上 下
54 / 125
第七章 運命からの逃走 (怜一郎side)

54.恥ずかしい制服☆

しおりを挟む
 レストランで雇ってくれるだって? ピアニストとして働けるチャンスかもしれない! 高級レストランならウエイターでもいい。
「住む場所も食事も提供してやる」
 ボブと名乗った黒人男性はアパートメントへ俺を連れて入った。

 リビングルームでは若い男たちが床に寝そべって談笑していた。
「マイク、ちょっと来て」
 金髪のすらりとした美青年を呼び、ボブは何かしゃべった。
 マイクはニコニコと俺を見つめて、握手した。
「ルームメイトだ」
 とボブが説明した。

「ユニフォーム」
 そう言って渡してきた袋があまりに小さくて、俺は聞き間違ったかと思ったが、袋の中には付けカフスと蝶ネクタイ付きの付け襟、そしてショッキンググリーンの極小Tバック下着が入っていた。
「えっ!?」
 ちょっと待って、これが制服って……。
 俺が顔をポッと熱くさせると、部屋にいたみんなが笑った。
 こんな格好で働くなんて……。さすがにプライドが許さない。
 俺の想像していたレストランとは違ったようだ。
 やっぱり出て行こうかと思ったとき、キッチンの方でタイマーが鳴った。

 さっきから何かいい匂いがしていると思ったのだ。
 一人の青年がオーブンを開け、大きなピザを取り出した。
 床でくつろいでいたみんながカウンターキッチンのところへ来て、チーズのとろける熱々のピザを一切れずつ取っていく。
 うわ、美味しそう……。
 空腹の俺がゴクッと喉を鳴らすと、マイクが俺にも食べるようジェスチャーした。
 彼のニコニコとよく笑い人当たりのいいところが龍之介を彷彿とさせ、俺の心はズキンと痛んだ。

 食事が終わると一同は路地裏の地下にある店へ移動した。
 シャワールームもある更衣室でテキパキと服を脱いで裸になり、付けカフスと蝶ネクタイ付きの付け襟、そして色とりどりの極小下着を身につけていく。
 みんな骨盤の上や太ももにタトゥーを入れていたり、乳首やへそにピアスをつけていたりした。
 マイクは心配そうに俺の着替えを見ていたが、俺は局部を見られるのが恥ずかしくて壁を向いて手で隠しながら素早く着替えた。

 龍之介に陰毛を剃られて以来、生えかけてくるとチクチクとかゆいので、俺は自分でも陰毛を剃るようになっていた。
 だから今も陰部には毛がなくて、男性器がどうにかギリギリ納まる小さなサイズの下着からも毛が飛び出さずに済んだ。
 全身鏡の前で俺は一周回り、自分の姿を確認した。
 ショッキンググリーンの薄い布は俺の陰茎と陰嚢の形をふっくらと浮き上がらせていて、ひも状のTバックの背面は俺の尻たぶを隠すことなくむき出しにしている。
 こんな姿で人前へ出るなんて……。考えただけでゾクッとして、乳首がツンと尖ってしまった。
 以前、龍之介とエリカに騙されて乗せられた船で、裸より恥ずかしい格好でランウェイを歩かされたことがあったと思い出した。
 そのときは仮面で顔を隠していたから今回よりマシか。いや、小さくても下着をつけている分、今回の方がマシか。

 それにしても、一流の大学を卒業した大企業の御曹司の俺ならもうちょっといい仕事に就けると思ったのに……。こんなハレンチな格好をさせられて、一体どんな仕事をすることになるのだろうか。
 他のみんなも小さな下着へ性器を詰め込み、そして胸を張って堂々と店内へ進んでいった。
 俺は何かの拍子にポロッと出てしまいやしないかと少し心配で、片手で頼りない下着を押さえながら歩いた。
 人前でポロリするなんて俺には耐えられない。

 そこはラグジュアリーな高級クラブのような店で、やってくるのは男性客ばかりだった。
 どうやら仕事内容はクラブのウエイターのようだった。過激な衣装のわりに、案外普通の業務内容で安心した。
 新人である上に英語も流暢にしゃべれない俺は、股間の前で手を組んで壁際に立っていた。
 先輩スタッフたちの仕事ぶりを見ていると、隣でマイクが簡単な英語とジェスチャーで説明してくれていた。
 しかしいつまでも見ているだけというわけにもいかず、カクテルを一つずつ載せた銀のお盆二枚を両手に持って、10番テーブルと12番テーブルまで運ぶよう言われた。
 一枚のお盆に両方のグラスを載せてくれればいいのに、と思いながらも俺は言われたとおりにそれらを両手に持った。

 両手が塞がっている状態では股間が無防備で心もとなかった。
 客たちは目新しい俺の全身を舐めるように見ている。
 薄い下着の中で嫌でも陰部がピクピクしてしまう。
 変に意識してはだめだ、勃起なんてしたら小さな下着から簡単に飛び出てしまう、と俺は頭の中で繰り返し自分に言い聞かせ、そっと深呼吸していた。

 店の中央まで歩いたとき、危なっかしくお盆を持つ俺に付き添っていたマイクが突然何かを大声で言い、床へかがんだ。
「えっ……?」
 どうしたのだろう、何が始まるのか、と思うと同時に、陰部がひやりとした。
 下を向いた俺は目を疑った。マイクが俺の下着の両サイドを指先で持って、するりと太ももの中央まで擦り下ろしたのだ。
「NO! NO!!」
 と叫んだけれど、皮を被った俺のイチモツはプルンと丸出しになっていた。

 客たちの視線が俺の股間に集まり、ワーオと感嘆の声が上がった。
 マイクは悪びれる様子もなくクスクス笑っている。
 嘘だろっ、なんてことしてくれるんだっ!
 怒りたいのに咄嗟に英語が出てこず、俺は悔しさに下唇を噛んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

淫らに壊れる颯太の日常~オフィス調教の性的刺激は蜜の味~

あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
~癖になる刺激~の一部として掲載しておりましたが、癖になる刺激の純(痴漢)を今後連載していこうと思うので、別枠として掲載しました。 ※R-18作品です。 モブ攻め/快楽堕ち/乳首責め/陰嚢責め/陰茎責め/アナル責め/言葉責め/鈴口責め/3P、等の表現がございます。ご注意ください。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

【R18】息子とすることになりました♡

みんくす
BL
【完結】イケメン息子×ガタイのいい父親が、オナニーをきっかけにセックスして恋人同士になる話。 近親相姦(息子×父)・ハート喘ぎ・濁点喘ぎあり。 章ごとに話を区切っている、短編シリーズとなっています。 最初から読んでいただけると、分かりやすいかと思います。 攻め:優人(ゆうと) 19歳 父親より小柄なものの、整った顔立ちをしているイケメンで周囲からの人気も高い。 だが父である和志に対して恋心と劣情を抱いているため、そんな周囲のことには興味がない。 受け:和志(かずし) 43歳 学生時代から筋トレが趣味で、ガタイがよく体毛も濃い。 元妻とは15年ほど前に離婚し、それ以来息子の優人と2人暮らし。 pixivにも投稿しています。

[R18] 20歳の俺、男達のペットになる

ねねこ
BL
20歳の男がご主人様に飼われペットとなり、体を開発されまくって、複数の男達に調教される話です。 複数表現あり

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...