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0話 ざまぁといえばまず解雇

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「僕が解雇って……どういうことですか、ライアン」
「解雇は解雇だよ、デンス。この街でさよならだ」
「どうして僕が解雇されなければならないんですか? 僕がなにかしましたか。ライアン、言ってくれれば直します。言ってください。僕はこのパーティが好きです。一緒に冒険を続けたい」
「……はっきり言った方がよさそうだから言わせてもらう。なにをしたというよりも、なにもできないからなんだ、デンス。その、お前……お前、テイマーだっていうけどテイムができないじゃないか。戦闘中、戦っているのは俺とガストンとタニア。お前は遠くで見てるだけ。そうじゃないか?」
「僕は僕でサポートを……それに僕は動物ではなく幻獣のテイムを専門としていて……」
「それはこないだ聞いた。いや、もっと早く言ってほしかったけど。それでこないだようやくテイム成功したのがなにもできないチビドラゴンだろ? しかも、俺たちで散々弱らせてからようやく。タニアの足には、あの時の傷がまだ残ってるんだ」
「対象を弱らせるのにパーティが協力するのは当然のことかと思うんですが……」
「わかってくれデンス、それだって限度ってものがあるんだよ。俺たちだって余裕があるわけじゃない。お前と一緒にやっていくのはもう限界なんだ」
「……つまり、僕はお荷物、ってことですか?」
「いやまあ、その……そうはっきりと言いたいわけじゃないんだが……」
「いいです。わかりました。僕がパーティから抜ければいいんですね」
「わかってくれたならよかった。宿屋には明日までの代金を支払ってあるから、明日の午前中までに荷物をまとめて出ていってくれると助かる」
「そうします」
「じゃあ、これ、これまでの報酬の分け前な」
「えっ……少なくないですか? この間のモンスター討伐の報酬からすると……」
「あれやこれや経費がかかるんだよ。みんなその金額で我慢してる。これでもデンスの分は、退職金と思って少し多めにしてるくらいなんだ。わかってほしい」
「……はい」

 こうしてデンスはパーティから離脱した。デンスが連れて行ったチビドラゴンが実は伝説の神龍の子供だと判明し、ほどなくデンスはどこぞの王宮に召し抱えられたと風の噂で聞いた。

 しかしそれはそれとしてこの話は、デンスがいなくなったその日の午後に、目の端を釣り上げた宿屋の女将が、俺たちの部屋のドアを乱暴に叩くところからはじまるのである。
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