16 / 352
第一章 人の好みは説明できない
015 私の彼氏は穏やかで素敵 ⑮
しおりを挟む
ラーメン屋さんから出て、すぐにお礼を言う。
「ごちそうさまでした!」
新くんはにっこり微笑んで応えてくれる。
「こちらこそ、今日一日どうもありがとう。眼鏡と服はいいものを選んでもらえてとても助かったし、ラーメンもおいしかったし、すごく楽しかった」
「こちら、こそ……」
楽しかったって。楽しかったって言ってくれた……!
これ、今度はどこか遊びに行こうよって、軽い感じで誘ってみてもいいかな。でも、またラーメン食べに行こうって言ってくれたのも、社交辞令かもしれないしなあ。私はそういう言葉の裏みたいなのが、全然読めない。そして、なんだかんだで、自分から誘ったことがあんまりないから、何をきっかけにすればいいのかもよくわからない。個人のSNSと電話は教えてもらったから、帰ってからSNSでお礼と一緒に誘ってみようかな。
「若葉ちゃん」
私が脳内で迷走しているのを止めるように、不意に名前を呼ばれて、ものすごくどきどきした。私の大好きな声で、名字ではなく、名前を。胸の鼓動が半端ない。
「な、なあに……?」
「僕は君のことが好きだよ。一年の頃から気になっていたんだ。彼女になってほしい」
新くんの言葉に、すごくびっくりする。
私が無理矢理付き合わせていただけだと思っていたのに。
「若葉ちゃん?」
「私の片想いかと……思ってた……」
「よかった。両想いだ」
新くんはにっこり笑って続ける。
「僕はなんとも思っていない女の子と、二人きりで出かけたりしない」
「そうなんだ……」
新くんの、そういう誠実なところが、また好きだなあ。
新くんの顔を見て、とても大事なことを言っていないと気づく。
「私も付き合いたい! 彼女になりたいです!」
思わず叫ぶみたいになってしまったけど、新くんはくすくす笑いながら、嬉しいと言ってくれた。
「無事、彼女になってもらえたから、わがまま言うけど。ほんとは、もう少し若葉ちゃんと一緒にいたい」
「私も!」
つい、食いつき気味に返事してしまうと、新くんは声を上げてあははと笑った。
「明日、予定ある?」
「ないけど」
新くんは返事を聞いて、私の右手を取った。初めてふれられてどきどきする。
「若葉ちゃん、一人暮らしだし、遅くなってもいいよね。今から、うちに来ない?」
「……! 行きたい!」
「おいで」
そう言うと、新くんは私の右手に指を絡めて、恋人つなぎにした。
「ごちそうさまでした!」
新くんはにっこり微笑んで応えてくれる。
「こちらこそ、今日一日どうもありがとう。眼鏡と服はいいものを選んでもらえてとても助かったし、ラーメンもおいしかったし、すごく楽しかった」
「こちら、こそ……」
楽しかったって。楽しかったって言ってくれた……!
これ、今度はどこか遊びに行こうよって、軽い感じで誘ってみてもいいかな。でも、またラーメン食べに行こうって言ってくれたのも、社交辞令かもしれないしなあ。私はそういう言葉の裏みたいなのが、全然読めない。そして、なんだかんだで、自分から誘ったことがあんまりないから、何をきっかけにすればいいのかもよくわからない。個人のSNSと電話は教えてもらったから、帰ってからSNSでお礼と一緒に誘ってみようかな。
「若葉ちゃん」
私が脳内で迷走しているのを止めるように、不意に名前を呼ばれて、ものすごくどきどきした。私の大好きな声で、名字ではなく、名前を。胸の鼓動が半端ない。
「な、なあに……?」
「僕は君のことが好きだよ。一年の頃から気になっていたんだ。彼女になってほしい」
新くんの言葉に、すごくびっくりする。
私が無理矢理付き合わせていただけだと思っていたのに。
「若葉ちゃん?」
「私の片想いかと……思ってた……」
「よかった。両想いだ」
新くんはにっこり笑って続ける。
「僕はなんとも思っていない女の子と、二人きりで出かけたりしない」
「そうなんだ……」
新くんの、そういう誠実なところが、また好きだなあ。
新くんの顔を見て、とても大事なことを言っていないと気づく。
「私も付き合いたい! 彼女になりたいです!」
思わず叫ぶみたいになってしまったけど、新くんはくすくす笑いながら、嬉しいと言ってくれた。
「無事、彼女になってもらえたから、わがまま言うけど。ほんとは、もう少し若葉ちゃんと一緒にいたい」
「私も!」
つい、食いつき気味に返事してしまうと、新くんは声を上げてあははと笑った。
「明日、予定ある?」
「ないけど」
新くんは返事を聞いて、私の右手を取った。初めてふれられてどきどきする。
「若葉ちゃん、一人暮らしだし、遅くなってもいいよね。今から、うちに来ない?」
「……! 行きたい!」
「おいで」
そう言うと、新くんは私の右手に指を絡めて、恋人つなぎにした。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる