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続編 第二章 大人のプールパーティ (天真side)

続14.両手を塞がれて☆

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「怜一郎、飲み物は何にしようか?」
「俺何もいらないです、もう本当に帰りたい……」
 会場中の視線を浴び、怜一郎はどこかへ隠れたくて仕方がない様子だったが、僕はわざと気づかないふりをした。

「何を言っているんだい、パーティー終了まで帰れないと言っているだろう。どうせなら楽しんだ方がいい」
「みんなが俺と天真さんを見ています、恥ずかしくないんですか?」
 怜一郎は僕のビキニの膨らみをちらちら見ていた。
「はは、パーティーで目立つなんて光栄なことじゃないか」

 プールサイドにはカウンターに酒瓶をずらりと並べたバーがあった。
「すみません、ビール二本ください」
 栓を抜いた小瓶をバーテンダーから二本受け取り、僕は怜一郎に、
「おつまみももらいたいから、ちょっとこれ持ってて」
と左右の手でそれぞれ持つように押しつけた。

「え、ちょっと」
 両手が塞がって小さな靴下状の水着一枚の股間が人々の目に晒された。パツパツに伸ばされた布地の中で天に向かってそそり立っているイチモツの形状が丸わかりだ。ビールをこぼさず持つために丸めていた背中を伸ばしたのでコリコリに勃起している乳首も露わになった。周囲の人間からため息が漏れると同時に、頂点のシミがじわっと大きさを増した。

「いやっ、こんなの恥ずかしいです、天真さんっ」
 もう勘弁してくださいと怜一郎は泣きそうな目で訴えかけてきた。
 俺はトルティーヤチップスにチリコンカンとチーズのかかったナチョスを買って、怜一郎から片方のビール瓶を受け取った。
「どうもありがとう、さあ行こうか」

 彼の股間については一切触れずに、平然とプールサイドを歩く。
 何か言いたそうにしながらも、彼は解放された片手で大変なことになっている股間を覆った。

 羞恥プレイは彼の大好物だ。それは子供の頃から変わらない。
 昨夜、僕と怜一郎があのレストランで会ったのは偶然なんかじゃない。僕はここしばらく怜一郎を探していたのだ。


 話は数ヶ月前にさかのぼる。
 ゲイの集まる船上パーティーへ僕は招待されていた。知り合いのデザイナーがファッションショーをするから見てほしいと僕を誘ったのだ。

 デザイナーが自信満々に特等席で見せてあげると言うので、僕は芸術的な刺激を求めて観覧へ行ったというのに。まあ悪くないけど、平凡で退屈なショーだった。期待外れも甚だしいとあくびまで出ていた。
 ……スケスケのブラジャーとガーターベルトしか身につけていない局部丸出しの男がランウェイに登場するまでは。

 会場中がざわめき立った。ヌードよりも強烈な彼の格好、それに美しさに僕も目が釘付けになった。アジア人らしい黒髪のその男はアイマスクで目元を隠していたが、僕にはそれが宝条怜一郎だとすぐにわかった。

 他人に関心のない僕がこの世で唯一、目を奪われてしまう人間、それが怜一郎だ。彼の芸術的材料としてのポテンシャルに僕の魂は打ち震えてしまうのだ。
 彼を僕の手で調教して秘められた魅力を最大限に引き出して、僕のアート作品の一つとしてどうしても彼を利用したくて、僕は彼に近づいたのだ。
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