【R-18】聖女は王子の呪いを解くため、大好きな勇者の前で寝取られる

６．花瓶の役

　翌朝早く、私は当主との約束通りお城のダニエル王子の元を再び訪れた。

「やっぱりまた来たのか。君も暇だねぇ」

　昨日と同じく自室で絵を描いていた彼は、キャンバスからちらりと視線を上げて呆れたように言った。

「王子様の呪いを解いてほしいと、国王陛下に頼まれているんですもの。それに王子様自身も呪いが解けた方がいいでしょう？」

「あんたに俺の気持ちなんてわかるものかっ！　いいんだよ、俺はこのままで。別に結婚したい相手がいるわけでもないんだから。一人で絵を描いて生きていられればそれで幸せなんだ」

　王子はため息をつきながら、筆先でパレットの上の絵の具をこねた。

　私は彼のそばへ寄ってキャンバスを覗いた。
　彼が書いていたのは、テーブルの上の花瓶に生けられた大輪のバラの花の絵だった。

「へー、素敵な絵ですね」

　フンっと彼は鼻で笑った。

「私でよかったら是非、絵のモデルになりますよ」

　昨日彼がモデルになってほしいと言っていたのを思い出したのだ。

　彼はしばらく黙ってキャンバスに色を塗り重ねていたが、修道服越しの私の胸や尻を眺めて吟味し、

「ふふ、モデルねぇ。……俺はいまいちこの花瓶が気に入らないから、花瓶の役なら君にやらせてもいいよ」

　と意地悪く口元を吊り上げた。

「か、花瓶の役って……？」

　嫌な予感がして私は眉をひそめた。

「全裸になってそこのベッドの上で天井に向かって足を開くんだ。そして君の大事なあそこへバラを生けるんだ」

「な、なんてことを……」

　私は全身から血の気が引いた。そんな恥ずかしいこと出来ない。

「聖女様だか何だか知らないけど、俺の呪いってどこにかかっているか知ってる？」

「せ、性器……です、よね？」

　顔を熱くしながら小さな声で答えた私の純情さを、ダニエル王子はあざ笑った。

「そう、おち〇ぽだよ。俺は１３歳の誕生日パーティーに紛れ込んでいた闇の教団の者に呪いをかけらたんだ。それ以来、医者とか神父とか学者とか、とにかく悪魔に詳しそうな人間の前でパンツを脱がされて、呪われている状況を詳しく見たいからと強引に勃起させられてきたんだ。いくら専門家といえども他人が見ている前で自分のち〇ぽを扱くのってひどい屈辱だぜ？　おまけに勃起した俺のち〇ぽを見て、バケモノだ、って顔をしておきながら、結局誰も呪いを解いてくれないし。おまけに偽聖女には騙されるし、もううんざりなんだっ！」

　王子の苦悩を想像し、私はショックで言葉を失った。

「だから俺のち〇ぽが見たい、呪いを解きたいって言うなら、まず自分が先に俺に醜態を晒すべきだと思うんだ。俺だけが君に呪われたあそこを見せて恥をかくなんてフェアじゃないじゃん。慈悲と慈愛に満ちた本物の聖女ならそれぐらいわかるだろ。……もしそれが恥ずかしいとか嫌だっていうなら、もう呪いを解くことなんか諦めて帰ってくれよ」

　彼はそう言って私に背を向け、筆をとった。私が諦めて帰ると思ったのだろう。