42 / 352
第二章 真実はプディングの中に
041 私の彼氏と過ごす降誕祭 ②
しおりを挟む
落ち着いた頃にプレゼント交換をした。
「素敵! 新くんありがとう! 大切に使うね!」
新くんは私にステンレス製の素敵な携帯用靴べらをくれた。「若葉ちゃんは身に着けるものを大切にしているから、外出先でも靴が傷まないようにできるといいかと思って」だって。新くんがくれるものならなんでも嬉しいと思っていたけど、きちんと理由も考えてくれたのに感動した。
「格好いいね、これ!」
私からはドイツ製の製図用シャープペンシル。黒い軸にぐるりと赤い輪のようなラインが入ったデザインが格好よくて、軽くて丈夫そうだったから。
新くんは結構メモ魔でよく何か書いている。道具に対して思い入れは特にないようだったから勝手に選んじゃったけど、これをきっかけに新くんがもっと自分に合った道具を選ぶようになったらいいなと思った。相棒なんだから、道具は大事。
「千円で何ができるか考えるの、すごく楽しかったし、若葉ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ」
「私も! すごく楽しかったし、とっても嬉しい!」
新くんは私がくだらないことを企画しても、いつも一緒に楽しもうとしてくれて、すっごく優しいなと思う。
ごはんを食べ終え、ざっと片づけた後に、提案してみる。
「新くん。照明消して、蝋燭にしてもいい?」
「いいよ、もちろん」
用意していた蝋燭に火を点け、照明を消した。
「綺麗だね」
「ほんと綺麗……」
蝋燭の炎が揺らめいて、新くんを照らす。新くんの眼鏡には蝋燭の光が映っていて、その瞳の奥には、私がいる。
「ほんとは、最初から蝋燭にしたかったんだけど、暗くて見づらいかなあと思って」
「充分見えるよ。来年は最初から蝋燭にしよう」
「……うん」
私は、新くんが私の希望を叶えようとしてくれたことより、来年も一緒に過ごすのを当然の前提で言ってくれたことが、すごくすごく嬉しかった。
「ちょっと待っててね。デザート持ってくる」
「デザートもあるんだ」
「うん!」
私は冷蔵庫に入れていたケーキを取り出し、注意深く運ぶ。暗いからいつもよりも気をつけないと。
「ブッシュ・ド・ノエルだ!」
「作ったの! 作ったの!」
やっぱりクリスマスイヴにはケーキがある方がいいだろうなあって思って、ここはイギリス風じゃなくした。そもそもイギリス風だったら、イヴじゃなくクリスマス当日にお祝いだし。こんな風に好き勝手できるのが、お家で過ごすクリスマスのいいところ。
「……おいしい!」
新くんが満面の笑みでそう言ってくれてほっとする。
「ほんと? よかった! 初めて作ったからちょっと自信なかったの」
私も食べてみる。よかった、上出来!
新くん、好き嫌いないのもあるだろうけど、何を出してもおいしそうに食べてくれるから、作ってよかったなあって思う。外食でもそうで、最初のデートこそ味が何もわからなかったけど、それからは何を一緒に食べてもおいしいの。
「素敵! 新くんありがとう! 大切に使うね!」
新くんは私にステンレス製の素敵な携帯用靴べらをくれた。「若葉ちゃんは身に着けるものを大切にしているから、外出先でも靴が傷まないようにできるといいかと思って」だって。新くんがくれるものならなんでも嬉しいと思っていたけど、きちんと理由も考えてくれたのに感動した。
「格好いいね、これ!」
私からはドイツ製の製図用シャープペンシル。黒い軸にぐるりと赤い輪のようなラインが入ったデザインが格好よくて、軽くて丈夫そうだったから。
新くんは結構メモ魔でよく何か書いている。道具に対して思い入れは特にないようだったから勝手に選んじゃったけど、これをきっかけに新くんがもっと自分に合った道具を選ぶようになったらいいなと思った。相棒なんだから、道具は大事。
「千円で何ができるか考えるの、すごく楽しかったし、若葉ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ」
「私も! すごく楽しかったし、とっても嬉しい!」
新くんは私がくだらないことを企画しても、いつも一緒に楽しもうとしてくれて、すっごく優しいなと思う。
ごはんを食べ終え、ざっと片づけた後に、提案してみる。
「新くん。照明消して、蝋燭にしてもいい?」
「いいよ、もちろん」
用意していた蝋燭に火を点け、照明を消した。
「綺麗だね」
「ほんと綺麗……」
蝋燭の炎が揺らめいて、新くんを照らす。新くんの眼鏡には蝋燭の光が映っていて、その瞳の奥には、私がいる。
「ほんとは、最初から蝋燭にしたかったんだけど、暗くて見づらいかなあと思って」
「充分見えるよ。来年は最初から蝋燭にしよう」
「……うん」
私は、新くんが私の希望を叶えようとしてくれたことより、来年も一緒に過ごすのを当然の前提で言ってくれたことが、すごくすごく嬉しかった。
「ちょっと待っててね。デザート持ってくる」
「デザートもあるんだ」
「うん!」
私は冷蔵庫に入れていたケーキを取り出し、注意深く運ぶ。暗いからいつもよりも気をつけないと。
「ブッシュ・ド・ノエルだ!」
「作ったの! 作ったの!」
やっぱりクリスマスイヴにはケーキがある方がいいだろうなあって思って、ここはイギリス風じゃなくした。そもそもイギリス風だったら、イヴじゃなくクリスマス当日にお祝いだし。こんな風に好き勝手できるのが、お家で過ごすクリスマスのいいところ。
「……おいしい!」
新くんが満面の笑みでそう言ってくれてほっとする。
「ほんと? よかった! 初めて作ったからちょっと自信なかったの」
私も食べてみる。よかった、上出来!
新くん、好き嫌いないのもあるだろうけど、何を出してもおいしそうに食べてくれるから、作ってよかったなあって思う。外食でもそうで、最初のデートこそ味が何もわからなかったけど、それからは何を一緒に食べてもおいしいの。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる