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第二章 真実はプディングの中に
056 僕の彼女と念願の姫初め ⑦
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翌朝、チェックアウトまで少しいちゃいちゃして、近所のファミレスで朝食を食べて、若葉ちゃんを家まで送ることにした。
家の近くまで来たと若葉ちゃんの自己申告があったので、そろそろ別れの挨拶をしようかと思った時。
「お兄ちゃん……」
お兄ちゃん? 若葉ちゃんの視線の先を追っていくと、そこには若い男性が立っていた。身長こそ僕と同じくらいだけど、体格がいいので圧倒的に大きい感じがする。そしてジャケットの中のシャツが派手な色柄で、なんだかそれが妙にぴったりハマッていて、ちょっとヤのつく自由業の方に見える。
男性がゆっくり近づいてくるのを見て、若葉ちゃんは僕の前に立ちふさがり、叫ぶように言う。
「昨日、新くんの誕生日だったの! 新年最初かつ新世紀の始まりの日生まれだから、新!」
若葉ちゃん、下の名前だけそんな詳細に教えても仕方ない。
「渋沢新です。若葉さんと真剣にお付き合いしています。よろしくお願いします」
僕はそう言って頭を下げる。男と朝帰り、そういうことをしてきたのは明白なんだから、せめて挨拶はきちんとしようと思った。
「ボーダーコリー渋沢……」
ぼそりとつぶやかれ、え? っと思ったけど、お兄さんはすぐに続ける。
「若葉の兄の響です。どうぞよろしく。渋沢くん、妹を送ってくれてありがとう」
若葉ちゃんとお兄さんは二人とも目鼻立ちが整っている。兄妹だけあって造作は似ているけれど、印象はずいぶん違う。若葉ちゃんは可愛らしいやわらかい印象だけど、お兄さんは眼光鋭くて男らしく精悍な印象。笑顔を浮かべてくれてるけど、目は笑ってない。まあ、それはあたりまえか。
「家族には、若葉は俺と途中で合流したって伝えるから。それじゃ」
そう言ってお兄さんは若葉ちゃんの腕をつかみ、家へと向かう。
「ちょっと、お兄ちゃん……! 新くん、またね!」
若葉ちゃんがあわててそう言うから、またねと手を振る。
二〇二一年、波乱の幕開け。
家の近くまで来たと若葉ちゃんの自己申告があったので、そろそろ別れの挨拶をしようかと思った時。
「お兄ちゃん……」
お兄ちゃん? 若葉ちゃんの視線の先を追っていくと、そこには若い男性が立っていた。身長こそ僕と同じくらいだけど、体格がいいので圧倒的に大きい感じがする。そしてジャケットの中のシャツが派手な色柄で、なんだかそれが妙にぴったりハマッていて、ちょっとヤのつく自由業の方に見える。
男性がゆっくり近づいてくるのを見て、若葉ちゃんは僕の前に立ちふさがり、叫ぶように言う。
「昨日、新くんの誕生日だったの! 新年最初かつ新世紀の始まりの日生まれだから、新!」
若葉ちゃん、下の名前だけそんな詳細に教えても仕方ない。
「渋沢新です。若葉さんと真剣にお付き合いしています。よろしくお願いします」
僕はそう言って頭を下げる。男と朝帰り、そういうことをしてきたのは明白なんだから、せめて挨拶はきちんとしようと思った。
「ボーダーコリー渋沢……」
ぼそりとつぶやかれ、え? っと思ったけど、お兄さんはすぐに続ける。
「若葉の兄の響です。どうぞよろしく。渋沢くん、妹を送ってくれてありがとう」
若葉ちゃんとお兄さんは二人とも目鼻立ちが整っている。兄妹だけあって造作は似ているけれど、印象はずいぶん違う。若葉ちゃんは可愛らしいやわらかい印象だけど、お兄さんは眼光鋭くて男らしく精悍な印象。笑顔を浮かべてくれてるけど、目は笑ってない。まあ、それはあたりまえか。
「家族には、若葉は俺と途中で合流したって伝えるから。それじゃ」
そう言ってお兄さんは若葉ちゃんの腕をつかみ、家へと向かう。
「ちょっと、お兄ちゃん……! 新くん、またね!」
若葉ちゃんがあわててそう言うから、またねと手を振る。
二〇二一年、波乱の幕開け。
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