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第三章 南の島の冒険
13.約束のシナモン
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「うわぁっ」
と俺は身を縮めたけど、どこも痛くない。
恐る恐る目を開けるとマギーがバリアを出して、銃弾を弾いたのだとわかった。
「あなたはこのハンマーでそこの石板を打ち砕いてください。それが私の願いです」
「どうして、この石板を?」
なにやらマギーが必死なのはわかるけど、価値の高そうな遺跡の一部を勝手に破壊するなんて気が引ける。
「そこには禁断の呪術のやり方が書かれています」
「禁断の呪術……?」
「ええ、不老不死の呪術です。この世界の支配を企む魔王はその呪術の書かれた石板を血眼になって探しています。魔王が不老不死になればこの世界は闇へ堕ちてしまいます」
「なに? 魔王様が探している石板がそこに!? それはいいことを聞いた。石板をよこせっ! お前ら、そこを退けっ!!」
人間だったはずの船長はいつの間にかトカゲのような顔のモンスターへ姿を変えていた。
「早くっ! 時間がありませんっ!」
船長だったモンスターはダンッ、ダンッ、ダンッ! と銃を乱射し、マギーのバリアを壊そうとした。
「早くっ、石板を壊してっ!」
彼女は俺に叫んだ。
「わかったっ!」
俺は渾身の力を込めてハンマーで石板を叩いた。
石板はとても硬い。ヒビは入るが割れない。
「退けぇっ! 石板を渡せっ!」
モンスターは銃弾のなくなった拳銃を捨て、大きな斧のような武器でマギーのバリアを叩き壊そうとした。
彼女はどうにか耐えている。
あまりに強く斧を叩きつけるので、モンスターの斧の金属の一部がバキンッ! と欠けて飛んだ。
それが部屋の中心の不気味な顔の大きな彫刻へ、カンッ! と音を立ててぶつかった。
「我らの神になんてことをっ!」
彼女が叫ぶと同時にゴゴゴゴゴ……と地鳴りがした。
「危ないっ!」
彼女が石板を破壊していた俺に飛びついてきた。
「ぎゃあああっ!」
と醜い悲鳴が部屋の中に響いた。
「痛ぁっ……」
突き飛ばされて体を強打した俺が目を開けると、なんとあの巨大な像が俺たちのすぐそばへ倒れていた。
モンスターは下敷きになって死んでいるし、石板もちょうど像に砕かれている。
「うわぁ、危なかった……。よかったね、うまくいった……」
俺は安堵して彼女に微笑みかけた。
「ええ、これで私も安らかに眠れます」
「えっ?」
どういう意味なんだろう……?
ゴゴゴゴゴ……と再び地鳴りが聞こえ始めた。
「守り神様の像がなくなったから、この建物は崩壊します。早く逃げてっ!」
「逃げてってマギーもっ!」
俺は彼女の手を引こうとしたが、マギーだと思っていた女の子をよく見ると、それは全くの別人だった。
「私は一緒に行けません。……ありがとう。約束は守りますね」
彼女が俺に手をかざすと、出口に向かってものすごく強い風が吹いた。
「うわああっ!」
俺はほとんど風に飛ばされるようにして、ガラガラと崩壊の始まった構造物から脱出した。
腰が抜けた俺は地面へぺたんと座り込んだ。
あの女の子を置いてきて大丈夫だったのかな……。
それにしてもおかしい。あの子は確かにマギーだったはずなのに……。
それから船長があんな恐ろしいモンスターだったなんて……。
と崩れた遺跡を見ながら考え込んだ。
「あー、そこにいましたか」
背後からマギーの声がした。
「マギーッ!」
俺は彼女が無事で嬉しくて飛びあがった。
彼女はキョトンとしながらも、
「見てください、これですよね、シナモンって」
と木の皮を差し出した。
俺はすぐに匂いを嗅いだ。
スーッと鼻を抜ける甘辛い香りがした。
「うん、これだよっ! シナモンだっ!」
「偶然、皮を剥かれた木を発見して不思議な匂いがするのできっとこれだろうと思ったんです」
マギーは嬉しそうに言った。
俺はあの子が約束を守ってくれたんだなと思った。
と俺は身を縮めたけど、どこも痛くない。
恐る恐る目を開けるとマギーがバリアを出して、銃弾を弾いたのだとわかった。
「あなたはこのハンマーでそこの石板を打ち砕いてください。それが私の願いです」
「どうして、この石板を?」
なにやらマギーが必死なのはわかるけど、価値の高そうな遺跡の一部を勝手に破壊するなんて気が引ける。
「そこには禁断の呪術のやり方が書かれています」
「禁断の呪術……?」
「ええ、不老不死の呪術です。この世界の支配を企む魔王はその呪術の書かれた石板を血眼になって探しています。魔王が不老不死になればこの世界は闇へ堕ちてしまいます」
「なに? 魔王様が探している石板がそこに!? それはいいことを聞いた。石板をよこせっ! お前ら、そこを退けっ!!」
人間だったはずの船長はいつの間にかトカゲのような顔のモンスターへ姿を変えていた。
「早くっ! 時間がありませんっ!」
船長だったモンスターはダンッ、ダンッ、ダンッ! と銃を乱射し、マギーのバリアを壊そうとした。
「早くっ、石板を壊してっ!」
彼女は俺に叫んだ。
「わかったっ!」
俺は渾身の力を込めてハンマーで石板を叩いた。
石板はとても硬い。ヒビは入るが割れない。
「退けぇっ! 石板を渡せっ!」
モンスターは銃弾のなくなった拳銃を捨て、大きな斧のような武器でマギーのバリアを叩き壊そうとした。
彼女はどうにか耐えている。
あまりに強く斧を叩きつけるので、モンスターの斧の金属の一部がバキンッ! と欠けて飛んだ。
それが部屋の中心の不気味な顔の大きな彫刻へ、カンッ! と音を立ててぶつかった。
「我らの神になんてことをっ!」
彼女が叫ぶと同時にゴゴゴゴゴ……と地鳴りがした。
「危ないっ!」
彼女が石板を破壊していた俺に飛びついてきた。
「ぎゃあああっ!」
と醜い悲鳴が部屋の中に響いた。
「痛ぁっ……」
突き飛ばされて体を強打した俺が目を開けると、なんとあの巨大な像が俺たちのすぐそばへ倒れていた。
モンスターは下敷きになって死んでいるし、石板もちょうど像に砕かれている。
「うわぁ、危なかった……。よかったね、うまくいった……」
俺は安堵して彼女に微笑みかけた。
「ええ、これで私も安らかに眠れます」
「えっ?」
どういう意味なんだろう……?
ゴゴゴゴゴ……と再び地鳴りが聞こえ始めた。
「守り神様の像がなくなったから、この建物は崩壊します。早く逃げてっ!」
「逃げてってマギーもっ!」
俺は彼女の手を引こうとしたが、マギーだと思っていた女の子をよく見ると、それは全くの別人だった。
「私は一緒に行けません。……ありがとう。約束は守りますね」
彼女が俺に手をかざすと、出口に向かってものすごく強い風が吹いた。
「うわああっ!」
俺はほとんど風に飛ばされるようにして、ガラガラと崩壊の始まった構造物から脱出した。
腰が抜けた俺は地面へぺたんと座り込んだ。
あの女の子を置いてきて大丈夫だったのかな……。
それにしてもおかしい。あの子は確かにマギーだったはずなのに……。
それから船長があんな恐ろしいモンスターだったなんて……。
と崩れた遺跡を見ながら考え込んだ。
「あー、そこにいましたか」
背後からマギーの声がした。
「マギーッ!」
俺は彼女が無事で嬉しくて飛びあがった。
彼女はキョトンとしながらも、
「見てください、これですよね、シナモンって」
と木の皮を差し出した。
俺はすぐに匂いを嗅いだ。
スーッと鼻を抜ける甘辛い香りがした。
「うん、これだよっ! シナモンだっ!」
「偶然、皮を剥かれた木を発見して不思議な匂いがするのできっとこれだろうと思ったんです」
マギーは嬉しそうに言った。
俺はあの子が約束を守ってくれたんだなと思った。
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