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第3章 ダナシアの祝福
60 永遠に3
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荘厳な音楽が流れる中、エドワルドはゆっくりと大広間の中央を歩いている。今までよりも豪華な装飾が施された礼装に美しい文様の毛皮をあしらった長衣をまとい、凝った装飾の金の冠がプラチナブロンドに映えている。
いずれもこの日の為に1年も前から当人の知らないところで準備が進められていたものだった。本日の即位式の主役、エドワルドが上座へと歩を進める姿を、その準備にかかわったセシーリアとアルメリア、そしてサントリナ公夫妻とブランドル公夫妻は感無量といった様子で見守っている。
もちろん彼等だけではない。共に生死をかけて戦ってきたアスターやヒースといった竜騎士達にグラナトら文官達も目を潤ませている者もいる。彼らの一年越しの念願がたった今、叶おうとしているのだ。
エドワルドはゆっくりと、上座の前で待つ見届け役のペドロとエドワルドを国主と定めた5大公家の当主全員の前に進み出る。
「エドワルド・クラウス・ディ・タランテイルをタランテラ皇国国主として認める」
選定会議同様、5大公家の代表としてサントリナ公が宣言してエドワルドに国主を示す記章を付け、それを見届けたペドロがエドワルドを祝福する。
「エドワルド陛下の御代にダナシアの数多の恵みがあらんことを願う」
祝福が終わると、一同に促されてエドワルドは一段高くなっている玉座の前に立って広間を見渡す。その堂々とした佇まいに誰もが思わず見惚れていた。
「内乱は終結したが、国は未だ復興の最中にある。まずは国力の回復に努め、ただ、豊かなだけではなく、国民の誰もが己に誇りを持って生きていける国づくりを目指す」
エドワルドの宣言に大きな歓声が上がる。エドワルドは片手でそれを制すると、5大公家の当主に並んで立っている妻を呼ぶ。
「フォルビア公、フレア・ローザ。皇妃として共に歩んでくれるか?」
「はい。陛下の理念を陰ながらお支えしたいと思います」
つつましくフレアが答えると、エドワルドはそっと手を差し出す。フレアがその手を取ると、玉座の隣、皇妃の席に誘い、2人揃って着席する。そんな2人に家臣一同が揃って頭を下げる。これで一連の儀式が終了し、正式にエドワルドがタランテラ皇国の国主となった。
本宮前広場に面した露台の大扉が開かれる。朝方まで雨が降り、今日はあいにくの空模様で普段と比べていくばくか肌寒いのだが、広場には新たな国主の姿を一目見ようと多くの民衆が集まっていた。
まずは安全確認の為にワールウェイド公夫妻が出て行き、続けてユリウスがアルメリアとセシーリアを警護するように続く。そして最後にエルヴィンを抱いたフレアとコリンシアを伴いエドワルドが姿を現した。フレアもエルヴィンもこうして民衆の前に姿を現すのは初めての事で、彼らの期待も最高潮となる。
民衆に応えるように手を振れば、その歓声はさらに大きくなった。すると驚いたエルヴィンが泣き出してしまい、フレアはコリンシアと一緒にそれをあやして宥め、その様子をエドワルドが見守る。
しかし、エルヴィンはなかなか泣き止まず、フレアは仕方なく控えていたフロックス婦人に息子を預けた。まだ泣いている息子の額に口づけてから夫人を下がらせ、一緒に見送ったコリンシアと笑顔で見合わせてから再び手を振る。その母親らしい姿に一同はすぐに魅了されていた。
すると、雲の切れ間から光がさして露台を照らす。プラチナブロンドがそれを反射してキラキラと輝き、まるで一家が祝福を受けているように見える。
「ダナシア様の祝福だ」
「ダナシア様が陛下を祝福してくださっている」
民衆がどよめき、やがてそれは警護の兵士も混ざって喝采に代わっていく。それはなかなか収まらず、一家が本宮に戻ってしまってもしばらく止むことはなかった。そしてこの日の出来事は民衆によって後々にまで語り継がれ、一家は幸せの象徴として尊敬を集めることになる。
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12時に閑話を更新します
いずれもこの日の為に1年も前から当人の知らないところで準備が進められていたものだった。本日の即位式の主役、エドワルドが上座へと歩を進める姿を、その準備にかかわったセシーリアとアルメリア、そしてサントリナ公夫妻とブランドル公夫妻は感無量といった様子で見守っている。
もちろん彼等だけではない。共に生死をかけて戦ってきたアスターやヒースといった竜騎士達にグラナトら文官達も目を潤ませている者もいる。彼らの一年越しの念願がたった今、叶おうとしているのだ。
エドワルドはゆっくりと、上座の前で待つ見届け役のペドロとエドワルドを国主と定めた5大公家の当主全員の前に進み出る。
「エドワルド・クラウス・ディ・タランテイルをタランテラ皇国国主として認める」
選定会議同様、5大公家の代表としてサントリナ公が宣言してエドワルドに国主を示す記章を付け、それを見届けたペドロがエドワルドを祝福する。
「エドワルド陛下の御代にダナシアの数多の恵みがあらんことを願う」
祝福が終わると、一同に促されてエドワルドは一段高くなっている玉座の前に立って広間を見渡す。その堂々とした佇まいに誰もが思わず見惚れていた。
「内乱は終結したが、国は未だ復興の最中にある。まずは国力の回復に努め、ただ、豊かなだけではなく、国民の誰もが己に誇りを持って生きていける国づくりを目指す」
エドワルドの宣言に大きな歓声が上がる。エドワルドは片手でそれを制すると、5大公家の当主に並んで立っている妻を呼ぶ。
「フォルビア公、フレア・ローザ。皇妃として共に歩んでくれるか?」
「はい。陛下の理念を陰ながらお支えしたいと思います」
つつましくフレアが答えると、エドワルドはそっと手を差し出す。フレアがその手を取ると、玉座の隣、皇妃の席に誘い、2人揃って着席する。そんな2人に家臣一同が揃って頭を下げる。これで一連の儀式が終了し、正式にエドワルドがタランテラ皇国の国主となった。
本宮前広場に面した露台の大扉が開かれる。朝方まで雨が降り、今日はあいにくの空模様で普段と比べていくばくか肌寒いのだが、広場には新たな国主の姿を一目見ようと多くの民衆が集まっていた。
まずは安全確認の為にワールウェイド公夫妻が出て行き、続けてユリウスがアルメリアとセシーリアを警護するように続く。そして最後にエルヴィンを抱いたフレアとコリンシアを伴いエドワルドが姿を現した。フレアもエルヴィンもこうして民衆の前に姿を現すのは初めての事で、彼らの期待も最高潮となる。
民衆に応えるように手を振れば、その歓声はさらに大きくなった。すると驚いたエルヴィンが泣き出してしまい、フレアはコリンシアと一緒にそれをあやして宥め、その様子をエドワルドが見守る。
しかし、エルヴィンはなかなか泣き止まず、フレアは仕方なく控えていたフロックス婦人に息子を預けた。まだ泣いている息子の額に口づけてから夫人を下がらせ、一緒に見送ったコリンシアと笑顔で見合わせてから再び手を振る。その母親らしい姿に一同はすぐに魅了されていた。
すると、雲の切れ間から光がさして露台を照らす。プラチナブロンドがそれを反射してキラキラと輝き、まるで一家が祝福を受けているように見える。
「ダナシア様の祝福だ」
「ダナシア様が陛下を祝福してくださっている」
民衆がどよめき、やがてそれは警護の兵士も混ざって喝采に代わっていく。それはなかなか収まらず、一家が本宮に戻ってしまってもしばらく止むことはなかった。そしてこの日の出来事は民衆によって後々にまで語り継がれ、一家は幸せの象徴として尊敬を集めることになる。
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