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第2章 創造者《クリエイター》の冒険者ギルド

第27話 はじめてのクエスト

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「そんな忙しいセリナちゃんたちのために、クエストを熟すのがギルド員のあたしたちなのよ」

 パチンとウインクしたアンジェは、そのままスッとクエストが貼られている掲示板に目を向けた。

「せっかくだから、このままクエストやってみる?」 

「お、おう」

 反射的に頷いてしまったが、異世界生活二日目にして早くもクエストとは、身構えてしまう。

「大丈夫よ。簡単なクエストもあるし、あたしもいるわ」

 俺の不安と緊張がアンジェに伝わってしまったのか、アンジェは朗らかな口調で俺をなだめた。

 その流れでアンジェが掲示板のほうへと歩き出す。ここはひとまず先輩について行こう。

 アンジェに並んで掲示板を見ると、すでにいろんな依頼が貼られていた。魔物の討伐もあるが、薬草やコアの採取、荷物のお届けなんてのもある。報酬も金だけでなく装備品や食料、宿泊の受け入れなど様々だ。

「ギルドって言ったらランクのイメージだけど、ランクとかってあるのか?」

「ランクや難易度は特に設けられてないわ。あんなの誰かの主観でしかないからね。ギルドの初心者だからって、難しいクエストがまったくできない訳ではないでしょ? みんな自分のクラスや属性魔法の相性、能力を弁えてクエストを選ぶのよ」 

 ただし、名が上がるとそのギルド員直々にクエストが来るようになるとか。そういう時はギルドから依頼書が来るので、わざわざ自分でクエストを探しに来なくていいから楽になるのだという。

「さて、何かいいクエストはないかしら」

 あごに自分の人差し指を当てながら、アンジェはざっと貼り紙に目を通す。

「あ、これはどう? ムギちゃんでもできそう」
 そう言ってアンジェが指したのは教会からのクエストだった。


『依頼主:シスター・モネ
 クエスト内容:クーラの水の納品(最低ウォーター・コア・ボトル二個。個数によって報酬内容変動可能)
 報酬:四百ヴァル~
 期限:受付から三日後まで(※更新あり)』


 クーラの水は確かアンジェが俺に使ってくれた回復薬のことだった。患部に水をかけるだけで治癒してくれる優れものであったはず。

「ちょうどあたしも補充しなきゃと思っていたのよ。どう? ムギちゃん」 

「あ、ああ。とりあえずこれで行ってみるか」

 同意するとアンジェは「オーケー」と貼り紙を剥がした。

「あとはこれを受付に持っていって、手続きしてもらえれば完了よ」

 言われるがままにアンジェに続く。

 貼り紙をセリナに持っていくと、内容を見た彼女は納得したように頷いた。

「最初にはぴったりのクエストだと思います。ミドリーさんやシスターもきっと喜んでくれますよ」

「補充もできて、一石二鳥ってとこね」

 ブイサインするアンジェにセリナはクスッと笑う。

 そこからは完全に事務作業だった。セリナが貼り紙に俺とアンジェの名前を書き、終いに引き出しから取り出したハンコに赤いインクをつけて貼り紙に押す。

「はい、受付終了です。頑張ってくださいね!」

 そんな彼女の可愛い笑顔と貼り紙及び依頼書を受け取れば手続き完了だ。

 あとは期日までにクエストを熟し、依頼物をギルドに持ってくるだけ。

 いよいよ初めてのクエストだ。

「それじゃ、さっそく行きましょう」

 ニコッと笑ったアンジェはセリナに顔を向け、ウインクしながら彼女に投げキッスをした。

「じゃーねセリちゃん。今度あたしたちの愛の園に遊びに来てね」

 セリナに手を振るアンジェは意味深な言葉を残してさっさと行ってしまう。

「アンジェさん⁉︎ それ言い残して俺置いてっちゃうの⁉︎」

 しかも陽気にスキップしているし! 俺のこと完全に無視だし!

 アンジェまでボケられるとただでさえツッコミに収拾がつかなくなるのに、あんたがそんなことを言うと色々シャレにならん!

 慌てて追いかけようと思ったが、今度はノアが頭に乗ってきた。前のめりになる体を踏ん張り、その場で立ち止まる。このせいで色々とタイミングを失ってしまった。

 舌打ち混じりで頭上にいるノアを睨む。すると、セリナがおかしそうにクスリと笑った。
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