10 / 18
10ギルドにて
しおりを挟む
ラノイはギルドに到着した。
木製の扉を両手で押し、中へ入る。テーブルを囲んで作戦会議をする人、どの依頼に行くか悩む人、喧嘩をする者など、活気に溢れていた。
「すいません」
ラノイは受付嬢に話しかける。
「ようこそペイデル冒険者ギルドへ。新規登録ですか?」
「あ、はい」
「かしこまりました。ではこちらの書類に必要事項を記入してください」
受付嬢から渡された書類に記入する。
「できました」
「では確認いたします。……一人ソロということになっていますが、よろしいですか?」
「あ、はい。それで大丈夫です」
「かしこまりました。では注意事項と説明を簡単にさせていただきます」
そういって受付嬢は一枚の紙を出した。そこにはこの国と、その周辺の地形が示されている。
「これはペイデルの領土です。ペイデル王国を中心に東は人魚の湖、西はポラン平原、南はファエゴ丘陵、北はヴァンの森までとなっております。この領土内で獲れた物はこちらで対処させていただきます。ただし、ラノイ様がこの範囲外で獲物をとった場合は当ギルドで対応することができません」
「どうしてですか?」
「その獲物は他国の領土のものとなり、それを買取等の処分をするのはご法度なんです。」
「あーなるほど、わかりました」
「この紙は差し上げますね」
「ありがとうございます」
ラノイは受付嬢から紙を受け取った。
「では次にこのギルドについて説明しますね」
そう言って今度は違う紙を出した。
「今いるここが受付カウンターです。ここから右に行くとクエストボードがあります。ボードに貼ってある紙をこちらに持ってきて頂くとクエストを受けることができます。2階にはギルド長の部屋となっています。ギルドの裏に解体屋がありますので、大きなモンスターはそちらで査定します。ここまでで何か分からないことはありましたか?」
「いや、大丈夫です」
「わかりました。これで説明は以上となります。それでは快適な冒険者ライフをお過ごし下さい」
「どうもありがとうございました」
ラノイは受付嬢に会釈し、そのままクエストボードへ向かった。ボードには紙が留めてあり、最近貼られたであろう新しめの依頼から、黄ばんで文字がかすれ読みにくいものまで様々であった。
「どうしようかな……」
ラノイがギルドへ来たのには主に2つの狙いがあった。
1つ目は言わずもがな強くなるためである。追放の辛さを知ったからこそ、もうあんな思いはしたくない。それにもしこれから一人だったとしても、強い越したことはないからだ。
2つ目は金を稼ぐためである。クランクから貰った金貨10枚も、いつかは底をつく。これからの事を考えると、金を稼ぐのは必然だろう。
己の強化もできてお金も貰える、それがラノイがギルドへ来た主な理由だった。
一口に依頼といっても、その内容はピンキリだ。【ワイバーン発生! 討伐求む】と書かれた貼り紙があれば、【ヒールキノコの採取】と書かれた張り紙もあり、ラノイは頭を悩ませていた。
初心者でも戦えて、特訓にもなって、尚且つそこそこの報酬が貰える、そんな依頼がないかとあちこち見回す。しばらくして、
「あ、いいのみっけ!」
すぐさまその紙を取り、受付へ持っていく。
「これお願いします」
「小鬼五体の討伐ですね。かしこまりました」
手続きが終わると、ラノイは目的の場所へと向かった。
木製の扉を両手で押し、中へ入る。テーブルを囲んで作戦会議をする人、どの依頼に行くか悩む人、喧嘩をする者など、活気に溢れていた。
「すいません」
ラノイは受付嬢に話しかける。
「ようこそペイデル冒険者ギルドへ。新規登録ですか?」
「あ、はい」
「かしこまりました。ではこちらの書類に必要事項を記入してください」
受付嬢から渡された書類に記入する。
「できました」
「では確認いたします。……一人ソロということになっていますが、よろしいですか?」
「あ、はい。それで大丈夫です」
「かしこまりました。では注意事項と説明を簡単にさせていただきます」
そういって受付嬢は一枚の紙を出した。そこにはこの国と、その周辺の地形が示されている。
「これはペイデルの領土です。ペイデル王国を中心に東は人魚の湖、西はポラン平原、南はファエゴ丘陵、北はヴァンの森までとなっております。この領土内で獲れた物はこちらで対処させていただきます。ただし、ラノイ様がこの範囲外で獲物をとった場合は当ギルドで対応することができません」
「どうしてですか?」
「その獲物は他国の領土のものとなり、それを買取等の処分をするのはご法度なんです。」
「あーなるほど、わかりました」
「この紙は差し上げますね」
「ありがとうございます」
ラノイは受付嬢から紙を受け取った。
「では次にこのギルドについて説明しますね」
そう言って今度は違う紙を出した。
「今いるここが受付カウンターです。ここから右に行くとクエストボードがあります。ボードに貼ってある紙をこちらに持ってきて頂くとクエストを受けることができます。2階にはギルド長の部屋となっています。ギルドの裏に解体屋がありますので、大きなモンスターはそちらで査定します。ここまでで何か分からないことはありましたか?」
「いや、大丈夫です」
「わかりました。これで説明は以上となります。それでは快適な冒険者ライフをお過ごし下さい」
「どうもありがとうございました」
ラノイは受付嬢に会釈し、そのままクエストボードへ向かった。ボードには紙が留めてあり、最近貼られたであろう新しめの依頼から、黄ばんで文字がかすれ読みにくいものまで様々であった。
「どうしようかな……」
ラノイがギルドへ来たのには主に2つの狙いがあった。
1つ目は言わずもがな強くなるためである。追放の辛さを知ったからこそ、もうあんな思いはしたくない。それにもしこれから一人だったとしても、強い越したことはないからだ。
2つ目は金を稼ぐためである。クランクから貰った金貨10枚も、いつかは底をつく。これからの事を考えると、金を稼ぐのは必然だろう。
己の強化もできてお金も貰える、それがラノイがギルドへ来た主な理由だった。
一口に依頼といっても、その内容はピンキリだ。【ワイバーン発生! 討伐求む】と書かれた貼り紙があれば、【ヒールキノコの採取】と書かれた張り紙もあり、ラノイは頭を悩ませていた。
初心者でも戦えて、特訓にもなって、尚且つそこそこの報酬が貰える、そんな依頼がないかとあちこち見回す。しばらくして、
「あ、いいのみっけ!」
すぐさまその紙を取り、受付へ持っていく。
「これお願いします」
「小鬼五体の討伐ですね。かしこまりました」
手続きが終わると、ラノイは目的の場所へと向かった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~
結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は
気が付くと真っ白い空間にいた
自称神という男性によると
部下によるミスが原因だった
元の世界に戻れないので
異世界に行って生きる事を決めました!
異世界に行って、自由気ままに、生きていきます
~☆~☆~☆~☆~☆
誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります!
また、感想を頂けると大喜びします
気が向いたら書き込んでやって下さい
~☆~☆~☆~☆~☆
カクヨム・小説家になろうでも公開しています
もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~>
もし、よろしければ読んであげて下さい
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる