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おまけ
36 ハシビロコウがたいせつ ②
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とりあえず、できることからすべき。
別れた彼女の残骸をなんとかしよう。服、下着、靴、化粧品、ゲーム、等々。「置いている荷物は全部捨てていい」と言われた。けれども、俺は全て綺麗に梱包して、発払いで配送手続きをした。これは別に親切心じゃない。
潔いかのように聞こえる別れた彼女の言葉。でも、俺はこんな気分になったのだ。振るだけじゃ飽き足らなくて、ダンボール三箱分、俺に片づけさせるのか。自分のゴミの処分くらい、自分でしてくれ。
俺はイメージほど、爽やか好青年じゃない。
残された荷物が、なんだか別れた彼女の発言と重なって見えて。別れた彼女は不満を溜めていたと言った。都度言ってくれればなんとかしたのに。言ってくれと思うのは、俺のわがままなんだろうか。
ただ、俺は以前にも、付き合っていた彼女の気持ちを言えなくさせたことがあった。『私が、あなたにふさわしくないから……。私は、すごく、駄目な人間で……』、だから別れたいのだと、とても苦しそうに言われた。
そんな気はまるでないのに、大切な彼女を追い詰めてしまうのは、ものすごくつらい。俺はどうすればよかったんだろう。
同じ職場だから、なるべく当たり障りのないように済ませたい。そう思って応じたデートだったけど。
あれ? この子、こんなに綺麗だったっけ?
待ち合わせ場所に現れた愛佳ちゃんは、いつもとはまるでイメージが違っていた。人は着るものでずいぶん印象が変わる。愛佳ちゃん、そもそも普段はモノトーンが多いし。
本当は徹頭徹尾ビジネスライクに接しようと思っていたのに、つい、名前で呼んでしまった。いいんじゃないかな、フランクな対応の方が。印象のよい方が無難に済ませやすい。そんな風に、自分で自分の気持ちを、なんとなくごまかす。
デートプランを考えるのが面倒だったので、映画を見に行くことにした。映画館は、黙っていても一定時間稼げる、優秀な場所。
一緒に見た映画は予想外によかった。普段の自分だったら、まず選択しないもの。自分の世界の狭さを実感する。こういうの、愛佳ちゃんはどんなところで見つけてくるんだろう。
俺のアンテナの感度は鈍い。マニュアルを忠実になぞることで、なんとか生き延びているタイプ。うまくいっているのは、環境と運に恵まれているからに過ぎない。
今度は愛佳ちゃんの方から誘われた。俺の家に連れ込むと面倒なことになるような気がしたので、ラブホに行くことにする。解散もしやすいし、気が楽だ、俺の。
そうだ、愛佳ちゃんに一人でやれって言ってみよう。オナニープレイ。普通の女の子なら、ドンビキするか、バカにするなってキレるかして、うまいこと終われるだろうと思った。ああ、ひっでえな、俺。
でもほら、セックスの嗜好なんて、「音楽性の違い」みたいな感じで、違ってもどちらが悪いということじゃないし、キレる方が本当はおかしい。落としどころを見つけられればとてもいいし、どうにもならないなら淡々と解散すればいいんだ。
まさか、本当にやるとは。愛佳ちゃん、ドM。オナニー姿がやらしすぎて、勃起不可避。イッてゆるっゆるになっちゃった顔も、なんだか可愛いし。もういっか、合意だし。完全に欲望に流されて、ヤッてしまった。ああ、ひっでえな、俺。
正直に言おう。俺はセックスが大好きです。
きちんと意識がある中で抱いた愛佳ちゃんは、ものすごくよかった。記憶の断片とは、解像度が全く違った。濡れっぷりも、乱れっぷりも、そして身体の感触も。
おっきくて綺麗な形のおっぱいは、揉み心地もやっぱり最高だった。ぽにょぽにょで、ふわふわだけど、ぷにぷにで、弾力もある。どんな夢の世界なの。
正直、今までの彼女はみんなそこまで胸が大きくなくて。でも胸で選ぶなんて、彼女を物として見ているみたいで、よくないと思っていた。
愛佳ちゃんは、性的なことに貪欲であるところも、豊満な胸にしっとりとした肌もいい。でも、なにより、抱きしめた時にしっくりくるのがよかった。俺の身体にちょうど合う形。そういうのが本当の相性かもしれない。
そして、表情がいい。している時の愛佳ちゃんからは、すごく色気を感じる。最初はヤバいと思った、俺への好意が溢れた眼差し。行為中は、求められてる感じで、とてもそそられた。
愛佳ちゃんとのセックス、最高じゃないかな。好きでもない女の子にそう思ってしまった俺は、本当に最低だ。
別れた彼女の残骸をなんとかしよう。服、下着、靴、化粧品、ゲーム、等々。「置いている荷物は全部捨てていい」と言われた。けれども、俺は全て綺麗に梱包して、発払いで配送手続きをした。これは別に親切心じゃない。
潔いかのように聞こえる別れた彼女の言葉。でも、俺はこんな気分になったのだ。振るだけじゃ飽き足らなくて、ダンボール三箱分、俺に片づけさせるのか。自分のゴミの処分くらい、自分でしてくれ。
俺はイメージほど、爽やか好青年じゃない。
残された荷物が、なんだか別れた彼女の発言と重なって見えて。別れた彼女は不満を溜めていたと言った。都度言ってくれればなんとかしたのに。言ってくれと思うのは、俺のわがままなんだろうか。
ただ、俺は以前にも、付き合っていた彼女の気持ちを言えなくさせたことがあった。『私が、あなたにふさわしくないから……。私は、すごく、駄目な人間で……』、だから別れたいのだと、とても苦しそうに言われた。
そんな気はまるでないのに、大切な彼女を追い詰めてしまうのは、ものすごくつらい。俺はどうすればよかったんだろう。
同じ職場だから、なるべく当たり障りのないように済ませたい。そう思って応じたデートだったけど。
あれ? この子、こんなに綺麗だったっけ?
待ち合わせ場所に現れた愛佳ちゃんは、いつもとはまるでイメージが違っていた。人は着るものでずいぶん印象が変わる。愛佳ちゃん、そもそも普段はモノトーンが多いし。
本当は徹頭徹尾ビジネスライクに接しようと思っていたのに、つい、名前で呼んでしまった。いいんじゃないかな、フランクな対応の方が。印象のよい方が無難に済ませやすい。そんな風に、自分で自分の気持ちを、なんとなくごまかす。
デートプランを考えるのが面倒だったので、映画を見に行くことにした。映画館は、黙っていても一定時間稼げる、優秀な場所。
一緒に見た映画は予想外によかった。普段の自分だったら、まず選択しないもの。自分の世界の狭さを実感する。こういうの、愛佳ちゃんはどんなところで見つけてくるんだろう。
俺のアンテナの感度は鈍い。マニュアルを忠実になぞることで、なんとか生き延びているタイプ。うまくいっているのは、環境と運に恵まれているからに過ぎない。
今度は愛佳ちゃんの方から誘われた。俺の家に連れ込むと面倒なことになるような気がしたので、ラブホに行くことにする。解散もしやすいし、気が楽だ、俺の。
そうだ、愛佳ちゃんに一人でやれって言ってみよう。オナニープレイ。普通の女の子なら、ドンビキするか、バカにするなってキレるかして、うまいこと終われるだろうと思った。ああ、ひっでえな、俺。
でもほら、セックスの嗜好なんて、「音楽性の違い」みたいな感じで、違ってもどちらが悪いということじゃないし、キレる方が本当はおかしい。落としどころを見つけられればとてもいいし、どうにもならないなら淡々と解散すればいいんだ。
まさか、本当にやるとは。愛佳ちゃん、ドM。オナニー姿がやらしすぎて、勃起不可避。イッてゆるっゆるになっちゃった顔も、なんだか可愛いし。もういっか、合意だし。完全に欲望に流されて、ヤッてしまった。ああ、ひっでえな、俺。
正直に言おう。俺はセックスが大好きです。
きちんと意識がある中で抱いた愛佳ちゃんは、ものすごくよかった。記憶の断片とは、解像度が全く違った。濡れっぷりも、乱れっぷりも、そして身体の感触も。
おっきくて綺麗な形のおっぱいは、揉み心地もやっぱり最高だった。ぽにょぽにょで、ふわふわだけど、ぷにぷにで、弾力もある。どんな夢の世界なの。
正直、今までの彼女はみんなそこまで胸が大きくなくて。でも胸で選ぶなんて、彼女を物として見ているみたいで、よくないと思っていた。
愛佳ちゃんは、性的なことに貪欲であるところも、豊満な胸にしっとりとした肌もいい。でも、なにより、抱きしめた時にしっくりくるのがよかった。俺の身体にちょうど合う形。そういうのが本当の相性かもしれない。
そして、表情がいい。している時の愛佳ちゃんからは、すごく色気を感じる。最初はヤバいと思った、俺への好意が溢れた眼差し。行為中は、求められてる感じで、とてもそそられた。
愛佳ちゃんとのセックス、最高じゃないかな。好きでもない女の子にそう思ってしまった俺は、本当に最低だ。
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