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第二話 サラマンダーは見た目より一途である
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ミレイこと私の相談室は、毎日誰かしらのカウンセリングをしている。内容は生徒達の勉学や友人関係のアドバイスだったり、教職員が感じる日頃のストレスを聞いてやったりと色々だ。
まぁ、凄く話しやすい相手なんだろう。
人間は、他種族に比べ精霊感知能力が微塵もなく、魔法適正もゼロに近い。あるとすれば愛嬌ぐらいだ。私にあるかは不明だが。こんなにも利用しやすい種族はいないと思われる。生き残れたのが不思議なぐらい、この世界は人間に不利なんだ。
また今日も相談者が来る。私の女神はコル(硬貨)だけだ。これだけは私を裏切らない。そろそろ相談料を固定制にしようかな。
◆ ◆ ◆
「ミレイ様ぁぁ。聞いてくださいよ!」
バタバタと走りながら、魔術基礎学担当のぺトラが相談室にやってきた。
「どうしたんだ、サラマンダー(火の精霊)が泣くと火の海になるからやめてくれ。その火は水や消化器じゃ消せないんだから」
「だってぇ、だってぇ!うぇぇえん」
「わかった聞いてやるから、落ち着いて、話す前に相談りょうを」
「はい、三千コル!」
「手短に頼むよテトラ」
・・・
内容を簡潔に言えば、数十年一緒にいる最愛の彼(イージェル)が最近冷たくて、浮気してるかもしれないというもの。
これを聞き出すまでに二時間かかった。女神三人じゃ釣りに合わない気もするが、話したらスッキリしたといい自己解決して帰ってしまった。なんの涙だったんだ・・・。
次の日。
「ミレイ様ぁぁ、」
また来た。が、
今日も今日とて、同じような話をして満足して帰ってしまった。
女神もこんな使い方されるとは思ってないんだろうな。
次の日、また次の日、と何日もこんな感じでペトラの涙は続いた。もうそろそろいい加減にしてほしい。
「テトラ、明日は旦那を連れてきてほしいんだ。3人で話してみないか?毎日泣いてばっかりじゃ、体にも悪い。話せば何か変わるかもしれない」
「ぐすっ、でも、わたし、ぐすっ。イージェルの前だとっ、ぐすっ、上手く喋れなくて」
「私がフォロー入れるからさ」
「ぐすっ、っ、す、わかったわ」
サラマンダーってもっとサバサバしてる感じがあったんだけど、強いし。あ、こんなのはテトラだけか。
その日の夜、テトラの番号から電話がかかってきた。
「はい、こちらミレイ」
「君がミレイだね、僕はファイヤー・ゴーレムのイージェル。テトラの夫だよ。先程、テトラから話を聞いて連絡したってところさ」
「何かご要件が?」
夫の方から連絡が来るのは想定外だ。流石に女神取りすぎたか?
「テトラが最近目を腫らしてることが多くてね、心配をしてたんだよ。それで何かと思えば僕のことを相談して泣いていたと言うじゃないか」
「はぁ、そうだが、私が何か言う前に帰ってしまうのでどうとも・・・」
「いやいや、責めてるつもりは無いんだ。すまなかったね。僕の仕事上、一人にすることが多くてね、何かと情緒不安定になりやすいんだ」
「と、言いますと?」
「サラマンダーは昔から魔法蓄積量も多く、強い種族な上にあり期待されてきたおかげでがプライドが高いだけでそんなにメンタルの方は強くないんだ。特にペトラは幼い時に父を亡くしていてね」
「テトラにそんな過去が」
「うん。テトラは僕にしか弱みを見せたがらなくて、昔からの友達にもどこか壁があるみたいでさ。でも君を信用しているみたいですごく安心したよ!」
「それは良かった。最近イージェルが冷たいとか、浮気してるとか言っていたが」
「僕が浮気!?どこで勘違いしたんだろう」
「何か隠し事とか」
「あ、もうすぐ結婚記念日でサプライズがしたくてね。テトラの家族にも協力してもらっていたから、嘘が苦手な僕に何か勘違いをしたのかも」
「何か変わったこととかは?」
「言われてみれば、いつも二十回ぐらい愛してるっていうところを十八回ぐらいになってたかもしれない」
バカップルじゃねえか!なんかイライラしてきたな。早く電話切りたい。
「そうですね、今すぐにでも愛してるって叫んでください。七十回ぐらい。即座に解決するので」
「あははは、ミレイはユニークだね!後で伝えるよ。よければ君もパーティーに来ないか?」
「時間が合えば出席するよ。よほどテトラを愛しているんだな、喜ばしい限りだ」
「当たり前さ。こんなに可愛いサラマンダーを僕は知らない。テトラを誰よりも愛しているからね!なんだって出来るさ」
「イージェル!私も愛してるわ」
「はいはい、電話越しにイチャつくな」
「ミレイ、テトラの話を聞いてくれてありがとう。これからも良かったら話を聞いてくれないか」
「私でよければいつでも相談室に来てください」
「助かるよ」
これで解決?なのかな。まぁ、これで火の海で死ぬ恐れはなくなったか。
よしっ!
ここ数日で貯まった女神達を連れて少しリッチなデザートでも食べに行こうかな。~♪
次の日。
「ミレイ様ぁぁぁ」
「うわぁぁ、今から食べようと、私の限定プリンがァァ、やめてくれその火だけはぁぁぁぁ!」
第二話 サラマンダーは意外と一途
・・・一途と言うより、
ただのめんどくさいやつだろ!!!!
まぁ、凄く話しやすい相手なんだろう。
人間は、他種族に比べ精霊感知能力が微塵もなく、魔法適正もゼロに近い。あるとすれば愛嬌ぐらいだ。私にあるかは不明だが。こんなにも利用しやすい種族はいないと思われる。生き残れたのが不思議なぐらい、この世界は人間に不利なんだ。
また今日も相談者が来る。私の女神はコル(硬貨)だけだ。これだけは私を裏切らない。そろそろ相談料を固定制にしようかな。
◆ ◆ ◆
「ミレイ様ぁぁ。聞いてくださいよ!」
バタバタと走りながら、魔術基礎学担当のぺトラが相談室にやってきた。
「どうしたんだ、サラマンダー(火の精霊)が泣くと火の海になるからやめてくれ。その火は水や消化器じゃ消せないんだから」
「だってぇ、だってぇ!うぇぇえん」
「わかった聞いてやるから、落ち着いて、話す前に相談りょうを」
「はい、三千コル!」
「手短に頼むよテトラ」
・・・
内容を簡潔に言えば、数十年一緒にいる最愛の彼(イージェル)が最近冷たくて、浮気してるかもしれないというもの。
これを聞き出すまでに二時間かかった。女神三人じゃ釣りに合わない気もするが、話したらスッキリしたといい自己解決して帰ってしまった。なんの涙だったんだ・・・。
次の日。
「ミレイ様ぁぁ、」
また来た。が、
今日も今日とて、同じような話をして満足して帰ってしまった。
女神もこんな使い方されるとは思ってないんだろうな。
次の日、また次の日、と何日もこんな感じでペトラの涙は続いた。もうそろそろいい加減にしてほしい。
「テトラ、明日は旦那を連れてきてほしいんだ。3人で話してみないか?毎日泣いてばっかりじゃ、体にも悪い。話せば何か変わるかもしれない」
「ぐすっ、でも、わたし、ぐすっ。イージェルの前だとっ、ぐすっ、上手く喋れなくて」
「私がフォロー入れるからさ」
「ぐすっ、っ、す、わかったわ」
サラマンダーってもっとサバサバしてる感じがあったんだけど、強いし。あ、こんなのはテトラだけか。
その日の夜、テトラの番号から電話がかかってきた。
「はい、こちらミレイ」
「君がミレイだね、僕はファイヤー・ゴーレムのイージェル。テトラの夫だよ。先程、テトラから話を聞いて連絡したってところさ」
「何かご要件が?」
夫の方から連絡が来るのは想定外だ。流石に女神取りすぎたか?
「テトラが最近目を腫らしてることが多くてね、心配をしてたんだよ。それで何かと思えば僕のことを相談して泣いていたと言うじゃないか」
「はぁ、そうだが、私が何か言う前に帰ってしまうのでどうとも・・・」
「いやいや、責めてるつもりは無いんだ。すまなかったね。僕の仕事上、一人にすることが多くてね、何かと情緒不安定になりやすいんだ」
「と、言いますと?」
「サラマンダーは昔から魔法蓄積量も多く、強い種族な上にあり期待されてきたおかげでがプライドが高いだけでそんなにメンタルの方は強くないんだ。特にペトラは幼い時に父を亡くしていてね」
「テトラにそんな過去が」
「うん。テトラは僕にしか弱みを見せたがらなくて、昔からの友達にもどこか壁があるみたいでさ。でも君を信用しているみたいですごく安心したよ!」
「それは良かった。最近イージェルが冷たいとか、浮気してるとか言っていたが」
「僕が浮気!?どこで勘違いしたんだろう」
「何か隠し事とか」
「あ、もうすぐ結婚記念日でサプライズがしたくてね。テトラの家族にも協力してもらっていたから、嘘が苦手な僕に何か勘違いをしたのかも」
「何か変わったこととかは?」
「言われてみれば、いつも二十回ぐらい愛してるっていうところを十八回ぐらいになってたかもしれない」
バカップルじゃねえか!なんかイライラしてきたな。早く電話切りたい。
「そうですね、今すぐにでも愛してるって叫んでください。七十回ぐらい。即座に解決するので」
「あははは、ミレイはユニークだね!後で伝えるよ。よければ君もパーティーに来ないか?」
「時間が合えば出席するよ。よほどテトラを愛しているんだな、喜ばしい限りだ」
「当たり前さ。こんなに可愛いサラマンダーを僕は知らない。テトラを誰よりも愛しているからね!なんだって出来るさ」
「イージェル!私も愛してるわ」
「はいはい、電話越しにイチャつくな」
「ミレイ、テトラの話を聞いてくれてありがとう。これからも良かったら話を聞いてくれないか」
「私でよければいつでも相談室に来てください」
「助かるよ」
これで解決?なのかな。まぁ、これで火の海で死ぬ恐れはなくなったか。
よしっ!
ここ数日で貯まった女神達を連れて少しリッチなデザートでも食べに行こうかな。~♪
次の日。
「ミレイ様ぁぁぁ」
「うわぁぁ、今から食べようと、私の限定プリンがァァ、やめてくれその火だけはぁぁぁぁ!」
第二話 サラマンダーは意外と一途
・・・一途と言うより、
ただのめんどくさいやつだろ!!!!
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