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第1章 群青の騎士団と謎の佳人
68 嵐の日に1
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あの忌まわしい誘拐事件から10日経っていた。その間エドワルドは、事件の事後処理や冬へ向けての妖魔対策、フォルビア再建の手助けといった仕事の合間に、グロリアの館へコリンシアやフロリエの見舞い(オリガの見舞いはルークに任せている)に訪れるといった忙しい毎日を過ごしていた。
誘拐事件に関してはロベリアとフォルビア合同で調査が進められ、主犯のリリーには終身刑が、彼女に手を貸した盗賊達には懸賞金がかけられるほどの余罪が判明したために全員極刑が言い渡された。
リリーに関しては刑が甘いという意見も出たが、彼女の両親が連帯責任を負う形で代々所有してきた土地を全て国に返納すると申し出たために減刑が決まった。しかし、当の本人はまだ己の主張を曲げておらず、彼女が自身の罪を理解するにはまだ時間がかかりそうだ。
調べでは祖父が娼妓に入れ込んで家庭を蔑ろにしたらしく、リリーを溺愛した祖母の影響で娼妓に対して頑なまでの偏見が根付いているらしい。今回の犯行に至ったきっかけもフロリエの事を娼妓と思い込んでの事らしいのだが、それでも納得できるものではない。
遊び歩いていた時代より幾人かの娼妓とも交流のあるエドワルドだが、彼女達が客を楽しませるために、常に己の芸を磨き、知識を深める努力をしていることを知っている。リリーの様に家の権力というものに縋ってそれが当然の様に生きている者達よりも、自立している彼女達の方が彼には輝いて見える。
不満は残るものの、あまりこの問題ばかりに時間を取られるのも良くない。エドワルドはグロリアと共にこの事件の裁定者の1人として、それらの書類に了承の証となる署名をし、この誘拐事件を決着させた。
仕事が一段落したエドワルドはこの日、久しぶりに梔子館を訪れていた。夏に結婚の話をしてからも幾度か訪れていたが、その後は2人の間でその話題を避けるように当たり障りのない話ばかりをしていた。
「しかし、彼女には本当に参った」
食事を終え、ワインを傾けながらエドワルドは愚痴をこぼす。
「その方は現在、如何なさっているのですか?」
「護衛は自分の仕事ではないと言い放って、アスターと口論の末、今は謹慎の身だ」
マリーリアの事である。初めてグロリアの館での護衛を任された翌日、帰ってくるなり彼女はアスターに護衛は時間の無駄だと言い放ったのだ。ジーンを伴いエドワルドが館に来るまでほぼ丸1日、グロリアやフロリエからのお茶のお誘いに、コリンシアの読書の相手、嫌とは言えずに渋々付き合ったらしい。そんな事に時間をかけるよりも鍛錬に費やしたいと、相変わらずの無表情で淡々と事務的にアスターに願い出たのだ。
「それも仕事だと言い含めても頑として聞く耳を持たない。頭が痛い問題だ」
誘拐事件の後始末が一段落した今、エドワルドを悩ます一番の問題は妖魔対策でもなくフォルビアの再建でもなく、個性的すぎる新人達の教育だった。
武術に優れ、既に上級竜騎士であるトーマスは別にして、頑ななマリーリアは上司に刃向い謹慎。ルークに心酔するハンスは地理を覚えるまでは普通に飛べばいいものを何かとルークの真似をしたがり、毎日のように迷子になって帰還が遅くなっていた。今はリーガスに預けられ、彼の下働きをしながら武術の鍛錬をしている。冬になれば彼の指揮下で西の砦を守ることになりそうだ。
「そこまでしてその方はどうして強くなりたいのでしょう?」
「それが分からない。何か理由はあると思い、叔母上にそれとなく聞き出して頂こうと思った矢先に護衛の拒否だ。ジーンに探らせても取り付く島もないそうだ」
エドワルドは大きくため息をつくと杯の中身を全て飲み干す。
「殿下はご自身で何かお話されたのでございますか?」
「忙しかったのもあるが、その機会を設けようとすると逃げられる。どうも避けられているようだ」
「まあ……」
心底弱った様子のエドワルドにエルデネートはそっと寄り添う。彼は彼女の肩を抱いて引き寄せた。
「昔はあんな無表情な子ではなかった。多少、気の強い所はあったが、年相応に喜怒哀楽のはっきりした子だったよ」
「気にかけておいででしたのね?」
「妬いているのか?」
「うふふ」
「あの髪だからな。妹のように思っていた。血が繋がっているはずのゲオルグよりも親近感が湧く」
エルデネートが再び杯を満たし、エドワルドは礼をいってからそれを飲み干した。
「悩んでいるのなら、相談ぐらいしてくれてもいいのだがなぁ。私はそんなに頼りない上司だろうか?」
「女大公様ですら頼りになさる貴方様が、頼りないと言われたら、他に適任者はございません」
クスクスと笑いながらエルデネートはおかわりのワインを杯に注ぐ。
「女大公様の元へ行かれようとしないのでしたら、私がお茶にご招待しましょうか?」
「君が?」
「ええ。ジーン卿にも話をなさらないのでしたら、竜騎士ではない私の方が話をしやすいかもしれません。それに……女大公様のお館に比べればここは人が少ないですから、他人に聞かれたくない話もしやすいと思います」
「そうだな」
エルデネートの言葉にエドワルドは納得する。
「分かった。君に任せるよ」
エドワルドは少し悩んだが、エルデネートの提案も一理あると納得し、マリーリアの件は彼女に任せる事に決めた。
杯に満たされたワインを飲み切り、エドワルドは席を立つ。いつもならば寝室に移動し、秋の夜長を楽しむのだが、如何せん仕事がまだ山のように残っていた。食事と息抜きに訪れたので、もう戻らねばならなかった。
「外は大層激しく雨が降っております、殿下」
帰る旨をこの屋敷の家令に伝えたところ、ひどく困惑した様子でエドワルドを引き止める。確かに窓の外からは打ち付けるような雨音が聞こえ、遠くには雷鳴も轟いている。
「確かにひどいな」
ここに来た時はまだ小降りだったが、まさかここまで激しい雷雨になるとは思いもよらなかった。
「すぐに部屋を整えます。今夜はお泊りになってくださいませ」
「…分かった。そうしよう」
残った仕事も気にかかるが、ここで無理して危険に身をさらす必要もない。幸い、アスターにはここへ来る事を伝えてある。例え留守中に何かあっても、有能な副官がうまく対処してくれるだろう。とりあえずエドワルドは、ここ数日間の不足気味の睡眠を補う為に、用意された部屋着に袖を通すと、寝台に体を横たえた。
「殿下、起きて下さいませ」
真夜中過ぎた頃、エルデネートに揺り起こされてエドワルドは目を覚ました。
「どうした?」
「アスター卿がお見えになっています」
「アスターが?」
彼がここへ直接訪ねてくるとは、余程の事が起きたのだろう。エドワルドは寝台から飛び起きると、手早く身支度を整えて部屋を出ていく。
「何があった?」
玄関ホールにアスターが待っていた。雷は止んだようだがまだ雨は降っているらしく、アスターが身に纏う雨具からは水が滴っている。
「グロリア様より連絡がありまして、コリン様が高熱を出して倒れられたそうです」
報告するアスターの顔色は心なしか青ざめている。子供の事ゆえに今までにも熱を出したことはあったが、この荒天の最中にわざわざ知らせてきたと言う事は、ただの風邪の類ではないのだろう。
「コリンが? 分かった、すぐ行こう」
エルデネートがすぐに雨具を差し出し、エドワルドは礼を言って受け取るとそれを羽織る。そしてまだ降り続く雨の中、馬を走らせて総督府へ戻った。
着場には既にグランシアードの装具は整えられていた。エドワルドは濡れてしまった雨具を代え、すぐに飛竜に跨る。するとルークが装具を整えたエアリアルを連れて竜舎から現れた。
「お供します」
そう申し出ると、彼も身軽にエアリアルの背に跨る。どうやら寝ているところを起こされて同行を命じられたらしい。嫌そうな顔一つしないのは、彼の性格に起因するだけでなく、コリンシアが心配なのと、行き先がグロリアの館だからだろう。
2頭の飛竜は雨の中、一路グロリアの館を目指して飛び立った。
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遊び歩いていた時代より幾人かの娼妓とも交流のあるエドワルドだが、彼女達が客を楽しませるために、常に己の芸を磨き、知識を深める努力をしていることを知っている。リリーの様に家の権力というものに縋ってそれが当然の様に生きている者達よりも、自立している彼女達の方が彼には輝いて見える。
不満は残るものの、あまりこの問題ばかりに時間を取られるのも良くない。エドワルドはグロリアと共にこの事件の裁定者の1人として、それらの書類に了承の証となる署名をし、この誘拐事件を決着させた。
仕事が一段落したエドワルドはこの日、久しぶりに梔子館を訪れていた。夏に結婚の話をしてからも幾度か訪れていたが、その後は2人の間でその話題を避けるように当たり障りのない話ばかりをしていた。
「しかし、彼女には本当に参った」
食事を終え、ワインを傾けながらエドワルドは愚痴をこぼす。
「その方は現在、如何なさっているのですか?」
「護衛は自分の仕事ではないと言い放って、アスターと口論の末、今は謹慎の身だ」
マリーリアの事である。初めてグロリアの館での護衛を任された翌日、帰ってくるなり彼女はアスターに護衛は時間の無駄だと言い放ったのだ。ジーンを伴いエドワルドが館に来るまでほぼ丸1日、グロリアやフロリエからのお茶のお誘いに、コリンシアの読書の相手、嫌とは言えずに渋々付き合ったらしい。そんな事に時間をかけるよりも鍛錬に費やしたいと、相変わらずの無表情で淡々と事務的にアスターに願い出たのだ。
「それも仕事だと言い含めても頑として聞く耳を持たない。頭が痛い問題だ」
誘拐事件の後始末が一段落した今、エドワルドを悩ます一番の問題は妖魔対策でもなくフォルビアの再建でもなく、個性的すぎる新人達の教育だった。
武術に優れ、既に上級竜騎士であるトーマスは別にして、頑ななマリーリアは上司に刃向い謹慎。ルークに心酔するハンスは地理を覚えるまでは普通に飛べばいいものを何かとルークの真似をしたがり、毎日のように迷子になって帰還が遅くなっていた。今はリーガスに預けられ、彼の下働きをしながら武術の鍛錬をしている。冬になれば彼の指揮下で西の砦を守ることになりそうだ。
「そこまでしてその方はどうして強くなりたいのでしょう?」
「それが分からない。何か理由はあると思い、叔母上にそれとなく聞き出して頂こうと思った矢先に護衛の拒否だ。ジーンに探らせても取り付く島もないそうだ」
エドワルドは大きくため息をつくと杯の中身を全て飲み干す。
「殿下はご自身で何かお話されたのでございますか?」
「忙しかったのもあるが、その機会を設けようとすると逃げられる。どうも避けられているようだ」
「まあ……」
心底弱った様子のエドワルドにエルデネートはそっと寄り添う。彼は彼女の肩を抱いて引き寄せた。
「昔はあんな無表情な子ではなかった。多少、気の強い所はあったが、年相応に喜怒哀楽のはっきりした子だったよ」
「気にかけておいででしたのね?」
「妬いているのか?」
「うふふ」
「あの髪だからな。妹のように思っていた。血が繋がっているはずのゲオルグよりも親近感が湧く」
エルデネートが再び杯を満たし、エドワルドは礼をいってからそれを飲み干した。
「悩んでいるのなら、相談ぐらいしてくれてもいいのだがなぁ。私はそんなに頼りない上司だろうか?」
「女大公様ですら頼りになさる貴方様が、頼りないと言われたら、他に適任者はございません」
クスクスと笑いながらエルデネートはおかわりのワインを杯に注ぐ。
「女大公様の元へ行かれようとしないのでしたら、私がお茶にご招待しましょうか?」
「君が?」
「ええ。ジーン卿にも話をなさらないのでしたら、竜騎士ではない私の方が話をしやすいかもしれません。それに……女大公様のお館に比べればここは人が少ないですから、他人に聞かれたくない話もしやすいと思います」
「そうだな」
エルデネートの言葉にエドワルドは納得する。
「分かった。君に任せるよ」
エドワルドは少し悩んだが、エルデネートの提案も一理あると納得し、マリーリアの件は彼女に任せる事に決めた。
杯に満たされたワインを飲み切り、エドワルドは席を立つ。いつもならば寝室に移動し、秋の夜長を楽しむのだが、如何せん仕事がまだ山のように残っていた。食事と息抜きに訪れたので、もう戻らねばならなかった。
「外は大層激しく雨が降っております、殿下」
帰る旨をこの屋敷の家令に伝えたところ、ひどく困惑した様子でエドワルドを引き止める。確かに窓の外からは打ち付けるような雨音が聞こえ、遠くには雷鳴も轟いている。
「確かにひどいな」
ここに来た時はまだ小降りだったが、まさかここまで激しい雷雨になるとは思いもよらなかった。
「すぐに部屋を整えます。今夜はお泊りになってくださいませ」
「…分かった。そうしよう」
残った仕事も気にかかるが、ここで無理して危険に身をさらす必要もない。幸い、アスターにはここへ来る事を伝えてある。例え留守中に何かあっても、有能な副官がうまく対処してくれるだろう。とりあえずエドワルドは、ここ数日間の不足気味の睡眠を補う為に、用意された部屋着に袖を通すと、寝台に体を横たえた。
「殿下、起きて下さいませ」
真夜中過ぎた頃、エルデネートに揺り起こされてエドワルドは目を覚ました。
「どうした?」
「アスター卿がお見えになっています」
「アスターが?」
彼がここへ直接訪ねてくるとは、余程の事が起きたのだろう。エドワルドは寝台から飛び起きると、手早く身支度を整えて部屋を出ていく。
「何があった?」
玄関ホールにアスターが待っていた。雷は止んだようだがまだ雨は降っているらしく、アスターが身に纏う雨具からは水が滴っている。
「グロリア様より連絡がありまして、コリン様が高熱を出して倒れられたそうです」
報告するアスターの顔色は心なしか青ざめている。子供の事ゆえに今までにも熱を出したことはあったが、この荒天の最中にわざわざ知らせてきたと言う事は、ただの風邪の類ではないのだろう。
「コリンが? 分かった、すぐ行こう」
エルデネートがすぐに雨具を差し出し、エドワルドは礼を言って受け取るとそれを羽織る。そしてまだ降り続く雨の中、馬を走らせて総督府へ戻った。
着場には既にグランシアードの装具は整えられていた。エドワルドは濡れてしまった雨具を代え、すぐに飛竜に跨る。するとルークが装具を整えたエアリアルを連れて竜舎から現れた。
「お供します」
そう申し出ると、彼も身軽にエアリアルの背に跨る。どうやら寝ているところを起こされて同行を命じられたらしい。嫌そうな顔一つしないのは、彼の性格に起因するだけでなく、コリンシアが心配なのと、行き先がグロリアの館だからだろう。
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