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第一章 異世界転生
4.神様からの褒美
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白いもやの中で目を覚ました。
あれ? ダンプは? 体のどこも痛くない。もしかして夢だったの? ついでに桜庭先輩とのことも夢だったらいいんだけど……。
「おい、お前さん」
目の前に光り輝くおじいさんが立っていた。
「え、……誰?」
おじいさんの背後から強い光が照り付けていて、その顔を見ることはできない。
「わしはお前さんの暮らしていた世界の神様じゃよ」
「神様……?」
眩しいけどどうにか目を細めると見える白くて長いひげは、確かに昔話なんかに出てくる神様っぽいけど。
「神様ってことは……、もしかして僕、死んだの……!?」
「ああ、そうじゃ」
そっか、ダンプの前に飛び出したのは夢じゃなかったのか。
「じゃあここは天国?」
「いや、ここはまだ天国ではない。わしがうっかり目を離したすきに、大事な少年が命を落としかけて、お前さんが体を張って守ってくれたから、わしはお前さんに感謝しているんじゃ」
「大事な少年って……あのダンプにひかれそうになっていた?」
「ああ、そうだとも。あの子はゆくゆく政治家になって日本を、いや世界を変える重要人物になる駒じゃ。だからあの場で死なれては困るところじゃった」
神様は懐から巻物を出して確認した。
そんなに重要な人物なら、もっとちゃんと見ててくれればいいのに。
「世界中の全員が生まれ持った運命通りに生きるよう管理するのがわしの務めじゃが、なにしろお前さんが生きてた世界だけでも膨大な数の人間がおるから目を離さずに監視するのは無理なんじゃ」
僕の心を読んだみたいに神様が答えた。
「そ、そうなんですね」
だから僕みたいに本来の人生を全うできずに、不運で悲しい人生を送る人間もいるのか。
「いや、お前さんは放っておいても数年後には肥満からくる病で死ぬ、本来どうでもいい捨て駒だったんじゃが」
す、捨て駒って、神様まで酷すぎない?
「まあ、とにかく今回お前さんはすごくいい働きをしてくれたからこれから褒美をやるつもりじゃ」
「褒美……?」
神様の褒美ってなんだろう、もしかしてものすんごく美味しいものでも食べさせてくれるのかな?
ご馳走を想像したら唾液が出てゴクッと喉が鳴った。
「そう焦るでない、食べ物よりももっといいものじゃ。お前さんが今までの世界で願っても叶えられなかったことを、別の世界で叶えさせてやろうと思っておる」
願っても叶えられなかったこと……? まず思いつくのは桜庭先輩とのこと。イケメンと素敵な恋がしたかったのに誰とも付き合えなかったことが僕の一番の心残りだ。
っていうか、神様は今、別の世界って言わなかった?
「これって異世界転生っ!?」
小説、特に恋愛ものが大好きな僕は、この手の話にワクワクしちゃう。前世のスキルを活かして仲間たちと大冒険したり、神様から授かったチート能力で無双したり、楽しい話ばかりだ。
「ああ、そうだとも。褒美といえども幸せを掴めるかはお前さん次第じゃ。第二の人生を楽しむがいい……」
神様の後ろの光が強さを増して、周囲が眩い光に包まれた。
あれ? ダンプは? 体のどこも痛くない。もしかして夢だったの? ついでに桜庭先輩とのことも夢だったらいいんだけど……。
「おい、お前さん」
目の前に光り輝くおじいさんが立っていた。
「え、……誰?」
おじいさんの背後から強い光が照り付けていて、その顔を見ることはできない。
「わしはお前さんの暮らしていた世界の神様じゃよ」
「神様……?」
眩しいけどどうにか目を細めると見える白くて長いひげは、確かに昔話なんかに出てくる神様っぽいけど。
「神様ってことは……、もしかして僕、死んだの……!?」
「ああ、そうじゃ」
そっか、ダンプの前に飛び出したのは夢じゃなかったのか。
「じゃあここは天国?」
「いや、ここはまだ天国ではない。わしがうっかり目を離したすきに、大事な少年が命を落としかけて、お前さんが体を張って守ってくれたから、わしはお前さんに感謝しているんじゃ」
「大事な少年って……あのダンプにひかれそうになっていた?」
「ああ、そうだとも。あの子はゆくゆく政治家になって日本を、いや世界を変える重要人物になる駒じゃ。だからあの場で死なれては困るところじゃった」
神様は懐から巻物を出して確認した。
そんなに重要な人物なら、もっとちゃんと見ててくれればいいのに。
「世界中の全員が生まれ持った運命通りに生きるよう管理するのがわしの務めじゃが、なにしろお前さんが生きてた世界だけでも膨大な数の人間がおるから目を離さずに監視するのは無理なんじゃ」
僕の心を読んだみたいに神様が答えた。
「そ、そうなんですね」
だから僕みたいに本来の人生を全うできずに、不運で悲しい人生を送る人間もいるのか。
「いや、お前さんは放っておいても数年後には肥満からくる病で死ぬ、本来どうでもいい捨て駒だったんじゃが」
す、捨て駒って、神様まで酷すぎない?
「まあ、とにかく今回お前さんはすごくいい働きをしてくれたからこれから褒美をやるつもりじゃ」
「褒美……?」
神様の褒美ってなんだろう、もしかしてものすんごく美味しいものでも食べさせてくれるのかな?
ご馳走を想像したら唾液が出てゴクッと喉が鳴った。
「そう焦るでない、食べ物よりももっといいものじゃ。お前さんが今までの世界で願っても叶えられなかったことを、別の世界で叶えさせてやろうと思っておる」
願っても叶えられなかったこと……? まず思いつくのは桜庭先輩とのこと。イケメンと素敵な恋がしたかったのに誰とも付き合えなかったことが僕の一番の心残りだ。
っていうか、神様は今、別の世界って言わなかった?
「これって異世界転生っ!?」
小説、特に恋愛ものが大好きな僕は、この手の話にワクワクしちゃう。前世のスキルを活かして仲間たちと大冒険したり、神様から授かったチート能力で無双したり、楽しい話ばかりだ。
「ああ、そうだとも。褒美といえども幸せを掴めるかはお前さん次第じゃ。第二の人生を楽しむがいい……」
神様の後ろの光が強さを増して、周囲が眩い光に包まれた。
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※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
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