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本編・取り違えと運命の人

076 運命の出会い ②

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 列車に乗って、神殿の町へと向かった。到着して駅を出ると、休日だからか、町はたくさんの人で賑わっている。

「わー、すごく人多いねえ!」
「私達の住んでる町と規模が違うよね。ほんと、参考になるなあ」

 いろんなところから人が集まっているからか、こういうのが流行ってるんだとか、シックで大人のおしゃれをしてる人の小物づかいに感心したりとか、勉強になってしまった。

「あ、素敵……」

 一組の男女がなんだか目をひいた。私の声につられてリカルドもそっちを見る。

「…………ふうん。かっこいい人だね……。王子様みたいで」

 リカルドのなんだか嫉妬にまみれた冷ややかで平坦な台詞に、思わず吹き出してしまう。

「リ、リカルド、私が見てたのは、どちらかっていうと、女の子の方…………」

 リカルドの言う通り、確かに男性は背の高い王子様っぽい感じのすらりとした美青年なんだけど。その隣にいる、小さくて色白でぱっちりした目のふわふわカールな金髪の美少女が、お伽噺に出てきそうな可憐で儚げな雰囲気で、思わず目で追ってしまったのだ。二人が一緒だと、まさに、王子様とお姫様を描いた美しい一幅の絵のよう。

「私が縫ってるの、若い女性向けの服だよ?」

 美少女に思わず目がいってしまったのは、その愛らしさだけではなく。小さくて華奢なのに、胸がものすごく大きかったからで。

「あの体型、すごくいいけど、すっごくうらやましいけど、服選ぶの大変だろうなあ……」
「え? …………あ……うん」

 自分の嫉妬まみれの台詞を恥じたのか、それとも美少女の巨乳に今更気づいたのか、リカルドが赤くなっている。

「でも、俺は、ジュリエッタの体型が好き」
「巨乳に興味なし?」
「お、俺も男だから、全然興味ない訳じゃないけど! でも、ジュリエッタがいい!」

 巨乳に対する興味を否定しきれないところに、思わず笑ってしまった。

「私も、見知らぬ王子様じゃなくて、騎士のリカルドがいいな」

 つないでいた指に力を込めると、リカルドは、はっと息を飲み、ゆっくり握り返してくれた。その後も私の手をなでるように指を動かして、なんだかくすぐったい。

「運命の出会いに感謝してる俺としては、そろそろ本来の目的であるお礼参りに行きたいんだけど。いい?」
「うん。もちろん」

 リカルド、お礼参りって言い回し、絶対気に入ってる。くすくす笑いながら、神殿へと向かった。
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