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第十二話「聖騎士お姉さん1」
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午後。
研究と魔法練習、そして筋トレなどを終えた俺たちの元にトタトタとシスターの格好でやって来たミリアさん。
普段通りの軽めの雰囲気でやってくる彼女はこれまた楽しそうに俺の肩を叩いた。
「よぉし、どぉ? しっかりやってるーっ?」
「あぁ、ミリアさんっ」
「ミリア、ちょうど終わりました」
「そう、ならよかったわね!」
ユミはいつも通りの不愛想で答えると、それを聞いたミリアさんはニコッと笑みを浮かべた。
にしても、ユミはどうして俺以外の人には笑顔とか、四季折々な表情を見せないのか……子供と言うのは本当に気難しい。
そうこう考えているとミリアさんが肩をとすんと叩き、俺にウインクをして振り返ってこう言った。
「——それじゃあ、よろしくおねがいしますっ」
「よろしく……」
首を傾げていると彼女の背中の影の方からジャラジャラと金属音を鳴らしながら一人、知らない人が歩いてきた。
「っ——」
ユミは急に歩いてきた見知らぬ人に少し驚き、俺の袖を掴みながら背中に隠れる。そんな彼女を余っている方の手であやしながら、俺も思わず身構えた。
「……あれれ、なんか警戒されちゃってますか?」
ミリアさんの後ろから現れたのは女性だった。
銀髪碧眼、長い髪を後ろで結び……所謂ポニーテールの大変美しい甲冑を着ている女性だった。そんな姿を見て、俺は何か見覚えがあった。
昔、丁度のこの異世界に生まれた時のことだ。
生まれた俺の世話をしていたのが金髪の甲冑を着ている女性だった。おそらく、騎士……この世界なら聖騎士と呼ぶべきか。そんな気がする。
鍛え抜かれた体と剣技、そして底知れぬ体力と万能な魔法を使い、どんな侵略者からの侵入を許さない軍の一般兵士よりも上位の存在だ。
しかし……なんで聖騎士がここに?
そこで、俺は訊ねてみることにした。
「——あ、あのどうして……ここに?」
「あぁ、私かい? 君たちの家庭教師をしに来ました。ここの孤児院にすごく優秀な子がいるって、冒険者やってた時の仲間のミリアに言われてね……ちょっと興味が湧いたっていうか」
「……え、もしかしてあなたがっ」
ミリアさんの方を向き、そう呟くと彼女は「えぇっ」とにこやかに頷いた。朝言っていた近くの街に来ていた人か。
「にしても……ほんとに聖騎士様が来るとは思いませんでした」
「あら、そう?」
「いや、だって……こんな辺境の孤児院にっ」
「才能がある子がいるのよ? そりゃあ、才能は伸ばさないとだからねっ」
銀髪碧眼の聖騎士はハンズアップしながら笑みを向ける。
「——あぁっとそれで君かな? 男の子の方は確か創造スキルを使えるんだよね?」
「まぁ、一応そうですね」
「ははっ――あのスキルは今まで役に立たないと思っていたのだがな。そんなスキルのことをこうも簡単に言ってくれるとなぜだか自分が小さく感じてしまうよ! まぁ、そこの使い方は私には分からないから伸ばせないと思うけどっ、体の動きとかはしっかり教えちゃうよっ!」
「あ、ありがとうございます」
なんとなく、ぺこりと頭を下げる。
「いいんだ、私も結構楽しみだからさ!」
これまた同様に綺麗な笑みを浮かべる彼女に俺は少しだけ安心した。後ろを向いてユミに大丈夫だよと伝え、自己紹介をすることにした。
「じゃあ、その。俺はカイトと言うので……その、よろしくおねがいします」
「私はユミです……おねがい、します……」
「あぁ、よろしく! 私はシステナ・ルピナス・ハーメル中尉だっ、これからは教官と呼びたまえ、二人とも!」
「はい、教官っ」
「k、きょう、教官っ」
「おう。さっそく始めようか!」
そうして、俺たち二人の家庭教師として聖騎士の金髪美女が現れたのだった。にしても武術を教えてくれるのか。
武術系に関しては一応、自衛隊の方に教えてもらっているから一通りは大丈夫だけどやはりこの世界の動きとか、モンスターに対する立ち回りも知らなきゃだし、頑張ろう。
それに、俺はまだ銃を使わない戦闘方法や戦術にかなり難儀しているからな。
裏山にやってきた俺たち三人。ミリアさんは他の子どもの世話もあるためここで一旦離れて、いつもの射撃場兼広場に来ていた。
勿論、午前中の研究で使っていた機材やら銃やらが置かれたままになっていて、それをシステナさんが真剣にまじまじと見つめている。
「——あの、どうかしましたか?」
そんな彼女を見かねて俺はトントンと肩を叩いた。
ちなみにシステナさんは俺と背丈が同じくらいで胸も甲冑で隠れているがかなり大きそうだ。腰あてとスカートのような将校服からすらっと伸びた真っ白な素足に目がいきそうになって、ぶるぶると頭を振った。
「いや、な……なんか見たことがないものがあってな」
「それは銃ですよ」
すると、不思議そうに見つめていたシステナさんにユミが少し怪訝な眼差しで言う。
「——じゅう? なんだ、その変な名前は?」
「あぁ——一応、ユミの言った通りです。今システナさんが見ている黒いものは全て銃というものです」
「名前がじゅう……それで、これはどんな器具なのだ? 創造スキルで作ったのだろう?」
「一応そうなります」
あまり驚かないシステナさんに少しだけ驚いたが、一国の騎士がそんなことで狼狽えていては務まることもないなと納得し、俺はその攻撃力を見せつけることにした。
「じゃあ、その……あそこの木に向かって撃つので見ててください」
「おうっ」
どこか少年のような眼差しで手に持った銃を見つめる彼女。そんな彼女とは裏腹に俺の右後ろに立っているユミは耳を塞いでいた。
「……ユミ、どうした、耳なんて塞いで」
「……」
訊ねるシステナさんにユミはムッとした顔を向けて無言を貫く。前々から思っていたがユミは自分が心を開いた相手としか会話をしないのだ。俺は最初から話せたが……運がよかったのだろうか。
「いきますっ」
そんなことを考えながらも、俺はスライドを引き、ガチャっと弾を込める。今回打つのは改良していたグロック19(自動拳銃)だ。オーストリアのグロック社が製造した次世代拳銃の一つ。ハンマー式ではなく、素材に強化プラスチックをふんだんに使用しているため子供の俺でもかなり軽く感じる。
リアサイトとフロントサイトを合わせ、息を吐き出し、狙いを定める。
そして、俺が引き金に手をかけて——次の瞬間。
—————パンッ!!!
と発砲音があたり一面に響いた。そんな音に驚いたのかシステナさんは「ひゃっ⁉」と声をあげながらミリアさんの時と同じように後ろに倒れる。ユミの方はと言うとこちらもまだ慣れたいないのか、音に驚いて少しだけビクついていた。
「ってな感じで、木に穴が空きます」
「っててて……って今の何⁉」
「あぁ、その……見ていただいた通りで遠距離武器ですね」
「遠距離……弓矢の類いか! にしても……この大きな音とっ——それにあそこまで遠くの木にいとも簡単にっ」
瞼を大きく開きながら、システナさんは俺の肩にがっとしがみ付いた。それを見たユミがまたしてもジト目を向けているが……これは真面目に不可抗力だ。俺には何もできない。
「あとは連射もっ……」
「れ、連射?」
「あぁ、そうですね……ちょっとうるさくなりますが——」
そうして、俺は引き金を14回引き、連発してはっしゃされた弾丸が木々に突き刺さっていく。
またしても大きな発砲音にシステナさんは甲冑で包まれた巨胸を抱きしめながら「ひゃっ」と可愛らしい声をあげた。
こっちの方が可愛いのに、いやはや騎士というものは世知辛いな。
「——ま、まっ」
「ま? その、どうですかね」
俺は口をパクパクさせているシステナさんに訊ねると彼女は目にもとまらぬ神速で肩にしがみつき、そのままの勢いで抱きしめる。
今度はぎゅっと手を握り締めながらジト目を向けるユミ。
「——あ、あのなっんで、すかっ⁉」
いきなりの大きな胸といい匂いにふらついてきそうになる俺から離れて、興奮気味にこう告げた。
「きききき、君っ‼‼‼ ぜひとも、うちの聖騎士団に入らないかっ⁉」
「えっ」
「いやはやこんな破壊力と射程が長い遠距離武器は初めてだよ!! びっくりしたよ!! ほんとにっ‼‼」
「いやっ——俺は入る気はなっ」
「三食昼寝におかし付きだよ!!」
「で、でもっ——冒険者になるので」
「いっぱり女性もいるから将来の相手も選び放題っ——良かったら、私だって」
え、まじですか?
それは良いですね、いいでしょう入りましょう――――と言いそうになったがユミが涙目で俺の後ろ側からくっついてきてギリギリ歯止めを利かせる。
「——そ、それでも行きませんからっ!」
「んなっ……私じゃ魅力的ではないっ……」
「違っーーそういうことではなくて!」
「……うぅ。そんなに私に魅力がないのか……とほほ」
こちらも涙目で地面に蹲る。
いやはや、女の子は難しい。
というわけで、俺は今までの目標や聖騎士団には入りたくない理由を小一時間ほど話し、システナさんになんとか引いてもらえることができた。
「そ、そうか……なら仕方ないなぁ」
「はい、お気持ちだけはもらっておきますがすみませんっ」
「あははっ、ま、まぁ大丈夫ねっ——とにかく、私は家庭教師よ! 武術は任せて頂戴っ!」
「お願いしますっ」
若干自信を無くしかけたシステナさん。
そんなこんなしているうちに俺とユミの異世界修行編(後半戦)が始まったのだった。
☆ステータス☆
・システナ・ルピナス・ハーメル中尉(帝国聖騎士軍、第3師団所属第6中隊隊長)
年齢:25歳
職業:帝国聖騎士
経緯:上級市民からの出
固有スキル:神速レベル5(凄まじい速さを数秒間だけ発揮することができる)
スキル:武術、聖剣流、全魔法+2、基礎教養、亜人語、隊長の鼓舞
魔法属性:光、闇
魔法レベル:3
研究と魔法練習、そして筋トレなどを終えた俺たちの元にトタトタとシスターの格好でやって来たミリアさん。
普段通りの軽めの雰囲気でやってくる彼女はこれまた楽しそうに俺の肩を叩いた。
「よぉし、どぉ? しっかりやってるーっ?」
「あぁ、ミリアさんっ」
「ミリア、ちょうど終わりました」
「そう、ならよかったわね!」
ユミはいつも通りの不愛想で答えると、それを聞いたミリアさんはニコッと笑みを浮かべた。
にしても、ユミはどうして俺以外の人には笑顔とか、四季折々な表情を見せないのか……子供と言うのは本当に気難しい。
そうこう考えているとミリアさんが肩をとすんと叩き、俺にウインクをして振り返ってこう言った。
「——それじゃあ、よろしくおねがいしますっ」
「よろしく……」
首を傾げていると彼女の背中の影の方からジャラジャラと金属音を鳴らしながら一人、知らない人が歩いてきた。
「っ——」
ユミは急に歩いてきた見知らぬ人に少し驚き、俺の袖を掴みながら背中に隠れる。そんな彼女を余っている方の手であやしながら、俺も思わず身構えた。
「……あれれ、なんか警戒されちゃってますか?」
ミリアさんの後ろから現れたのは女性だった。
銀髪碧眼、長い髪を後ろで結び……所謂ポニーテールの大変美しい甲冑を着ている女性だった。そんな姿を見て、俺は何か見覚えがあった。
昔、丁度のこの異世界に生まれた時のことだ。
生まれた俺の世話をしていたのが金髪の甲冑を着ている女性だった。おそらく、騎士……この世界なら聖騎士と呼ぶべきか。そんな気がする。
鍛え抜かれた体と剣技、そして底知れぬ体力と万能な魔法を使い、どんな侵略者からの侵入を許さない軍の一般兵士よりも上位の存在だ。
しかし……なんで聖騎士がここに?
そこで、俺は訊ねてみることにした。
「——あ、あのどうして……ここに?」
「あぁ、私かい? 君たちの家庭教師をしに来ました。ここの孤児院にすごく優秀な子がいるって、冒険者やってた時の仲間のミリアに言われてね……ちょっと興味が湧いたっていうか」
「……え、もしかしてあなたがっ」
ミリアさんの方を向き、そう呟くと彼女は「えぇっ」とにこやかに頷いた。朝言っていた近くの街に来ていた人か。
「にしても……ほんとに聖騎士様が来るとは思いませんでした」
「あら、そう?」
「いや、だって……こんな辺境の孤児院にっ」
「才能がある子がいるのよ? そりゃあ、才能は伸ばさないとだからねっ」
銀髪碧眼の聖騎士はハンズアップしながら笑みを向ける。
「——あぁっとそれで君かな? 男の子の方は確か創造スキルを使えるんだよね?」
「まぁ、一応そうですね」
「ははっ――あのスキルは今まで役に立たないと思っていたのだがな。そんなスキルのことをこうも簡単に言ってくれるとなぜだか自分が小さく感じてしまうよ! まぁ、そこの使い方は私には分からないから伸ばせないと思うけどっ、体の動きとかはしっかり教えちゃうよっ!」
「あ、ありがとうございます」
なんとなく、ぺこりと頭を下げる。
「いいんだ、私も結構楽しみだからさ!」
これまた同様に綺麗な笑みを浮かべる彼女に俺は少しだけ安心した。後ろを向いてユミに大丈夫だよと伝え、自己紹介をすることにした。
「じゃあ、その。俺はカイトと言うので……その、よろしくおねがいします」
「私はユミです……おねがい、します……」
「あぁ、よろしく! 私はシステナ・ルピナス・ハーメル中尉だっ、これからは教官と呼びたまえ、二人とも!」
「はい、教官っ」
「k、きょう、教官っ」
「おう。さっそく始めようか!」
そうして、俺たち二人の家庭教師として聖騎士の金髪美女が現れたのだった。にしても武術を教えてくれるのか。
武術系に関しては一応、自衛隊の方に教えてもらっているから一通りは大丈夫だけどやはりこの世界の動きとか、モンスターに対する立ち回りも知らなきゃだし、頑張ろう。
それに、俺はまだ銃を使わない戦闘方法や戦術にかなり難儀しているからな。
裏山にやってきた俺たち三人。ミリアさんは他の子どもの世話もあるためここで一旦離れて、いつもの射撃場兼広場に来ていた。
勿論、午前中の研究で使っていた機材やら銃やらが置かれたままになっていて、それをシステナさんが真剣にまじまじと見つめている。
「——あの、どうかしましたか?」
そんな彼女を見かねて俺はトントンと肩を叩いた。
ちなみにシステナさんは俺と背丈が同じくらいで胸も甲冑で隠れているがかなり大きそうだ。腰あてとスカートのような将校服からすらっと伸びた真っ白な素足に目がいきそうになって、ぶるぶると頭を振った。
「いや、な……なんか見たことがないものがあってな」
「それは銃ですよ」
すると、不思議そうに見つめていたシステナさんにユミが少し怪訝な眼差しで言う。
「——じゅう? なんだ、その変な名前は?」
「あぁ——一応、ユミの言った通りです。今システナさんが見ている黒いものは全て銃というものです」
「名前がじゅう……それで、これはどんな器具なのだ? 創造スキルで作ったのだろう?」
「一応そうなります」
あまり驚かないシステナさんに少しだけ驚いたが、一国の騎士がそんなことで狼狽えていては務まることもないなと納得し、俺はその攻撃力を見せつけることにした。
「じゃあ、その……あそこの木に向かって撃つので見ててください」
「おうっ」
どこか少年のような眼差しで手に持った銃を見つめる彼女。そんな彼女とは裏腹に俺の右後ろに立っているユミは耳を塞いでいた。
「……ユミ、どうした、耳なんて塞いで」
「……」
訊ねるシステナさんにユミはムッとした顔を向けて無言を貫く。前々から思っていたがユミは自分が心を開いた相手としか会話をしないのだ。俺は最初から話せたが……運がよかったのだろうか。
「いきますっ」
そんなことを考えながらも、俺はスライドを引き、ガチャっと弾を込める。今回打つのは改良していたグロック19(自動拳銃)だ。オーストリアのグロック社が製造した次世代拳銃の一つ。ハンマー式ではなく、素材に強化プラスチックをふんだんに使用しているため子供の俺でもかなり軽く感じる。
リアサイトとフロントサイトを合わせ、息を吐き出し、狙いを定める。
そして、俺が引き金に手をかけて——次の瞬間。
—————パンッ!!!
と発砲音があたり一面に響いた。そんな音に驚いたのかシステナさんは「ひゃっ⁉」と声をあげながらミリアさんの時と同じように後ろに倒れる。ユミの方はと言うとこちらもまだ慣れたいないのか、音に驚いて少しだけビクついていた。
「ってな感じで、木に穴が空きます」
「っててて……って今の何⁉」
「あぁ、その……見ていただいた通りで遠距離武器ですね」
「遠距離……弓矢の類いか! にしても……この大きな音とっ——それにあそこまで遠くの木にいとも簡単にっ」
瞼を大きく開きながら、システナさんは俺の肩にがっとしがみ付いた。それを見たユミがまたしてもジト目を向けているが……これは真面目に不可抗力だ。俺には何もできない。
「あとは連射もっ……」
「れ、連射?」
「あぁ、そうですね……ちょっとうるさくなりますが——」
そうして、俺は引き金を14回引き、連発してはっしゃされた弾丸が木々に突き刺さっていく。
またしても大きな発砲音にシステナさんは甲冑で包まれた巨胸を抱きしめながら「ひゃっ」と可愛らしい声をあげた。
こっちの方が可愛いのに、いやはや騎士というものは世知辛いな。
「——ま、まっ」
「ま? その、どうですかね」
俺は口をパクパクさせているシステナさんに訊ねると彼女は目にもとまらぬ神速で肩にしがみつき、そのままの勢いで抱きしめる。
今度はぎゅっと手を握り締めながらジト目を向けるユミ。
「——あ、あのなっんで、すかっ⁉」
いきなりの大きな胸といい匂いにふらついてきそうになる俺から離れて、興奮気味にこう告げた。
「きききき、君っ‼‼‼ ぜひとも、うちの聖騎士団に入らないかっ⁉」
「えっ」
「いやはやこんな破壊力と射程が長い遠距離武器は初めてだよ!! びっくりしたよ!! ほんとにっ‼‼」
「いやっ——俺は入る気はなっ」
「三食昼寝におかし付きだよ!!」
「で、でもっ——冒険者になるので」
「いっぱり女性もいるから将来の相手も選び放題っ——良かったら、私だって」
え、まじですか?
それは良いですね、いいでしょう入りましょう――――と言いそうになったがユミが涙目で俺の後ろ側からくっついてきてギリギリ歯止めを利かせる。
「——そ、それでも行きませんからっ!」
「んなっ……私じゃ魅力的ではないっ……」
「違っーーそういうことではなくて!」
「……うぅ。そんなに私に魅力がないのか……とほほ」
こちらも涙目で地面に蹲る。
いやはや、女の子は難しい。
というわけで、俺は今までの目標や聖騎士団には入りたくない理由を小一時間ほど話し、システナさんになんとか引いてもらえることができた。
「そ、そうか……なら仕方ないなぁ」
「はい、お気持ちだけはもらっておきますがすみませんっ」
「あははっ、ま、まぁ大丈夫ねっ——とにかく、私は家庭教師よ! 武術は任せて頂戴っ!」
「お願いしますっ」
若干自信を無くしかけたシステナさん。
そんなこんなしているうちに俺とユミの異世界修行編(後半戦)が始まったのだった。
☆ステータス☆
・システナ・ルピナス・ハーメル中尉(帝国聖騎士軍、第3師団所属第6中隊隊長)
年齢:25歳
職業:帝国聖騎士
経緯:上級市民からの出
固有スキル:神速レベル5(凄まじい速さを数秒間だけ発揮することができる)
スキル:武術、聖剣流、全魔法+2、基礎教養、亜人語、隊長の鼓舞
魔法属性:光、闇
魔法レベル:3
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