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5話 宿の主人クレセア
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翌朝、僕が目を覚まして部屋を出ると、宿のロビーには既に何人かの冒険者がいた。
カウンターで朝食をとっている者もいる。
彼らは、訝しげな表情で僕に注目した。
とても居心地が悪い。
「おはようございます。昨夜は良く眠れましたか?」
カウンターの中から、金髪の女性が声をかけてきた。
「は、はい!」
「それは良かった。私はクレセア。この宿の主人です」
「えっ……」
この人が……この宿の主人?
僕は改めてクレセアさんを見る。
歳は20代だろう。
そして、綺麗な金色の髪……。
金色の髪は、貴族などの地位の高い人間に多い。
精霊が金色に輝いているので、金色の髪には特別な力が宿っていると思われているためである。
クレセアさんは綺麗な人だ。
庶民として生まれたとしても、貴族の第二夫人か、第三夫人になっていてもおかしくない容姿である。
こんな人が、潰れかけた宿の主人をしているなどというのは、信じられないことだ。
「紹介状は読ませていただきました。ルークさん、私は貴方を歓迎します」
「あ、ありがとうございます!」
「早速で悪いのですが、こちらの依頼を、是非ルークさんに処理していただきたいのですが……」
クレセアさんが、僕に依頼書を見せてくる。
依頼内容は、農作物を荒らす野犬の駆除である。
依頼料が若干安いものの、よくある依頼だ。
しかし、少し前に狼に襲われて、すぐに野犬の駆除の依頼が来るなんて……。
無論のこと、狼に比べれば、野犬は危険性の低い獣である。
しかし、比較的知能が高く、集団行動が得意だという点は変わらない。
「どうしました? 顔色が悪いですよ?」
「……いえ、大丈夫です」
僕はこの依頼を受けることにした。
大精霊に守護してもらっているのに、犬が怖い、などと言えるはずがなかった。
依頼を出した村に行くと、村の人々は不安そうな表情を浮かべた。
僕の装備は上等な物ではない。
しかも、僕は自分が抱えている恐怖を、上手く隠すことが出来なかった。
いざ村まで来てしまえば、気合いで乗り切れると思ったのだが、実際には不安が増すばかりだったのだ。
ひょっとしたら、足が震えているかもしれない。
村人達が、こいつは大丈夫なんだろうか、と思うのも無理はないだろう。
とりあえず、村長の家に通してもらう。
村長は、僕を見ても驚いた様子はなかった。
むしろ、こうなることは分かりきっていた、とでも言わんばかりの、観念したかのような表情を浮かべた。
「闇夜の灯火亭」は落ち零ればかりが集まったボロ宿であり、そんな場所に依頼を出した時点で、まともな冒険者が来るとは思っていなかったのだろう。
もう少し予算があれば、もっとマシな宿に依頼を出したに違いない。
村長はゆっくりと話し始めた。
野犬は群れで村の畑を荒らすという。
目撃した村人の証言によれば、10匹以上はいるらしい。
「とにかく、一度追い払ってください。可能であれば、何匹か駆除していただきたい。しかし、一匹でも駆除していただければ報酬は全額お支払いします。この際、贅沢は言いません」
「……分かりました」
野犬の群れを追い払い、一匹だけ仕留めれば良いのであれば、僕であっても可能である。
人食い狼と比べれば、野犬は簡単に退いてくれるはずだ。
しかし、その程度の仕事をしても、宿の評価が上がらないことが問題である。
僕は、あの宿を立て直さなければならないのだ。
最低限の仕事しかできないのでは、評価はいつまでも上がらない。
僕は森の中に入った。
どこかから、人食い狼の群れが現れるのではないかと思ってしまい、辺りをキョロキョロと見回してしまう。
「ソリアーチェ、頼むよ……」
身体の震えを抑えながら呼ぶと、縮んだソリアーチェが姿を現す。
森の中なので、元のサイズのまま戦っても良いのだが、精霊を縮めて戦うことに早めに慣れておきたかった。
彼女を縮める魔法の使用は、ほとんど負担に感じない。
ソリアーチェ自身が支援してくれているので、慣れない魔法でも支障なく使えている。
とても助かった。
周囲の生物を探知する魔法を使う。
すると、植物や小動物、そして虫まで存在を検知する。
この魔法ならば、暴発しても森を荒野に変えるリスクはない。
試しに、検知範囲を広げてみる。
すると、かなり離れた場所に、比較的大きな生物が固まって存在していることが分かった。
あれは野犬か、狼か……。
僕は高速移動の魔法を使った。
ピピの力を借りた時に経験がある速度で、木々の間を縫って走る。
とても楽だ。
既に三種類の魔法を使っているとは思えない。
防御魔法を追加できるか試してみる。
すると、イメージした位置に光の壁が現れた。
既に使っている魔法が解除されることもない。
人食い狼に追われていた時に、障壁を展開する際には高速移動の魔法を解除して走っていたのとは大違いだ。
やはり、ソリアーチェは凄い。
これならば、突然人食い狼の群れに襲われても、逃げ切ることができるだろう。
検知した群れの近くまで来て、高速移動の魔法を解除する。
音や振動を消すための魔法を使い、気配を殺して群れに近づく。
木陰からそっと覗くと、野犬が数匹休んでいる様子が見えた。
僕は、野犬の退路を断つために障壁を展開し、群れの前に飛び出して攻撃魔法を発射した。
一匹の犬を撃ち抜く。
群れは逃げ出そうとするが、僕が展開した障壁に遮られ、弾き飛ばされる。
混乱した群れの一匹を続けて狙い、攻撃魔法で撃ち抜く。
障壁の脇をすり抜けて逃げようとする野犬の前に、新たな障壁を展開する。
逃げ場が無くなった野犬を、さらに攻撃魔法で仕留めていく。
やがて、逃げられないことを悟った犬が、僕に向かって飛びかかってきた。
僕は、脇に差している剣を抜いて、無造作に切り払う。
相手の動きが非常に遅く感じられて、危険に晒されている感覚が全くない。
狩りが終わるまでに、時間はかからなかった。
野犬の群れが全て息絶えたのを確認して、改めて周囲を見渡す。
戦闘中は野犬を仕留めることに必死だったが、冷静になってくると、身体が震えた。
これが……ソリアーチェの力!
大精霊の力とは、これほどのものなのか……!!
僕にはたくさんの弱点がある。
魔法の同時使用は苦手だし、気配を消すのも得意とは言えないし、攻撃魔法を敵に当てるのも苦手だ。
しかし、ソリアーチェはそれらを全て覆い隠してしまうほどの支援をしてくれる。
これならば、人食い狼の群れを一人で駆除することすら可能だろう。
当然のことながら、ソリアーチェの支援を受けただけで万能になれるわけではない。
例えば、回復魔法は発動すらしないのだ。
だが、これ程圧倒的な力があれば、負傷するリスクも当然低くなる。
それに、僕の目標は聖女様のパーティーに入れてもらうことだ。
正式に彼女の仲間になれば、彼女との役割分担が可能なので、回復の心配は必要ないだろう。
大変な力を手に入れてしまった。
改めてそう思った。
僕は、少し時間をかけて、自分が落ち着くまで待った。
それから、全ての犬の尾を切り取って、村に持ち帰ることにした。
村人達は、僕の成果が予想を遙かに超えていたので驚愕していた。
無理もない。
僕自身が一番驚いているのだ。
村長は、動揺を押し隠しながら僕に報酬を渡した。
その際に、色々と言い訳をしながら、報酬の額を僅かだが上積みしてくれた。
貧相な客を冷たくあしらった商人が、相手の正体が大富豪だったと知った時のような反応だった。
僕は宿に戻り、クレセアさんに依頼が成功したことを報告した。
「そうですか。おめでとうございます」
クレセアさんは、僕の成功を心から喜んでくれた。
一方で、宿の中にいた冒険者達からは冷ややかな視線が注がれた。
中には舌打ちをする者や、ブツブツと文句を言う者もいる。
突然やって来た新人がいきなり活躍しても、こんなものだろう。
特に、この宿は、他人の成功を喜べるような雰囲気ではない。
この、どんよりとした空気だけでも、早く改善しなければ……そう思った。
カウンターで朝食をとっている者もいる。
彼らは、訝しげな表情で僕に注目した。
とても居心地が悪い。
「おはようございます。昨夜は良く眠れましたか?」
カウンターの中から、金髪の女性が声をかけてきた。
「は、はい!」
「それは良かった。私はクレセア。この宿の主人です」
「えっ……」
この人が……この宿の主人?
僕は改めてクレセアさんを見る。
歳は20代だろう。
そして、綺麗な金色の髪……。
金色の髪は、貴族などの地位の高い人間に多い。
精霊が金色に輝いているので、金色の髪には特別な力が宿っていると思われているためである。
クレセアさんは綺麗な人だ。
庶民として生まれたとしても、貴族の第二夫人か、第三夫人になっていてもおかしくない容姿である。
こんな人が、潰れかけた宿の主人をしているなどというのは、信じられないことだ。
「紹介状は読ませていただきました。ルークさん、私は貴方を歓迎します」
「あ、ありがとうございます!」
「早速で悪いのですが、こちらの依頼を、是非ルークさんに処理していただきたいのですが……」
クレセアさんが、僕に依頼書を見せてくる。
依頼内容は、農作物を荒らす野犬の駆除である。
依頼料が若干安いものの、よくある依頼だ。
しかし、少し前に狼に襲われて、すぐに野犬の駆除の依頼が来るなんて……。
無論のこと、狼に比べれば、野犬は危険性の低い獣である。
しかし、比較的知能が高く、集団行動が得意だという点は変わらない。
「どうしました? 顔色が悪いですよ?」
「……いえ、大丈夫です」
僕はこの依頼を受けることにした。
大精霊に守護してもらっているのに、犬が怖い、などと言えるはずがなかった。
依頼を出した村に行くと、村の人々は不安そうな表情を浮かべた。
僕の装備は上等な物ではない。
しかも、僕は自分が抱えている恐怖を、上手く隠すことが出来なかった。
いざ村まで来てしまえば、気合いで乗り切れると思ったのだが、実際には不安が増すばかりだったのだ。
ひょっとしたら、足が震えているかもしれない。
村人達が、こいつは大丈夫なんだろうか、と思うのも無理はないだろう。
とりあえず、村長の家に通してもらう。
村長は、僕を見ても驚いた様子はなかった。
むしろ、こうなることは分かりきっていた、とでも言わんばかりの、観念したかのような表情を浮かべた。
「闇夜の灯火亭」は落ち零ればかりが集まったボロ宿であり、そんな場所に依頼を出した時点で、まともな冒険者が来るとは思っていなかったのだろう。
もう少し予算があれば、もっとマシな宿に依頼を出したに違いない。
村長はゆっくりと話し始めた。
野犬は群れで村の畑を荒らすという。
目撃した村人の証言によれば、10匹以上はいるらしい。
「とにかく、一度追い払ってください。可能であれば、何匹か駆除していただきたい。しかし、一匹でも駆除していただければ報酬は全額お支払いします。この際、贅沢は言いません」
「……分かりました」
野犬の群れを追い払い、一匹だけ仕留めれば良いのであれば、僕であっても可能である。
人食い狼と比べれば、野犬は簡単に退いてくれるはずだ。
しかし、その程度の仕事をしても、宿の評価が上がらないことが問題である。
僕は、あの宿を立て直さなければならないのだ。
最低限の仕事しかできないのでは、評価はいつまでも上がらない。
僕は森の中に入った。
どこかから、人食い狼の群れが現れるのではないかと思ってしまい、辺りをキョロキョロと見回してしまう。
「ソリアーチェ、頼むよ……」
身体の震えを抑えながら呼ぶと、縮んだソリアーチェが姿を現す。
森の中なので、元のサイズのまま戦っても良いのだが、精霊を縮めて戦うことに早めに慣れておきたかった。
彼女を縮める魔法の使用は、ほとんど負担に感じない。
ソリアーチェ自身が支援してくれているので、慣れない魔法でも支障なく使えている。
とても助かった。
周囲の生物を探知する魔法を使う。
すると、植物や小動物、そして虫まで存在を検知する。
この魔法ならば、暴発しても森を荒野に変えるリスクはない。
試しに、検知範囲を広げてみる。
すると、かなり離れた場所に、比較的大きな生物が固まって存在していることが分かった。
あれは野犬か、狼か……。
僕は高速移動の魔法を使った。
ピピの力を借りた時に経験がある速度で、木々の間を縫って走る。
とても楽だ。
既に三種類の魔法を使っているとは思えない。
防御魔法を追加できるか試してみる。
すると、イメージした位置に光の壁が現れた。
既に使っている魔法が解除されることもない。
人食い狼に追われていた時に、障壁を展開する際には高速移動の魔法を解除して走っていたのとは大違いだ。
やはり、ソリアーチェは凄い。
これならば、突然人食い狼の群れに襲われても、逃げ切ることができるだろう。
検知した群れの近くまで来て、高速移動の魔法を解除する。
音や振動を消すための魔法を使い、気配を殺して群れに近づく。
木陰からそっと覗くと、野犬が数匹休んでいる様子が見えた。
僕は、野犬の退路を断つために障壁を展開し、群れの前に飛び出して攻撃魔法を発射した。
一匹の犬を撃ち抜く。
群れは逃げ出そうとするが、僕が展開した障壁に遮られ、弾き飛ばされる。
混乱した群れの一匹を続けて狙い、攻撃魔法で撃ち抜く。
障壁の脇をすり抜けて逃げようとする野犬の前に、新たな障壁を展開する。
逃げ場が無くなった野犬を、さらに攻撃魔法で仕留めていく。
やがて、逃げられないことを悟った犬が、僕に向かって飛びかかってきた。
僕は、脇に差している剣を抜いて、無造作に切り払う。
相手の動きが非常に遅く感じられて、危険に晒されている感覚が全くない。
狩りが終わるまでに、時間はかからなかった。
野犬の群れが全て息絶えたのを確認して、改めて周囲を見渡す。
戦闘中は野犬を仕留めることに必死だったが、冷静になってくると、身体が震えた。
これが……ソリアーチェの力!
大精霊の力とは、これほどのものなのか……!!
僕にはたくさんの弱点がある。
魔法の同時使用は苦手だし、気配を消すのも得意とは言えないし、攻撃魔法を敵に当てるのも苦手だ。
しかし、ソリアーチェはそれらを全て覆い隠してしまうほどの支援をしてくれる。
これならば、人食い狼の群れを一人で駆除することすら可能だろう。
当然のことながら、ソリアーチェの支援を受けただけで万能になれるわけではない。
例えば、回復魔法は発動すらしないのだ。
だが、これ程圧倒的な力があれば、負傷するリスクも当然低くなる。
それに、僕の目標は聖女様のパーティーに入れてもらうことだ。
正式に彼女の仲間になれば、彼女との役割分担が可能なので、回復の心配は必要ないだろう。
大変な力を手に入れてしまった。
改めてそう思った。
僕は、少し時間をかけて、自分が落ち着くまで待った。
それから、全ての犬の尾を切り取って、村に持ち帰ることにした。
村人達は、僕の成果が予想を遙かに超えていたので驚愕していた。
無理もない。
僕自身が一番驚いているのだ。
村長は、動揺を押し隠しながら僕に報酬を渡した。
その際に、色々と言い訳をしながら、報酬の額を僅かだが上積みしてくれた。
貧相な客を冷たくあしらった商人が、相手の正体が大富豪だったと知った時のような反応だった。
僕は宿に戻り、クレセアさんに依頼が成功したことを報告した。
「そうですか。おめでとうございます」
クレセアさんは、僕の成功を心から喜んでくれた。
一方で、宿の中にいた冒険者達からは冷ややかな視線が注がれた。
中には舌打ちをする者や、ブツブツと文句を言う者もいる。
突然やって来た新人がいきなり活躍しても、こんなものだろう。
特に、この宿は、他人の成功を喜べるような雰囲気ではない。
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