118 / 435
第1章 群青の騎士団と謎の佳人
108 想いはいつしか3
しおりを挟む
マリーリアはテーブルの上に置いた招待状を眺めながら戸惑っていた。先ほど、エドワルドに呼び出されて手渡されたものだ。
「マリーリア・ジョアン・ディア・ワールウェイド嬢、私が主催する新年の舞踏会に是非、出席して下さい」
彼はそう言って笑顔で彼女にこの封筒を手渡したのだ。
「ですが、私は……」
「君は私の花嫁候補らしいからな。誘っておかないと後で姉上になんて言われるか……」
「私にはそのつもりはありません」
「君にその気が無いのは承知している。私にもない」
あっさりとエドワルドは答え、更に続ける。
「竜騎士礼装は禁止だ。是非着飾って出てほしい」
「……」
「実はフロリエにも招待状を渡してきた。衣装をあつらえる為に明日、仕立屋を叔母上の館へ派遣する。費用は私が持つから君も同行し、一緒にあつらえてくるといい」
言いたいことだけ言うと、エドワルドは彼女に戻るよう命じたのだった。
「先ほどからため息をついてどうした?」
見回りから戻ってきたアスターが彼女に話しかけてくる。やはりまだ外回りをしてくると体が冷えるらしく、彼は防寒具を外すと暖炉の前に手をかざす。
「アスター卿……」
マリーリアは立ち上がると彼の為に温かいお茶を淹れて差し出した。テーブルに置かれたままの招待状が彼の目に留まる。
「ああ、ありがとう。舞踏会の招待状、受け取ったのか?」
「はい。竜騎士礼装はだめだと言われて、どうしようかと思いまして……」
彼女はため息をつくと、エドワルドとのやり取りを話した。
「君の肩書を考慮して、他の団員と区別する為に殿下はそう言われたのだと思う。ま、個人的な興味もおありなのだとは思うのだが……」
温かいお茶を味わうようにして一口飲むと、アスターは移動してマリーリアの向かいに座った。マリーリアも自分用にお茶を淹れると元の席に座る。
「今まで自分で選んだ事が無いからどうしていいか……」
「フロリエ嬢の物と一緒に頼むのだろう? ジーンが同行するし、あちらの侍女方から色々聞いてみるといい」
ジーンは上流騎士の家庭に育っていて、そういった事も詳しいはずだった。それを言うならマリーリアも大貴族の生まれだが、彼女はずっと田舎で育った上に、そう言った物に頓着しなかった。なんだかんだ言って竜騎士礼装で済ませて来たのもある。
「……」
「貴女はきっと赤が似合う」
ちょうどルークに呼ばれた彼はそう言い残して席を立った。
「赤か……」
1人残ったマリーリアは招待状を眺めながらそうつぶやいた。
翌日、マリーリアとジーンは、エドワルド御用達の女性の仕立屋とたくさんの生地見本を飛竜に乗せてグロリアの館に向かった。左肩の怪我が完治したルークが既に謹慎を解かれているので、討伐の方は2人が抜けても問題は無かった。もう春がきたと錯覚させる穏やかな天気の下、2頭の飛竜は何事も無くグロリアの館へ着いた。
「お待ちいたしておりました」
オルティスが一行を出迎え、ティムと一緒に荷物を降ろすのも手伝う。2頭の飛竜はそのままティムに引かれて厩舎へ連れて行かれ、仕立屋と竜騎士は荷物を抱えてオルティスの後に続く。いつもの居間に行くと、フロリエとオリガを初めとした侍女達が待っていた。
「では、私はこれで失礼致します」
採寸が終わるまで、居間に男性は立ち入り禁止である。オルティスは荷物を置くと部屋から出て行った。そして早速、仕立屋と古参の侍女が采配を振るう。
「先ずは採寸致しましょう」
今日はマリーリアのも選ぶ事になっているのをあらかじめ知らされていたので、侍女達は手分けをしてフロリエと彼女を下着姿にすると、すぐに手際よく採寸していく。そして採寸が終り、2人の着替えが済んだところで運んできた生地の見本が広げられていく。
「まあ、素敵」
「こっちもいいなぁ」
侍女達は本来の目的を忘れてうっとりと広げられている生地を見ている。
「フロリエ様とマリーリア卿の衣装を選ぶのですよ。目的を忘れてはいけません」
仕切っている侍女が注意する。しかし、選ばねばならない当の2人はどうしていいか分からずにぼんやりと生地を眺めていた。
「フロリエ様もマリーリア卿も好きなお色はございますか?」
そんな様子の2人に侍女が声をかけ、仕立屋も今年の流行の意匠やデザインを色々と説明してくれる。特にフロリエは招待状を受け取ってからというもの、今までの彼女からは想像が出来ないくらい何をするにも身が入らない様子なのだ。
「赤に……してみようかな」
前日にアスターに勧められたのを思い出し、ポツリとマリーリアが言う。
「赤でございますか?」
急いで赤い生地が集められる。
「赤が好きですか?」
ジーンに訊かれてマリーリアは首を振る。
「昨日、勧められたのです。アスター卿に……」
「副団長がですか?」
エドワルドと違って女性に関して浮いた話一つ聞かない男である。ジーンは彼がそんな事を言ったのが、ちょっと意外な気がした。
一口に赤と言っても無地のものから細かい模様の入ったもの、グラデーションが入ったものと様々である。集めた赤い生地を一つ一つ彼女にあててどれが似合うか試してみる。
「まあ、本当に赤がお似合いでございます。御髪も生えますし、中途半端な色よりは真紅になさった方がよろしいかと」
侍女が手にした真紅の繻子織の生地は、一見無地に見えるが特殊な織り方をしているらしく、光の反射で模様が浮き出て見える。
「こういったレースを使っても映えます」
仕立屋は持ってきたレースを取り出すと、生地に添えてみる。
「素敵」
マリーリアよりも侍女達が盛り上がっている。
「マリーリア卿、こちらでお決めしてよろしいですか?」
訊かれて彼女は頷いた。
「デザインは良く分からないのでお任せいたします」
「かしこまりました」
仕立屋は覚書と一緒にその真紅の生地を他と混ざらないように分けておいた。
「さあ、フロリエ様、後はあなた様のでございますよ」
「……」
フロリエは心ここにあらずといった感じで目の前の生地を眺めている。
「フロリエ様?」
オリガが心配して声をかける。
「ごめんなさい。本当にどうして良いか……」
彼女は途方にくれている様子で、座り込んでいる。
「フロリエさんは淡い色の方がお似合いでは?」
その様子を眺めていたジーンが横から提案してくる。
「そうですわね」
侍女達は淡い色合いのこれはと思う生地を集めてきた。クリーム色や淡い若草色、水色、薄い紅色やすみれ色、フロリエの前にいくつも積み重ねられる。
「これはというのがございますか?」
フロリエは困ってしまって首を振る。すると侍女たちが目に付いたものを彼女の体に当ててみる。
「クリーム色もいいけど、この淡い紅色もすてきねぇ」
「でも、マリーリア卿が真紅になさったから似た印象にならないかしら?」
口々に感想を述べ合っていると、グロリアの寝室から彼女に付き添っていたバセットが出てくる。
「フロリエ嬢が決めかねていらっしゃる様なら、自分が決めると女大公様が仰せになっています」
「お母様が?」
「是非、女大公様のご意見も訊いてみましょう」
侍女たちが幾つかの生地を持ってフロリエと共にグロリアの寝室へ入っていく。いつもは薄暗くしてあるのだが、今日はカーテンを開けてある。グロリアは気分がいいらしく、寝台に体を起こして待っていた。
「騒がしくして申し訳ありません」
グロリアの側によると、フロリエは頭を下げる。
「衣装を選ぶというのは楽しいもの。妾も聞いていて心が躍るようじゃ。どれ、どの色で迷って居るのじゃ?」
侍女たちが淡い紅色の生地とクリーム色の生地を幾つか差し出す。彼女はそれらを手に取り、薄紅色のグラデーションがかかったものを選ぶ。薄く軽やかな生地で、ふんわりとした肌触りである。
「せっかくの晴れの日じゃ。少し華やかにしてみてはどうじゃ?」
「マリーリア卿のドレスは真紅にお決めになりましたが……」
そっとその場を仕切っていた侍女が口を挟む。
「着る者が異なれば印象は変わろう。またデザインも違ったものにするのであろう?」
「もちろんでございます」
グロリアの問いに部屋の入り口に控えていた仕立屋は頭を下げた。
「では、これに致そう。良いな?フロリエ」
「はい」
すっかり途方に暮れていたフロリエに反対する理由は無かった。仕立屋はグロリアが選んだ生地も覚書を添えて別にし、その場を片付け始める。侍女達もその手伝いをしているので、その間にフロリエはオルティスを呼んでお茶の支度を頼んだ。
「マリーリア・ジョアン・ディア・ワールウェイド嬢、私が主催する新年の舞踏会に是非、出席して下さい」
彼はそう言って笑顔で彼女にこの封筒を手渡したのだ。
「ですが、私は……」
「君は私の花嫁候補らしいからな。誘っておかないと後で姉上になんて言われるか……」
「私にはそのつもりはありません」
「君にその気が無いのは承知している。私にもない」
あっさりとエドワルドは答え、更に続ける。
「竜騎士礼装は禁止だ。是非着飾って出てほしい」
「……」
「実はフロリエにも招待状を渡してきた。衣装をあつらえる為に明日、仕立屋を叔母上の館へ派遣する。費用は私が持つから君も同行し、一緒にあつらえてくるといい」
言いたいことだけ言うと、エドワルドは彼女に戻るよう命じたのだった。
「先ほどからため息をついてどうした?」
見回りから戻ってきたアスターが彼女に話しかけてくる。やはりまだ外回りをしてくると体が冷えるらしく、彼は防寒具を外すと暖炉の前に手をかざす。
「アスター卿……」
マリーリアは立ち上がると彼の為に温かいお茶を淹れて差し出した。テーブルに置かれたままの招待状が彼の目に留まる。
「ああ、ありがとう。舞踏会の招待状、受け取ったのか?」
「はい。竜騎士礼装はだめだと言われて、どうしようかと思いまして……」
彼女はため息をつくと、エドワルドとのやり取りを話した。
「君の肩書を考慮して、他の団員と区別する為に殿下はそう言われたのだと思う。ま、個人的な興味もおありなのだとは思うのだが……」
温かいお茶を味わうようにして一口飲むと、アスターは移動してマリーリアの向かいに座った。マリーリアも自分用にお茶を淹れると元の席に座る。
「今まで自分で選んだ事が無いからどうしていいか……」
「フロリエ嬢の物と一緒に頼むのだろう? ジーンが同行するし、あちらの侍女方から色々聞いてみるといい」
ジーンは上流騎士の家庭に育っていて、そういった事も詳しいはずだった。それを言うならマリーリアも大貴族の生まれだが、彼女はずっと田舎で育った上に、そう言った物に頓着しなかった。なんだかんだ言って竜騎士礼装で済ませて来たのもある。
「……」
「貴女はきっと赤が似合う」
ちょうどルークに呼ばれた彼はそう言い残して席を立った。
「赤か……」
1人残ったマリーリアは招待状を眺めながらそうつぶやいた。
翌日、マリーリアとジーンは、エドワルド御用達の女性の仕立屋とたくさんの生地見本を飛竜に乗せてグロリアの館に向かった。左肩の怪我が完治したルークが既に謹慎を解かれているので、討伐の方は2人が抜けても問題は無かった。もう春がきたと錯覚させる穏やかな天気の下、2頭の飛竜は何事も無くグロリアの館へ着いた。
「お待ちいたしておりました」
オルティスが一行を出迎え、ティムと一緒に荷物を降ろすのも手伝う。2頭の飛竜はそのままティムに引かれて厩舎へ連れて行かれ、仕立屋と竜騎士は荷物を抱えてオルティスの後に続く。いつもの居間に行くと、フロリエとオリガを初めとした侍女達が待っていた。
「では、私はこれで失礼致します」
採寸が終わるまで、居間に男性は立ち入り禁止である。オルティスは荷物を置くと部屋から出て行った。そして早速、仕立屋と古参の侍女が采配を振るう。
「先ずは採寸致しましょう」
今日はマリーリアのも選ぶ事になっているのをあらかじめ知らされていたので、侍女達は手分けをしてフロリエと彼女を下着姿にすると、すぐに手際よく採寸していく。そして採寸が終り、2人の着替えが済んだところで運んできた生地の見本が広げられていく。
「まあ、素敵」
「こっちもいいなぁ」
侍女達は本来の目的を忘れてうっとりと広げられている生地を見ている。
「フロリエ様とマリーリア卿の衣装を選ぶのですよ。目的を忘れてはいけません」
仕切っている侍女が注意する。しかし、選ばねばならない当の2人はどうしていいか分からずにぼんやりと生地を眺めていた。
「フロリエ様もマリーリア卿も好きなお色はございますか?」
そんな様子の2人に侍女が声をかけ、仕立屋も今年の流行の意匠やデザインを色々と説明してくれる。特にフロリエは招待状を受け取ってからというもの、今までの彼女からは想像が出来ないくらい何をするにも身が入らない様子なのだ。
「赤に……してみようかな」
前日にアスターに勧められたのを思い出し、ポツリとマリーリアが言う。
「赤でございますか?」
急いで赤い生地が集められる。
「赤が好きですか?」
ジーンに訊かれてマリーリアは首を振る。
「昨日、勧められたのです。アスター卿に……」
「副団長がですか?」
エドワルドと違って女性に関して浮いた話一つ聞かない男である。ジーンは彼がそんな事を言ったのが、ちょっと意外な気がした。
一口に赤と言っても無地のものから細かい模様の入ったもの、グラデーションが入ったものと様々である。集めた赤い生地を一つ一つ彼女にあててどれが似合うか試してみる。
「まあ、本当に赤がお似合いでございます。御髪も生えますし、中途半端な色よりは真紅になさった方がよろしいかと」
侍女が手にした真紅の繻子織の生地は、一見無地に見えるが特殊な織り方をしているらしく、光の反射で模様が浮き出て見える。
「こういったレースを使っても映えます」
仕立屋は持ってきたレースを取り出すと、生地に添えてみる。
「素敵」
マリーリアよりも侍女達が盛り上がっている。
「マリーリア卿、こちらでお決めしてよろしいですか?」
訊かれて彼女は頷いた。
「デザインは良く分からないのでお任せいたします」
「かしこまりました」
仕立屋は覚書と一緒にその真紅の生地を他と混ざらないように分けておいた。
「さあ、フロリエ様、後はあなた様のでございますよ」
「……」
フロリエは心ここにあらずといった感じで目の前の生地を眺めている。
「フロリエ様?」
オリガが心配して声をかける。
「ごめんなさい。本当にどうして良いか……」
彼女は途方にくれている様子で、座り込んでいる。
「フロリエさんは淡い色の方がお似合いでは?」
その様子を眺めていたジーンが横から提案してくる。
「そうですわね」
侍女達は淡い色合いのこれはと思う生地を集めてきた。クリーム色や淡い若草色、水色、薄い紅色やすみれ色、フロリエの前にいくつも積み重ねられる。
「これはというのがございますか?」
フロリエは困ってしまって首を振る。すると侍女たちが目に付いたものを彼女の体に当ててみる。
「クリーム色もいいけど、この淡い紅色もすてきねぇ」
「でも、マリーリア卿が真紅になさったから似た印象にならないかしら?」
口々に感想を述べ合っていると、グロリアの寝室から彼女に付き添っていたバセットが出てくる。
「フロリエ嬢が決めかねていらっしゃる様なら、自分が決めると女大公様が仰せになっています」
「お母様が?」
「是非、女大公様のご意見も訊いてみましょう」
侍女たちが幾つかの生地を持ってフロリエと共にグロリアの寝室へ入っていく。いつもは薄暗くしてあるのだが、今日はカーテンを開けてある。グロリアは気分がいいらしく、寝台に体を起こして待っていた。
「騒がしくして申し訳ありません」
グロリアの側によると、フロリエは頭を下げる。
「衣装を選ぶというのは楽しいもの。妾も聞いていて心が躍るようじゃ。どれ、どの色で迷って居るのじゃ?」
侍女たちが淡い紅色の生地とクリーム色の生地を幾つか差し出す。彼女はそれらを手に取り、薄紅色のグラデーションがかかったものを選ぶ。薄く軽やかな生地で、ふんわりとした肌触りである。
「せっかくの晴れの日じゃ。少し華やかにしてみてはどうじゃ?」
「マリーリア卿のドレスは真紅にお決めになりましたが……」
そっとその場を仕切っていた侍女が口を挟む。
「着る者が異なれば印象は変わろう。またデザインも違ったものにするのであろう?」
「もちろんでございます」
グロリアの問いに部屋の入り口に控えていた仕立屋は頭を下げた。
「では、これに致そう。良いな?フロリエ」
「はい」
すっかり途方に暮れていたフロリエに反対する理由は無かった。仕立屋はグロリアが選んだ生地も覚書を添えて別にし、その場を片付け始める。侍女達もその手伝いをしているので、その間にフロリエはオルティスを呼んでお茶の支度を頼んだ。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
運び屋『兎』の配送履歴
花里 悠太
ファンタジー
安心、確実、お値段ちょっとお高め。運び屋『兎』に任せてみませんか?
兎を連れた少女が色々なものを配達するほのぼの物語です。
他にも出てくる相棒の召喚獣たちと共に配達してまわります。
兎をもふりたい。
カバで爆走したい。
梟とおしゃべりしたい。
亀と日向ぼっこしたい。
そんな方は是非ご一読を。
転生もチートもロマンスもないお仕事ファンタジーです。
ーーーーーーーーーーー
とある街の商業ギルド。
その一室にユウヒという名の少女が住んでいる。
彼女は召喚士であり、運び屋だ。
彼女がこなす運びは、普通の運び屋とはちょっと違う。
時には、魔物の中に取り残された人を運びにいき。
時には、誰にも見つからないようにこっそりと手紙を届けにいく。
様々な能力を持つ召喚獣を相棒として、通常の運び屋では受けられないような特殊な配送を仕事として請け負っているのだ。
彼女がいつも身につけている前かけ鞄には、プスプスと鼻息をたてる兎が一匹。
運び屋の仕事を受けるときも、仕事で何かを運んでいる時も。
いつでも兎と一緒に仕事をする様から、彼女はこう呼ばれていた。
運び屋『兎』
彼女に仕事を頼みたい時は、商業ギルドの受付で
「『兎』に荷物を届けてほしい」
と声をかければ兎と一緒に彼女が仕事を受けてくれる。
召喚した相棒と共に、運べるものなら、手紙でも、荷物でも、何でも。
仕事は確実にこなすが少し手荒め、お値段はかなりお高め。
ある時はカバで街道から山の中へと爆走。
ある時は梟と夜に紛れて貴族の屋敷に潜入。
ある時は亀にまたがり深海へと潜航。
仕事の依頼を通して色々なものを配送するユウヒ。
様々な出会いや、出来事に遭遇して成長していく異世界ファンタジー。
カバに轢かれたくなければ道を開けてください。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる