上 下
11 / 38

11.使用人部屋

しおりを挟む
 キャロラインが持ってきた道具でさっそくスチュアートにいたずらをしようと、私はウキウキしていた。

 その日の夜、私が毎晩寝る前に飲むハーブティーのセットを片付け終えて部屋に戻って来たスチュアートに、

「今日はもう下がっていいわ」

 と私はいつものように言った。

 彼は私が快適に眠れるように部屋の明かりを調節した後、

「それでは失礼いたします」

 と一礼して、私の部屋の隣にある使用人部屋へ入って行った。



 つい先日までメイドのモニカがそこにいたが、私の世話係を彼女と交代した日からスチュアートがそこで寝起きするようになった。

 私の部屋と使用人部屋は扉一枚で繋がっているのだが、何かあった時にすぐ駆け付けられるようにそのドアにはカギがついていない。

 私はいつもベッドに横になり眠るまでの間、彼の部屋の物音に聞き耳を立てている。

 毎晩、彼はさっと風呂に入りに行き、水差しの水を飲んで静かに仮眠する。眠りは浅いようで、ちょっとした物音でもすぐに目を覚ましてしまうみたいだった。

 私はこの日の昼間、お父様の部屋に入り込んで、年齢のせいで寝つきが悪くなったと嘆いているお父様がたまに飲んでいる睡眠導入剤を一回分こっそりと持ってきていたのだ。

 彼が風呂に入りに行ったタイミングで私はそっと彼の部屋に入った。室内は決して広くはない。
 おまけに部屋の半分は洗濯された屋敷中のカーテンやテーブルクロス、シーツ、枕カバーなどが畳んで積まれているリネン室のような空間で、その隅に彼のベッドはある。

 私は急いで睡眠導入剤の粉薬を水差しの中へ入れてよく溶かした。

 自分の部屋のベッドに入って、注意深く聞き耳を立てていると彼がそっと戻って来た音、続いて水を飲む音がした。そしてしーんと静かになった。

 念のため少し時間をおいて、私は彼の部屋へ入って行った。



 手に持ったランプの明かりでベッドを照らすと、そこで彼はパジャマではなくベルトを外したスラックスにワイシャツの格好で仰向けに寝ていた。
 何があったらすぐに動けるようにそうしているのだろう、いかにも仕事熱心な彼らしかった。

 すうすう寝息を立てている顔はいつもの険しい表情ではなく、まるで双子のエドワードのように穏やかな優しい表情だった。
 いつもと違い整髪料で固めていないサラサラの長い前髪にも幼さを感じる。
 その前髪の間から見える目の横の色っぽいほくろは間違いなくスチュアートであることを証明しているのだが。

 私は彼の両手にキャロラインが持ってきた手かせをつけ、胸の前で拘束した。
 さて次はどうしようかな、と彼の全身を見回すとズボンの股間部分がずいぶんと盛り上がっていることに気が付いた。

 私は庭でズボン越しの彼の股間に足先で触れて以来、その立派なものが見たくて仕方がなかった。

 彼のズボンの前をくつろげ、私はゴクッと喉を鳴らし、彼の下着の盛り上がりに顔を近づけて、その男らしい匂いを嗅ぎ、ふぅっと息を吹きかけてみた。
 その瞬間、硬く膨らんでいるそこがビクッと震えた。

「んんぅ……」

 と彼は甘くうめいたが薬がよく効いているのだろう、それ以上の反応はなく全く起きそうにない。

 部屋には彼の寝息だけが響いている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【R18】私、悪役令嬢。〇〇をしないと出られない部屋をつくったせいでピンチです!

茅野ガク
恋愛
悪役令嬢の持つ呪いの力を利用して『○○をしないと出られない部屋』を作ろうとしたヒロインが、最強執事におしおきされる話。 ※他サイトにも投稿しています

【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!

臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。 そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。 ※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています ※表紙はニジジャーニーで生成しました

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる

一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。 そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...