目を開けると、奴の顔が触れ合いそうなほど近くにあった。

 我と目が合い、ふっと微笑んだ。
 ま、まさかキスされたのかっ! なぜっ!

「ごめん、初対面なのに俺もう我慢できない……。やりたくて死にそう。こんなこと初めてだよ……。あんたが魔王だとか、人間の敵だとか、そんなこともうどうでもいいんだ」

 リヒトはズボンのファスナーを下ろしてバキバキに勃起して血管を浮き上がらせている巨根を取り出した。

「ほら、あんたのこと抱きたくてこんなんなってる……。召喚された時にオメガバースっていう特殊な属性がある世界だってざっくりとした説明を聞いていたけど、まさか俺がアルファだったなんて」

 我は思わず息を呑んだ。
 人間のくせにペニスがこんなにも大きいだなんて。

「ま、待て、貴様、まさかそれを我の中に挿れる気じゃないだろうなっ!?」

「大丈夫、痛くしないと約束するよ」

 奴は甘い声で囁いた。

「い、いやだっ! 我は貴様とはまぐわらんっ!」

 我は両手で奴の胸を押し退け、破れたマントだけのほぼ全裸の格好で赤子のようにハイハイして逃げようとした。 
 どんどん魔力と体力がなくなっていて、もう立ち上がることすら難しいのだ。

「逃がさないよ、やっと出会えた俺の運命の姫」

「なっ、なにっ」

 姫……だと!? この恐怖の魔王に向かって姫とは何事かっ!
 振り返って睨みつけると、奴はうっとりと我の尻を見ていた。

「すごくトロトロだね、なんてエッチな光景」

 しまった、丸裸でハイハイなんてしたら、奴に我の後孔が丸見えではないか。

「やっ、やめろ、見るなっ!」

 我の叫びも虚しくグッと腰を掴まれて、リヒトが我の双丘に顔を近づけた。

「すごい匂い、これがオメガのフェロモンか。くらくらする……」

 濡れてヒクつく穴に奴の熱い息が当たって、背筋がゾクゾクする。

「ち、ちがっ、我はオメガなんかでは……っ!」

 にゅるりと穴に何かが入った。
 指じゃない。まさかっ……!

 そう思った瞬間、それがレロレロと動き回った。

「んっ、そんな汚い場所舐めるな、馬鹿者っ! あ……、ううっ、や、やめろぉっ!」

 人間なんかに舐められて気持ちが悪いはずなのに、よだれを垂らして喘がずにはいられない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。 そこが俺の全て。 聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。 そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。 11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。 だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。 逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。 彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・

モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています

奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。 生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』 ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。 顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…? 自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。 ※エロは後半です ※ムーンライトノベルにも掲載しています

悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません

ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。 俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。 舞台は、魔法学園。 悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。 なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…? ※旧タイトル『愛と死ね』

モブの俺が巻き込まれた乙女ゲームはBL仕様になっていた!

佐倉真稀
BL
【本編完結:番外編不定期投稿中:3巻9月発売!】平凡な元社畜、俺、通利一平は乙女ゲーム「星と花と宵闇と」の世界にモブのセイアッド・ロアールとして生まれ変わった。俺の幼馴染、ノクス・ウースィクは前世の最推しで「星宵」のラスボスで隠し攻略対象者。そんなノクスをラスボスにしたくない俺は闇落ちから救おうと努力を重ねる。おかげで俺とノクスは超仲良し。そんな中、衝撃の事実が発覚! え? 第2の性がある? それってオメガバースっていうんじゃね? それってもう、乙女ゲーじゃなく……BLゲーだろ!? 基本コメディ色多めです。※が付く話は背後注意。※第9回BL小説大賞応援ありがとうございました。おかげさまで奨励賞いただきました。 ※R5.7.5書籍化に伴いタイトル変更(旧題:モブの俺が巻き込まれた乙女ゲームはいつの間にかBLゲームになっていた!)※アンダルシュノベルズbにて書籍刊行。皆様の応援のおかげです! ありがとうございました。※章位置変更 冒険者として活動開始!(10~12歳)をクエストの前に差し込みました。クエスト以下14歳までを魔の森での冒険者活動に章変更いたしました。

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

厘/りん
BL
 ナルン王国の下町に暮らす ルカ。 この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。 ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。 国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。 ☆英雄騎士 現在28歳    ルカ 現在18歳 ☆第11回BL小説大賞 21位  

処理中です...