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★雛の家3
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日が沈む頃、2人は待ち合わせの場所に着いた。駐車場に車を止めて外に出ると、目の前にはまるで威圧するような厳めしい門が立ちはだかり、そこから遥か遠くまで連なるのではないかと錯覚させる白い塀が続いている。幸嗣は気持ちを落ち着けるように深く息を吐いた。
「幸嗣さん、ここは……」
立派な門構えに気圧されたように沙耶は不安気に幸嗣の腕に縋ってくる。そのぬくもりのおかげで挫けそうな気持が奮い立つ。
「ここも、ウチかな」
沙耶の問いにそう答えると、門の脇に立つ看板を指さした。そこには「旧大倉家」と書かれている。手前の日本家屋は江戸の末期、奥に見える洋館は明治期に建てられ、どちらも重要文化財に指定されている。今の家に引っ越してからは一般にも公開していたのだが、建物の改修の為に年明けから休んでいた。
「旧大倉家?」
「そう。10年前まで住んでいたところ」
ここは幸嗣にとってトラウマの塊のような場所だった。使用人達の陰口はまだいい方で、義総が居ないところを見計らってやって来る久子のいびりに通っていた学校でのいじめ。ここに残っているのは悪い記憶しかない。
義総もそれを知っている筈なのだが、なぜわざわざここを待ちあわせの場所に選んだのか恨んでしまう。けれども、それを沙耶には知られたくなくて虚勢を張っているのだが、心なしか手が震えて来る。
「幸嗣さん?」
「あ、いや、入ろうか」
動きの止まった幸嗣を心配して沙耶が声をかけて来る。幸嗣はもう一度深呼吸をすると沙耶の手を取って門へ足を向ける。だが、ちょうどそこへ見覚えのある黒塗りの車が駐車場に入ってきて、幸嗣の車の隣に停車する。
「義総さん」
ドアが開き、後部座席から義総が降りてくると、沙耶は声を弾ませて彼に駆け寄っていく。幸嗣は少しだけ寂しい気持ちになったが、それでもその姿を見て安堵したのは彼も一緒だった。なんだかんだ言って幸嗣自身も頼りにしている証拠だろう。
「沙耶」
駆け寄ってきた沙耶を義総はしっかりと抱きしめる。いつもであれば濃厚な口づけを交わすのだが、外出先なのを考慮したのか、頬に軽く口づけただけに留めていた。
「遅くなって悪かった」
「お仕事ですもの。お疲れではないですか?」
「君の顔見てどこかに行ったよ」
甘い言葉を交わすと、義総はもう一度彼女の頬に口づけた。そして彼女の腰に手を回し、エスコートするようにして幸嗣に近づいてくる。
「お疲れ」
「昼間は任せてしまって悪かったな」
「いいよ。沙耶と居られて役得だったし」
義総に肩をポンと叩かれただけで、この場所に着いた時から感じていた緊張感から解放される。思わずほっと息を吐いた。
「では、中に入ろう。見せたいものがある」
義総が沙耶を促して門の中へ足を向ける。幸嗣はこれで役目が終わったと2人を見送ろうとしたのだが、沙耶に腕を掴まれる。
「行きましょう」
幸嗣のトラウマを知る由もない沙耶が無邪気に誘う。彼女に誘われるとさすがに彼も断ることは出来ない。困ったような視線を義総に向けたが、彼は素知らぬ顔をしている。
無理に腕を引きはがしてしまえば沙耶を悲しませてしまう。それは幸嗣としても本意ではない。幸嗣はそれを諦め、内心ため息をつくと、誘われるまま旧大倉家の門をくぐった。
決死の覚悟で旧大倉家の和の屋敷に足を踏みいれた幸嗣はどこか違和感を覚えていた。
今では絶対に手に入らないであろう銘木の太い柱や梁。細やかな細工が施された建具。幼かった幸嗣に植え付けられたトラウマは、そこから感じる歴史と風格が結びついて生まれていたのだが、今、目にしたこの屋敷からはそんな威圧感を感じることは無かった。
逆に古ぼけた印象を強く感じ、粗ばかりが目立ってしまう。今まで抱いていたのは一体何だったのかと疑問に思うほど、その恐怖感は感じられなくなっていた。
「お出迎えもせず申し訳ありません」
庭に面した広縁を歩き、義総の案内で屋敷の大広間に着くと、綾乃が一同を出迎えた。いつもと異なるラフな格好をしているので、沙耶は少し驚いている。
「綾乃さん?」
「はい。今日は作業の為にこちらにおります」
綾乃は先代の青柳から旧大倉家の管理を引き継いでいた。今日は家で姿を見なかったのは、こちらで作業をしていたからだろう。
「構わなくていい。入っても大丈夫か?」
「先ほど終わりました。今は片づけをしております」
綾乃がそう応えて障子を開けると、木の箱を抱えた数名のスタッフが一同に頭を下げて出て行く。入れ違いに彼等が中に足を踏みいれると、その光景に幸嗣も沙耶も思わず息をのむ。部屋の奥の壁一面に大倉家に代々伝わっているらしい年代物のひな人形が飾り付けられていた。
「うわぁ……どうしたの?」
「代々大倉家に伝わっているひな人形でございます。建物の改修も終わりましたので、公開再開に合わせて飾り付けました」
「凄い……」
「全部沙耶のだよ」
「え?」
「私達と結婚するのだから、当然君の物になる。いずれ君が管理してくれると嬉しい」
思いがけなかったのだろう、義総の答えに絶句した沙耶は彼を振り仰ぐ。そんな2人の様子を微笑ましく見守っていた綾乃がにこやかに説明し始める。
「古いものは江戸末期のものといわれております。それから、長く行方の分からなかったお品がこのほど見つかりましたので、今回はその2つを中心に飾り付けております」
実は誘拐事件を思い出させてしまうので沙耶には言えないのだが、行方不明になっていたひな人形は久子が持ち出していたものだった。昨秋に決着を付けたあと、そのひな人形を含めて彼女が無断で持ち出した品の大半が無事に帰ってきたので、改修後の公開の目玉にすることにしたのだろう。
綾乃の説明を聞き流しながら、幸嗣はひな人形が飾り付けられた部屋を見渡す。10年前には確かにこの屋敷に住んでいて、煌びやかな襖絵も精緻な細工の欄間も見覚えがあるはずなのに、この光景が何だか目新しい。全く知らない場所に来たような錯覚すら覚えた。
「どうした?」
「なんだか、他所の家みたいだ」
「ここになじむ前に引っ越したから、お前にとってはそうかもしれん」
幸嗣の率直な感想に義総は苦笑する。
「もっとさぁ、厳めしいと言うか堅苦しくて無機質な感じがしてたけど、こうして人形が飾ってあるだけで印象が変わるんだな」
「沙耶がいるからだろう」
義総のその答えはストンと胸に落ちてきた。なるほどと妙に納得して人形に見入っている沙耶の姿を眺める。
「お前自身も変わったのもある。十分な教養と経験を積んで堂々と大倉家の跡継ぎを名乗れるようになった。自信を持てるようになったのが大きいのではないか?」
思わない言葉をかけられ、熱いものがこみ上げる。義総に認められた嬉しさと過去の悔しさと色々な感情がごちゃ混ぜになっていた。
「ゴメン、ちょっと外す」
好きな女性に泣いているところは見られたくない。幸嗣は義総にそう断ると広間を後にした。
「幸嗣さん、ここは……」
立派な門構えに気圧されたように沙耶は不安気に幸嗣の腕に縋ってくる。そのぬくもりのおかげで挫けそうな気持が奮い立つ。
「ここも、ウチかな」
沙耶の問いにそう答えると、門の脇に立つ看板を指さした。そこには「旧大倉家」と書かれている。手前の日本家屋は江戸の末期、奥に見える洋館は明治期に建てられ、どちらも重要文化財に指定されている。今の家に引っ越してからは一般にも公開していたのだが、建物の改修の為に年明けから休んでいた。
「旧大倉家?」
「そう。10年前まで住んでいたところ」
ここは幸嗣にとってトラウマの塊のような場所だった。使用人達の陰口はまだいい方で、義総が居ないところを見計らってやって来る久子のいびりに通っていた学校でのいじめ。ここに残っているのは悪い記憶しかない。
義総もそれを知っている筈なのだが、なぜわざわざここを待ちあわせの場所に選んだのか恨んでしまう。けれども、それを沙耶には知られたくなくて虚勢を張っているのだが、心なしか手が震えて来る。
「幸嗣さん?」
「あ、いや、入ろうか」
動きの止まった幸嗣を心配して沙耶が声をかけて来る。幸嗣はもう一度深呼吸をすると沙耶の手を取って門へ足を向ける。だが、ちょうどそこへ見覚えのある黒塗りの車が駐車場に入ってきて、幸嗣の車の隣に停車する。
「義総さん」
ドアが開き、後部座席から義総が降りてくると、沙耶は声を弾ませて彼に駆け寄っていく。幸嗣は少しだけ寂しい気持ちになったが、それでもその姿を見て安堵したのは彼も一緒だった。なんだかんだ言って幸嗣自身も頼りにしている証拠だろう。
「沙耶」
駆け寄ってきた沙耶を義総はしっかりと抱きしめる。いつもであれば濃厚な口づけを交わすのだが、外出先なのを考慮したのか、頬に軽く口づけただけに留めていた。
「遅くなって悪かった」
「お仕事ですもの。お疲れではないですか?」
「君の顔見てどこかに行ったよ」
甘い言葉を交わすと、義総はもう一度彼女の頬に口づけた。そして彼女の腰に手を回し、エスコートするようにして幸嗣に近づいてくる。
「お疲れ」
「昼間は任せてしまって悪かったな」
「いいよ。沙耶と居られて役得だったし」
義総に肩をポンと叩かれただけで、この場所に着いた時から感じていた緊張感から解放される。思わずほっと息を吐いた。
「では、中に入ろう。見せたいものがある」
義総が沙耶を促して門の中へ足を向ける。幸嗣はこれで役目が終わったと2人を見送ろうとしたのだが、沙耶に腕を掴まれる。
「行きましょう」
幸嗣のトラウマを知る由もない沙耶が無邪気に誘う。彼女に誘われるとさすがに彼も断ることは出来ない。困ったような視線を義総に向けたが、彼は素知らぬ顔をしている。
無理に腕を引きはがしてしまえば沙耶を悲しませてしまう。それは幸嗣としても本意ではない。幸嗣はそれを諦め、内心ため息をつくと、誘われるまま旧大倉家の門をくぐった。
決死の覚悟で旧大倉家の和の屋敷に足を踏みいれた幸嗣はどこか違和感を覚えていた。
今では絶対に手に入らないであろう銘木の太い柱や梁。細やかな細工が施された建具。幼かった幸嗣に植え付けられたトラウマは、そこから感じる歴史と風格が結びついて生まれていたのだが、今、目にしたこの屋敷からはそんな威圧感を感じることは無かった。
逆に古ぼけた印象を強く感じ、粗ばかりが目立ってしまう。今まで抱いていたのは一体何だったのかと疑問に思うほど、その恐怖感は感じられなくなっていた。
「お出迎えもせず申し訳ありません」
庭に面した広縁を歩き、義総の案内で屋敷の大広間に着くと、綾乃が一同を出迎えた。いつもと異なるラフな格好をしているので、沙耶は少し驚いている。
「綾乃さん?」
「はい。今日は作業の為にこちらにおります」
綾乃は先代の青柳から旧大倉家の管理を引き継いでいた。今日は家で姿を見なかったのは、こちらで作業をしていたからだろう。
「構わなくていい。入っても大丈夫か?」
「先ほど終わりました。今は片づけをしております」
綾乃がそう応えて障子を開けると、木の箱を抱えた数名のスタッフが一同に頭を下げて出て行く。入れ違いに彼等が中に足を踏みいれると、その光景に幸嗣も沙耶も思わず息をのむ。部屋の奥の壁一面に大倉家に代々伝わっているらしい年代物のひな人形が飾り付けられていた。
「うわぁ……どうしたの?」
「代々大倉家に伝わっているひな人形でございます。建物の改修も終わりましたので、公開再開に合わせて飾り付けました」
「凄い……」
「全部沙耶のだよ」
「え?」
「私達と結婚するのだから、当然君の物になる。いずれ君が管理してくれると嬉しい」
思いがけなかったのだろう、義総の答えに絶句した沙耶は彼を振り仰ぐ。そんな2人の様子を微笑ましく見守っていた綾乃がにこやかに説明し始める。
「古いものは江戸末期のものといわれております。それから、長く行方の分からなかったお品がこのほど見つかりましたので、今回はその2つを中心に飾り付けております」
実は誘拐事件を思い出させてしまうので沙耶には言えないのだが、行方不明になっていたひな人形は久子が持ち出していたものだった。昨秋に決着を付けたあと、そのひな人形を含めて彼女が無断で持ち出した品の大半が無事に帰ってきたので、改修後の公開の目玉にすることにしたのだろう。
綾乃の説明を聞き流しながら、幸嗣はひな人形が飾り付けられた部屋を見渡す。10年前には確かにこの屋敷に住んでいて、煌びやかな襖絵も精緻な細工の欄間も見覚えがあるはずなのに、この光景が何だか目新しい。全く知らない場所に来たような錯覚すら覚えた。
「どうした?」
「なんだか、他所の家みたいだ」
「ここになじむ前に引っ越したから、お前にとってはそうかもしれん」
幸嗣の率直な感想に義総は苦笑する。
「もっとさぁ、厳めしいと言うか堅苦しくて無機質な感じがしてたけど、こうして人形が飾ってあるだけで印象が変わるんだな」
「沙耶がいるからだろう」
義総のその答えはストンと胸に落ちてきた。なるほどと妙に納得して人形に見入っている沙耶の姿を眺める。
「お前自身も変わったのもある。十分な教養と経験を積んで堂々と大倉家の跡継ぎを名乗れるようになった。自信を持てるようになったのが大きいのではないか?」
思わない言葉をかけられ、熱いものがこみ上げる。義総に認められた嬉しさと過去の悔しさと色々な感情がごちゃ混ぜになっていた。
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