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第三章 森での暮らし
24.告白とキス
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「せ、狭いでしょ、僕もう上がろうかなっ」
シャンがタオルを頭に乗せてお湯の中へ腰を下ろそうとしたタイミングで、僕は右手の腕で両胸を左手で性器を隠しながら立ち上がった。
こんな狭い場所でイケメンとお互い丸裸でくっついているのなんてドキドキしないわけない。恋愛経験のない僕にはこういうときどう振舞えばいいかわからないのだ。
「狭くないよ、ちょっとだけ一緒に浸かろう……」
釜から出ようと思ったのに、腕を掴まれて引き留められた。
シャンの眼差しは真剣で、拒否することなんてできない。
「う、うん、そうだね……せっかくだし……」
僕は大人しくお湯の中へ座った。やっぱり二人で入るにはちょっと狭い。
シャンは僕の肩に腕を回して後ろから僕を抱きかかえている。色んな部分が密着している。うなじに彼の息が触れて、お湯は熱くないけどもう僕はのぼせてしまいそうだった。
しばらくするとシャンの吐息を感じなくなって、そっと振り返った。
シャンは空を見上げていた。月のない闇の夜空に無数の星がキラキラと輝いている。
「逃げようと思えば逃げられるのに、どうして君は俺のそばにいてくれるの?」
「逃げるだなんて、……僕には行く当てなんてないし」
あのバラの求婚男に捕まっては大変だ。イケメンのシャンから逃げるわけがない。
「俺のこと怖くないの?」
シャンは狼化した夜のことを気にしているんだろう。
「怖くないよ」
むしろ、いつものシャンとはまた違う美男子に乱暴に抱かれてドキドキしたぐらいだ。
「俺はずっと一人だったけど、いつかこんな俺でも一緒に暮らしてくれる人ができるんじゃないかってずっと夢見てたんだ。そしたらこうして星を見ながら一緒に風呂に入れたらいいなって思ってたんだ」
僕だってそうだ。前の世界じゃいつも孤独で、ずっとイケメンと素敵な恋がしたいって思っていながら恋人なんてできなかった。僕も夢が叶ったんだ。
「タクヤと出会えてよかった……」
シャンみたいな美男子からそんなことを言われるなんて。
「……僕だって」
形のいいシャンの唇が僕の唇へ遠慮がちに重なった。
ちゅぷっ……、ッチュ、ヌチュ……。
触れ合うだけのキスから、下唇をちゅっちゅと吸った。
満月の夜に荒々しく僕を抱いた彼とはやっぱり別人で、たどたどしく不慣れな感じが伝わってくる口づけだった。
そういえばあの夜は大きなペニスをしゃぶらされただけでキスもされていなかった。
だからこれが初めてのキスだ……。僕の人生でのファーストキスでもある。
シャンがタオルを頭に乗せてお湯の中へ腰を下ろそうとしたタイミングで、僕は右手の腕で両胸を左手で性器を隠しながら立ち上がった。
こんな狭い場所でイケメンとお互い丸裸でくっついているのなんてドキドキしないわけない。恋愛経験のない僕にはこういうときどう振舞えばいいかわからないのだ。
「狭くないよ、ちょっとだけ一緒に浸かろう……」
釜から出ようと思ったのに、腕を掴まれて引き留められた。
シャンの眼差しは真剣で、拒否することなんてできない。
「う、うん、そうだね……せっかくだし……」
僕は大人しくお湯の中へ座った。やっぱり二人で入るにはちょっと狭い。
シャンは僕の肩に腕を回して後ろから僕を抱きかかえている。色んな部分が密着している。うなじに彼の息が触れて、お湯は熱くないけどもう僕はのぼせてしまいそうだった。
しばらくするとシャンの吐息を感じなくなって、そっと振り返った。
シャンは空を見上げていた。月のない闇の夜空に無数の星がキラキラと輝いている。
「逃げようと思えば逃げられるのに、どうして君は俺のそばにいてくれるの?」
「逃げるだなんて、……僕には行く当てなんてないし」
あのバラの求婚男に捕まっては大変だ。イケメンのシャンから逃げるわけがない。
「俺のこと怖くないの?」
シャンは狼化した夜のことを気にしているんだろう。
「怖くないよ」
むしろ、いつものシャンとはまた違う美男子に乱暴に抱かれてドキドキしたぐらいだ。
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ちゅぷっ……、ッチュ、ヌチュ……。
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そういえばあの夜は大きなペニスをしゃぶらされただけでキスもされていなかった。
だからこれが初めてのキスだ……。僕の人生でのファーストキスでもある。
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