2 / 14
第2章~誤解からの、気付き~
第2章~誤解からの、気付き~
しおりを挟む
「話って、何?」
放課後、僕は行き付けのファーストフード店に来るよう龍都に言われた。僕は用事などはなく、暇だったので応じた。何なら学校から2人で向かえば良かったのに。そんな疑問を抱きながら、僕はこう聞いた。
僕より10数分遅れてきた彼は言いにくそうに視線をあちこちに投げ、答えを探しているようだった。
「どうしたの?龍都」
僕の言葉に、1度こちらを見て、ため息を吐くと観念する様に言った。
「大翔、ごめん、彼女が出来た。もう、今までみたいには、一緒に居れない」
「何それ、もっと嬉しそうに報告しろよ」
僕は呆れてため息を付き返してやった。おめでたい話じゃないか。恋人が出来たなんて…。少し、寂しい気はするが、絶対にこいつには言えない。
「おめでとう、初彼女か?」
「あぁ」
まだ僕の顔色を伺っている龍都に、言った。
「今を楽しめよ、僕は僕で楽しむさ」
その言葉を受けて、彼はやっと微笑んだ。
「ありがとう、俺頑張るから」
その日からだった。彼は何かと恋愛話やら相談をして来た。だが、僕は楽しかった。何より彼が嬉しそうなのが、一番だ。
そして、ここぐらいからか、彼は僕に言った。
「あのさ、シミュレーションに付き合ってくれない?」
それは、僕が毎回聞かされる話に相槌しか入れられないことを謝ったのが原因だった。
「良いけど、何すんの?」
「俺さ、美保に俺と付き合ってる時だけは特に楽しんで欲しいと思ってるんだ。だから、本格的にデートがしたい」
「本格的なデートか、良いだろう。僕に出来ることなら協力する。いつもお荷物だったからな」
今ではきっとココが分岐点だったのだろう、と思う。これがきっかけで僕らの役割は確定してしまったのだ。
次の日は、休日だった。僕は、朝から早々忍び込んでいた。どこに?あぁ、姉上の部屋に。
姉上には着せ替え人形の様に扱われて、女装も別に抵抗がなくなってしまった。もちろん、人前に出るなら、話は別だと思うが、龍都の為なら、姉上で鍛えられた羞恥心は何とかなるに違いない。
静かに寝息を立てる姉上に、思わず可愛いと思ってしまうのは、やかましい様子とのギャップのせいだろう。
クローゼットを開け、姉上が滅多に着ない服を拝借し、速やかに自室に戻った。
僕の見た目が、カッコイイにほど遠いのは知っている。だから、姉上にも人形の様に扱われるのだろうけど。
僕は可愛らしい容姿で、背丈も高い訳では無い。だからと言って、女役を任命するだろうか?奴は最低だ。
女装が似合ってしまい、気が付かれない程なのは…知っているが…。
放課後、僕は行き付けのファーストフード店に来るよう龍都に言われた。僕は用事などはなく、暇だったので応じた。何なら学校から2人で向かえば良かったのに。そんな疑問を抱きながら、僕はこう聞いた。
僕より10数分遅れてきた彼は言いにくそうに視線をあちこちに投げ、答えを探しているようだった。
「どうしたの?龍都」
僕の言葉に、1度こちらを見て、ため息を吐くと観念する様に言った。
「大翔、ごめん、彼女が出来た。もう、今までみたいには、一緒に居れない」
「何それ、もっと嬉しそうに報告しろよ」
僕は呆れてため息を付き返してやった。おめでたい話じゃないか。恋人が出来たなんて…。少し、寂しい気はするが、絶対にこいつには言えない。
「おめでとう、初彼女か?」
「あぁ」
まだ僕の顔色を伺っている龍都に、言った。
「今を楽しめよ、僕は僕で楽しむさ」
その言葉を受けて、彼はやっと微笑んだ。
「ありがとう、俺頑張るから」
その日からだった。彼は何かと恋愛話やら相談をして来た。だが、僕は楽しかった。何より彼が嬉しそうなのが、一番だ。
そして、ここぐらいからか、彼は僕に言った。
「あのさ、シミュレーションに付き合ってくれない?」
それは、僕が毎回聞かされる話に相槌しか入れられないことを謝ったのが原因だった。
「良いけど、何すんの?」
「俺さ、美保に俺と付き合ってる時だけは特に楽しんで欲しいと思ってるんだ。だから、本格的にデートがしたい」
「本格的なデートか、良いだろう。僕に出来ることなら協力する。いつもお荷物だったからな」
今ではきっとココが分岐点だったのだろう、と思う。これがきっかけで僕らの役割は確定してしまったのだ。
次の日は、休日だった。僕は、朝から早々忍び込んでいた。どこに?あぁ、姉上の部屋に。
姉上には着せ替え人形の様に扱われて、女装も別に抵抗がなくなってしまった。もちろん、人前に出るなら、話は別だと思うが、龍都の為なら、姉上で鍛えられた羞恥心は何とかなるに違いない。
静かに寝息を立てる姉上に、思わず可愛いと思ってしまうのは、やかましい様子とのギャップのせいだろう。
クローゼットを開け、姉上が滅多に着ない服を拝借し、速やかに自室に戻った。
僕の見た目が、カッコイイにほど遠いのは知っている。だから、姉上にも人形の様に扱われるのだろうけど。
僕は可愛らしい容姿で、背丈も高い訳では無い。だからと言って、女役を任命するだろうか?奴は最低だ。
女装が似合ってしまい、気が付かれない程なのは…知っているが…。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話
さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ)
奏音とは大学の先輩後輩関係
受け:奏音(かなと)
同性と付き合うのは浩介が初めて
いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる