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第1章 群青の騎士団と謎の佳人
34 後味の悪い1日3
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「ゲオルグの申し出、受けてもよろしいですか?」
エドワルドは不快そうに顔をしかめると、父親の傍に跪く。
「本気か?」
「条件は付けます」
彼の決断にハルベルトは驚き、場内はいつの間にか静まり返って彼らの動向に注目が集まる。
「よかろう。好きなようになさい」
国主の決定に場内は再びざわめく。
「ありがとうございます」
エドワルドはアロンに頭を下げると、立ち上がって再び階段を下りる。そして審判役として控えていた忠実な副官を呼び寄せる。
「アスター、お前が相手をしてくれ」
「かしこまりました」
突然押し付けられたにもかかわらず、アスターは何でもない事のように頭を下げて了承し、腕に付けていた審判の腕章を外した。
「な……」
納得のいかないゲオルグは声を荒げるが、エドワルドはそれを制して平然とアスターに指示を出す。
「手加減は無用だ。とことん体に覚えこませろ」
「はっ」
アスターは上着を脱いで傍らのヒースに預け、試合用の長剣ではなく訓練用の長い木の棒を手にする。ゲオルグ達が装備しているのは紛れもなく刃の付いた本物の長剣。しかも取り巻きの1人は矛を手にしている。これだけをとってもかなりのハンデがあるのは間違いない。
「私の副官に勝ったら相手をしてやろう」
不満そうなゲオルグにエドワルドは冷たい視線を送る。これが譲歩の限界だった。彼らは渋々それに従い、広場の中央で待つアスターに対峙した。
「では、始めましょう」
アスターは作法通りに頭を下げるが、その隙にゲオルグの後ろにいた2人が同時に切りかかる。場内からは野次が飛び、止めさせようとしたハルベルトを貴賓席に戻ってきたエドワルドが止める。
「心配いりません」
エドワルドの言葉に腰を浮かしかけた彼は、仕方なく腰を下ろした。
「竜騎士の心得。一つ、常に公正であれ」
アスターはそう口ずさみながら巧みなステップでその攻撃をかわす。まずは攻撃が単調な若者の長剣を棒で叩き落とし、胴を払う。そして倒れたところで腹にもう一撃加えて昏倒させる。
「一つ、鍛錬を怠る事無かれ」
体の大きな若者は矛を抱えていた。その長さを利用してむやみに振り回してくるが、アスターはそのことごとくを躱していく。その動きは華麗で、場内からはいつの間にかため息がもれる。
動き回り、相手が疲れてきたところで鋭い一撃を繰り出して矛を叩き落とし、がら空きになった胴に数回突きを入れる。最後に胴を薙ぎ払うと、若者はそのまま吹っ飛び気絶する。しかし、アスターが手にしていた木の棒も2つに折れてしまった。
「さて殿下、お相手願いましょうか」
アスターは折れた棒の先を拾い、ゲオルグに歩み寄る。驚いたことにこの暑さの中、これだけ動いて息1つ乱れていない。
「武器は替えないのか?」
「これで十分」
アスターはすまして答えると、短くなった2本の棒を双剣のように左右の手で握る。
「あいつが一番得意な得物なのに……」
エドワルドのつぶやきは誰にも聞こえていない。固唾をのんで見守る中、不意に貴賓席の端で騒ぎが起こる。
「痛い、痛い!」
不審者に気付いたマリーリアとルークが2人がかりで若い男を取り押さえていた。警護の兵士が慌てた様子で集まってくる。
良く見ると、取り押さえられた不審者は骨折して加療中と言われていたミムラス家の子息だった。左手には痛々しい包帯がまかれているが、残る右手には長い筒状の棒が握られている。どうやらそれは吹き矢のようだ。矢に痺れ薬でも塗りこんでおけば、相手の動きが鈍って容易に勝利できると考えたのだろう。彼らの自信はこれだったのかと思い、稚拙な考えに眩暈を覚える。
その騒ぎに一瞬、アスターの気が逸れる。その隙に乗じてゲオルグが斬りかかり、場内からは再び野次が飛ぶ。
「いけませんねぇ」
予期していたアスターはこれもひらりとかわす。続けて次々と繰り出される攻撃は鋭く、確かにゲオルグは他の2人よりも強い。しかし、両手に棒を握りしめたまま、そのことごとくを躱す様はまるで華麗な剣の舞を見ているようだ。場内からはため息が漏れる。
「よけてばかりじゃねぇか」
ゲオルグが挑発すると、アスターはニヤリと笑う。
「では、お言葉に甘えて」
一瞬の出来事で、ゲオルグには何が起こったか分からなかったに違いない。長剣を持つ利き手を打たれたと思った直後に、肩、胸、腹と続けて数回打たれて地面に倒れこんでいた。
「策略をめぐらしてまで勝ちたいと思う気持ちは天晴ですが、喧嘩を吹っ掛けるならもう少し相手の力量を見極めて挑んでください。殿下は私よりもお強いですよ」
そう言い残してアスターは立ち去ろうとするが、ゲオルグは根性で立ち上がる。長剣を握りなおして後ろから斬りかかるが、スッと喉元に棒が突き付けられて身動きができなくなる。
「その根性は見上げたものですが、その力をもっと別な方向に向ける事をお勧めします」
冷ややかな笑みを浮かべると、あっさりと棒で長剣を叩き落とし、今度は容赦なく腹に一撃を加え、更に首筋にも叩き込む。さすがのゲオルグも根性だけではどうにもできず、そのままその場で白目をむいて倒れた。
「それまで」
ハルベルトの声が響くと、場内からは割れんばかりの拍手が起こる。速やかにゲオルグをはじめ、気絶した3人の若者は広場から運び出された。アスターは片手を上げて歓声に応えると、淡々と国主の前に跪いた。
「この者を捕えよ」
突然、グスタフが言い出す。その場にいた全員が「は?」と思ったに違いない。
「ゲオルグ殿下に怪我を負わせた不届き物を捕えよ」
正直、皆、あきれ果てて言葉が出ない。眩暈を覚えつつハルベルトが口を開く。
「ワールウェイド公、ゲオルグには一切関わるなと命じたはずだ。アスター卿はただ、謹慎中の身でありながら無理に試合を申し込んできたゲオルグに勝ったに過ぎない。試合に怪我は付き物、彼には何の罪もない」
「しかし……」
その先をハルベルトは言わさなかった。
「3人でかかったのはハンデのうちとして認めるものの、不意打ちや吹き矢による卑怯な謀略まで仕掛けて無様に負けたのだ。ゲオルグ他3人には私が許すまで北の塔に幽閉。文のやり取りはもちろん、外界との接触を禁ずる」
「そんな……」
北の塔は身分の高い罪人を幽閉する牢である。ハルベルトの怒りにさすがのグスタフも黙り込む。
「アスター卿、よくやってくれた、礼を言う。さらには手間をかけさせてすまなかった」
「当然のことでございます」
アスターは淡々と頭を下げる。
「マリーリア卿、雷光の騎士殿、よく気付いて動いてくれた。未然に防いでくれたことに感謝する」
護衛として控えていた2人にもハルベルトは陳謝する。2人が取り押さえた若者は既に連行されていた。他の3人同様、彼も北の塔行きが確定した。だが、その前に誰の手引きで貴賓席まで入り込んだのかを聞き出さなければならない。
「恐れ入ります」
「3人とも今夜の舞踏会には出席してくれ。改めて礼がしたい」
「はい」
ハルベルトの申し出に、特にルークは返事をためらったもののここは素直に従うことにしたようだ。
「礼を申す」
国主も直々に声をかける。その様子を憎々しげに眺めていたグスタフは、足音も荒々しく会場を後にする。あわててその後を家族達が追いかけて退出していく。マリーリアは躊躇したものの、ハルベルトやエドワルドが目線だけで引き止めた。
気付けば日は傾き、一年で最も長い一日が終わろうとしている。ハルベルトは皇家を代表し、集まった観衆に改めてゲオルグの所業を詫び、彼を諌めたアスターを労った。そして改めて武術試合で優勝したエルフレートを称え、後味の悪い武術試合を締めくくった。
エドワルドは不快そうに顔をしかめると、父親の傍に跪く。
「本気か?」
「条件は付けます」
彼の決断にハルベルトは驚き、場内はいつの間にか静まり返って彼らの動向に注目が集まる。
「よかろう。好きなようになさい」
国主の決定に場内は再びざわめく。
「ありがとうございます」
エドワルドはアロンに頭を下げると、立ち上がって再び階段を下りる。そして審判役として控えていた忠実な副官を呼び寄せる。
「アスター、お前が相手をしてくれ」
「かしこまりました」
突然押し付けられたにもかかわらず、アスターは何でもない事のように頭を下げて了承し、腕に付けていた審判の腕章を外した。
「な……」
納得のいかないゲオルグは声を荒げるが、エドワルドはそれを制して平然とアスターに指示を出す。
「手加減は無用だ。とことん体に覚えこませろ」
「はっ」
アスターは上着を脱いで傍らのヒースに預け、試合用の長剣ではなく訓練用の長い木の棒を手にする。ゲオルグ達が装備しているのは紛れもなく刃の付いた本物の長剣。しかも取り巻きの1人は矛を手にしている。これだけをとってもかなりのハンデがあるのは間違いない。
「私の副官に勝ったら相手をしてやろう」
不満そうなゲオルグにエドワルドは冷たい視線を送る。これが譲歩の限界だった。彼らは渋々それに従い、広場の中央で待つアスターに対峙した。
「では、始めましょう」
アスターは作法通りに頭を下げるが、その隙にゲオルグの後ろにいた2人が同時に切りかかる。場内からは野次が飛び、止めさせようとしたハルベルトを貴賓席に戻ってきたエドワルドが止める。
「心配いりません」
エドワルドの言葉に腰を浮かしかけた彼は、仕方なく腰を下ろした。
「竜騎士の心得。一つ、常に公正であれ」
アスターはそう口ずさみながら巧みなステップでその攻撃をかわす。まずは攻撃が単調な若者の長剣を棒で叩き落とし、胴を払う。そして倒れたところで腹にもう一撃加えて昏倒させる。
「一つ、鍛錬を怠る事無かれ」
体の大きな若者は矛を抱えていた。その長さを利用してむやみに振り回してくるが、アスターはそのことごとくを躱していく。その動きは華麗で、場内からはいつの間にかため息がもれる。
動き回り、相手が疲れてきたところで鋭い一撃を繰り出して矛を叩き落とし、がら空きになった胴に数回突きを入れる。最後に胴を薙ぎ払うと、若者はそのまま吹っ飛び気絶する。しかし、アスターが手にしていた木の棒も2つに折れてしまった。
「さて殿下、お相手願いましょうか」
アスターは折れた棒の先を拾い、ゲオルグに歩み寄る。驚いたことにこの暑さの中、これだけ動いて息1つ乱れていない。
「武器は替えないのか?」
「これで十分」
アスターはすまして答えると、短くなった2本の棒を双剣のように左右の手で握る。
「あいつが一番得意な得物なのに……」
エドワルドのつぶやきは誰にも聞こえていない。固唾をのんで見守る中、不意に貴賓席の端で騒ぎが起こる。
「痛い、痛い!」
不審者に気付いたマリーリアとルークが2人がかりで若い男を取り押さえていた。警護の兵士が慌てた様子で集まってくる。
良く見ると、取り押さえられた不審者は骨折して加療中と言われていたミムラス家の子息だった。左手には痛々しい包帯がまかれているが、残る右手には長い筒状の棒が握られている。どうやらそれは吹き矢のようだ。矢に痺れ薬でも塗りこんでおけば、相手の動きが鈍って容易に勝利できると考えたのだろう。彼らの自信はこれだったのかと思い、稚拙な考えに眩暈を覚える。
その騒ぎに一瞬、アスターの気が逸れる。その隙に乗じてゲオルグが斬りかかり、場内からは再び野次が飛ぶ。
「いけませんねぇ」
予期していたアスターはこれもひらりとかわす。続けて次々と繰り出される攻撃は鋭く、確かにゲオルグは他の2人よりも強い。しかし、両手に棒を握りしめたまま、そのことごとくを躱す様はまるで華麗な剣の舞を見ているようだ。場内からはため息が漏れる。
「よけてばかりじゃねぇか」
ゲオルグが挑発すると、アスターはニヤリと笑う。
「では、お言葉に甘えて」
一瞬の出来事で、ゲオルグには何が起こったか分からなかったに違いない。長剣を持つ利き手を打たれたと思った直後に、肩、胸、腹と続けて数回打たれて地面に倒れこんでいた。
「策略をめぐらしてまで勝ちたいと思う気持ちは天晴ですが、喧嘩を吹っ掛けるならもう少し相手の力量を見極めて挑んでください。殿下は私よりもお強いですよ」
そう言い残してアスターは立ち去ろうとするが、ゲオルグは根性で立ち上がる。長剣を握りなおして後ろから斬りかかるが、スッと喉元に棒が突き付けられて身動きができなくなる。
「その根性は見上げたものですが、その力をもっと別な方向に向ける事をお勧めします」
冷ややかな笑みを浮かべると、あっさりと棒で長剣を叩き落とし、今度は容赦なく腹に一撃を加え、更に首筋にも叩き込む。さすがのゲオルグも根性だけではどうにもできず、そのままその場で白目をむいて倒れた。
「それまで」
ハルベルトの声が響くと、場内からは割れんばかりの拍手が起こる。速やかにゲオルグをはじめ、気絶した3人の若者は広場から運び出された。アスターは片手を上げて歓声に応えると、淡々と国主の前に跪いた。
「この者を捕えよ」
突然、グスタフが言い出す。その場にいた全員が「は?」と思ったに違いない。
「ゲオルグ殿下に怪我を負わせた不届き物を捕えよ」
正直、皆、あきれ果てて言葉が出ない。眩暈を覚えつつハルベルトが口を開く。
「ワールウェイド公、ゲオルグには一切関わるなと命じたはずだ。アスター卿はただ、謹慎中の身でありながら無理に試合を申し込んできたゲオルグに勝ったに過ぎない。試合に怪我は付き物、彼には何の罪もない」
「しかし……」
その先をハルベルトは言わさなかった。
「3人でかかったのはハンデのうちとして認めるものの、不意打ちや吹き矢による卑怯な謀略まで仕掛けて無様に負けたのだ。ゲオルグ他3人には私が許すまで北の塔に幽閉。文のやり取りはもちろん、外界との接触を禁ずる」
「そんな……」
北の塔は身分の高い罪人を幽閉する牢である。ハルベルトの怒りにさすがのグスタフも黙り込む。
「アスター卿、よくやってくれた、礼を言う。さらには手間をかけさせてすまなかった」
「当然のことでございます」
アスターは淡々と頭を下げる。
「マリーリア卿、雷光の騎士殿、よく気付いて動いてくれた。未然に防いでくれたことに感謝する」
護衛として控えていた2人にもハルベルトは陳謝する。2人が取り押さえた若者は既に連行されていた。他の3人同様、彼も北の塔行きが確定した。だが、その前に誰の手引きで貴賓席まで入り込んだのかを聞き出さなければならない。
「恐れ入ります」
「3人とも今夜の舞踏会には出席してくれ。改めて礼がしたい」
「はい」
ハルベルトの申し出に、特にルークは返事をためらったもののここは素直に従うことにしたようだ。
「礼を申す」
国主も直々に声をかける。その様子を憎々しげに眺めていたグスタフは、足音も荒々しく会場を後にする。あわててその後を家族達が追いかけて退出していく。マリーリアは躊躇したものの、ハルベルトやエドワルドが目線だけで引き止めた。
気付けば日は傾き、一年で最も長い一日が終わろうとしている。ハルベルトは皇家を代表し、集まった観衆に改めてゲオルグの所業を詫び、彼を諌めたアスターを労った。そして改めて武術試合で優勝したエルフレートを称え、後味の悪い武術試合を締めくくった。
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