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続編 第三章 思い違いと筆責め (怜一郎side)
続25.筆先☆
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カメラの向こうには数百人の社員たちいる。
俺は女性用の小さな下着一枚の格好で柱に縛り付けられている情けない姿を多くの人に晒されてしまっているのだ。
「……くっ」
奥歯を噛みしめて下を向いたが、そんなことをしてもなんの役にも立たないだろう。
もう、やめてください、と足をバタつかせて大騒ぎしたいところだが、宝条ホールディングスの従業員たちが見ている前でそんなみっともないこともできない。
日本から逃げて来た俺はもう宝条ホールディングスとは何の関係もない。けれど幼少期から『宝条ホールディングスの跡取りとして恥ずかしくないよう生きろ』と繰り返し言い聞かされて生きてきた俺にとって、そう簡単にプライドを捨てて関係ないと割り切ることなんてできないのだ。
宝条ホールディングスにいた頃、俺は常に羨望と妬みの眼差しを受けてきた。生まれながらにして大企業の跡取りである俺の存在は、自分の力で努力して出世してきた人間たちにすれば面白くないに決まっている。はなから相手になんかしてないけど、散々意地悪もされた。そんな奴らにこんな姿を見られているなんて思うと、悔しくてたまらない。
……なのに、そんな気持ちとは裏腹に、俺の下腹部はこの状況にじわじわと熱を帯びてきている。
「っ、どうして……」
ただでさえ収まっていない小さな下着を、俺のペニスはグンと中から押し上げてしまっている。
「ふふ、さっきのお茶に催淫剤も入れておいたんだ。そうでなくてもドMの怜一郎はこんな状況にドキドキだろうけどね」
「ドキドキするわけっ……」
天真さんを睨み見ようと顔を上げたら、パソコンの画面が目に入った。大勢の人たちが驚きの表情でこちらを見ている。
「……くっ」
もう、勘弁してほしい。俺は十分恥をかいただろう。
テントみたいに尖ってしまった下着の頂点にじわっと先走りのシミが広がった。
「ふふ、待ちきれないみたいだね? さて始めようか?」
始める? まだこれからだと言うのか?
部屋の中には画材やキャンバスが置かれていたが、天真さんはその中から一本の細い筆を掴んで、俺の近くへ歩み寄った。
何をする気だろう、と俺は彼の持った筆から目が離せない。
天真さんはクスッと笑って俺の顔の前に筆を持ってきて、俺の下唇にチョンとキスするみたいに筆先で触れた。
舌先で触れられたかのようなねっとりとした感覚がして、俺は背筋を震わせた。
「んっ……」
彼の筆先は唇の表面をゆっくりと撫で、そして隙間からそっと割り入って、俺の唇の内側の柔らかな部分をぬるりと撫でた。
「っ……、ふ……っ……」
芸術的なものに対して天才だと言われている天真さんの操る筆先は、信じられないことに彼の体の一部の触手みたいに巧みな動きをしている。意思のある生物みたいに俺の舌先をチロチロと愛撫するのだ。
「……っ」
唇から引き抜かれるとき、俺の口と筆との間につーっと銀糸が光った。気持ちがよくて俺の口内はたっぷりと唾液が溢れてしまったのだ。恥ずかしくて顔が火照ってしまう。
天真さんは満足そうにニッと口角を上げた。
俺は女性用の小さな下着一枚の格好で柱に縛り付けられている情けない姿を多くの人に晒されてしまっているのだ。
「……くっ」
奥歯を噛みしめて下を向いたが、そんなことをしてもなんの役にも立たないだろう。
もう、やめてください、と足をバタつかせて大騒ぎしたいところだが、宝条ホールディングスの従業員たちが見ている前でそんなみっともないこともできない。
日本から逃げて来た俺はもう宝条ホールディングスとは何の関係もない。けれど幼少期から『宝条ホールディングスの跡取りとして恥ずかしくないよう生きろ』と繰り返し言い聞かされて生きてきた俺にとって、そう簡単にプライドを捨てて関係ないと割り切ることなんてできないのだ。
宝条ホールディングスにいた頃、俺は常に羨望と妬みの眼差しを受けてきた。生まれながらにして大企業の跡取りである俺の存在は、自分の力で努力して出世してきた人間たちにすれば面白くないに決まっている。はなから相手になんかしてないけど、散々意地悪もされた。そんな奴らにこんな姿を見られているなんて思うと、悔しくてたまらない。
……なのに、そんな気持ちとは裏腹に、俺の下腹部はこの状況にじわじわと熱を帯びてきている。
「っ、どうして……」
ただでさえ収まっていない小さな下着を、俺のペニスはグンと中から押し上げてしまっている。
「ふふ、さっきのお茶に催淫剤も入れておいたんだ。そうでなくてもドMの怜一郎はこんな状況にドキドキだろうけどね」
「ドキドキするわけっ……」
天真さんを睨み見ようと顔を上げたら、パソコンの画面が目に入った。大勢の人たちが驚きの表情でこちらを見ている。
「……くっ」
もう、勘弁してほしい。俺は十分恥をかいただろう。
テントみたいに尖ってしまった下着の頂点にじわっと先走りのシミが広がった。
「ふふ、待ちきれないみたいだね? さて始めようか?」
始める? まだこれからだと言うのか?
部屋の中には画材やキャンバスが置かれていたが、天真さんはその中から一本の細い筆を掴んで、俺の近くへ歩み寄った。
何をする気だろう、と俺は彼の持った筆から目が離せない。
天真さんはクスッと笑って俺の顔の前に筆を持ってきて、俺の下唇にチョンとキスするみたいに筆先で触れた。
舌先で触れられたかのようなねっとりとした感覚がして、俺は背筋を震わせた。
「んっ……」
彼の筆先は唇の表面をゆっくりと撫で、そして隙間からそっと割り入って、俺の唇の内側の柔らかな部分をぬるりと撫でた。
「っ……、ふ……っ……」
芸術的なものに対して天才だと言われている天真さんの操る筆先は、信じられないことに彼の体の一部の触手みたいに巧みな動きをしている。意思のある生物みたいに俺の舌先をチロチロと愛撫するのだ。
「……っ」
唇から引き抜かれるとき、俺の口と筆との間につーっと銀糸が光った。気持ちがよくて俺の口内はたっぷりと唾液が溢れてしまったのだ。恥ずかしくて顔が火照ってしまう。
天真さんは満足そうにニッと口角を上げた。
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