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第一話 悪魔に対外ロクなのはいない
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アマリリス魔法学校。
初代校長アマリリスが建設したとされる歴史ある魔法学校であり、種族問わずさまざまな生徒が通っている。
その名の通り魔法を学ぶための学校であり、生徒達はそれぞれ切磋琢磨しながら日々を過ごしていた。
そう、アマリリス魔法学校は格式高い学校ーー
「おはよう、ミレイ。それは毛虫の髪飾りかい? 似合ってるよ」
「速やかに死んでくれ」
ーーのはずである。
◆ ◆ ◆
「お前には私が毛虫の髪飾りをつける馬鹿女に見えるのか」
「ミレイのことだから、てっきり前衛的な髪飾りかと」
「お前は私を何だと思ってるんだ?」
頭についた毛虫を窓から放り投げ、ミレイと呼ばれた少女は少年に振り返る。
「未確認生物、かな……」
「あながち間違ってない回答だ、失格」
ミレイはピッと人差し指を少年に向かって勢いよく突きつける。
少年は何が面白いのか、口角を吊り上げたままだ。
「それで、ここに何の用だ?」
「その……相談があってね」
「ほう。相談料は10万円な」
「ジュウマンエン……?」
「……10万コルだ」
「高すぎない? せめて500コルだよ」
少年はミレイに銀の硬貨を突き出すと、勝手にペラペラと語り出す。
「それでね、相談内容なんだけど。ボク最近ストーカー被害にあってて」
「被害届け出せよ」
「いや、ストーカーじゃなかったら恥ずかしいじゃないか。ボクの思い込みだったらと思うとね」
「お前考えるだけの頭は持ち合わせてるんだな」
「酷くないかい?」
さて、ここでミレイ達のいるこの場所は何なのかをご説明しよう。
ここはアマリリス魔法学校の端のほうに位置する相談室で、ミレイはここにカウンセラーとして居着いている。
度々生徒が相談室を訪れるが、教師がここに来る場合は相談料を必要とする。
現在ミレイと向かい合わせで座っている少年も、一見15ほどの年齢に見えるが、実際はとうに100を超えている。
彼は悪魔であった。
頭には山羊のように巻いた漆黒のツノが、悪魔の象徴と言わんばかりに輝いていた。
彼の名はアルマロスといい、この学校の教師のうちの一人である。
「んで、さっきのストーカー被害の話に戻るのだけどね? それに気づいたのは、自宅のテーブルの上に見知らぬ袋が置いてあったからなんだ」
「……ほう」
「中を除けばそれはそれは美味しそうなパイが入っていてね。ボクはそれを食べたんだけど」
「見知らぬパイをよく食えるな。やはりお前の頭は虫食いの考えなしだったか。そのままスカスカになって教師をやめろ」
「それでね、ボクは食べながら考えていたんだ。そういえばこれを置いていったのは誰なんだろうか、と」
ミレイの罵倒を思い切りスルーしてそこまで続けると、アルマロスは一旦息を吸って体勢を整える。
「それでね、ここ最近ずっと誰かにつけられているような気がするし、誰かに見られているような気がする。おまけに家では変な音もするし。私物もどんどんなくなっているんだよ。そろそろ不安になって、君のところに相談に来たんだよ。何かいい打開策はないかい?」
「うむ……ちなみにそれは何日前の話だ」「1ヶ月前だね」
「もっと早く相談に来い馬鹿」
「いや……しばらく犯人と格闘していてね」
「は?」
訝しげにミレイが眉を顰めると、アルマロスは事情を引き続き語った。
「足元に特製の雷魔法を敷いてみたり、罠を張ってみたりしたんだよ。だが! 犯人はそれらを全て解除して家に滑り込んできている! おまけにボクがそれに引っかかってしまう有り様!」
「犯人の件は置いておいて、自分で引っかかるのはないだろう」
「それだけ念入りにやったのさ!!」
力の入り具合からして、よほど苦労したらしい。
ミレイは流石にアルマロスに同情を寄せた。
アルマロスは両の手で顔を覆っておんおんと泣き出す。
それを成人男性がやるにはキツいところがあるのでやめていただきたい。
「それにっ……ボクには一緒に暮らしている妻がいるっ。妻にも迷惑をかけて、申し訳が立たない!」
「はあ」
「そこでだミレイ! 君にボクが家に帰る途中で、ストーカーらしき人物がいないか見張ってほしい!」
「追加料金1万コル」
「払おう!」
バン、と金の硬貨がテーブルに叩きつけられる。
硬貨の表面では女神が緩く微笑んでおり、ミレイの心にも祝福をもたらさんばかりであった。
ミレイは躊躇うことなく硬貨をふんだくると、「交渉成立だな」と返した。
◆ ◆ ◆
その夜。
ミレイはアルマロスと並んで彼の自宅へと向かった。
夜道は独特の雰囲気を感じるものの、特にストーカーらしき人物は見当たらない。
隣のアルマロスがソワソワしているのをひたすら鬱陶しいと思っていると、自宅についてしまった。
「……おい、本当にストーカーはいるのか」
「いるって言っただろう!? どうして信じてくれないのさ!」
「お前だしな……」
その時、カツンと地面を叩くヒールの音がした。
振り返ると、金髪の派手な美女がこちらを鋭く睨んでいる。
いよいよ本当にストーカー出現かと思えば、後ろから「妻だよ」とアルマロスが言った。
その顔が気持ち悪いほど歪んでいたので、ミレイはドン引きして後ろに引き下がる。
「おかえりサティ! 今日は仕事が早く終わったのかい? 疲れてるだろう、早く中に入ろう」
アルマロスは嬉々として妻を迎え入れようと腕を広げるが、美女がそんな彼にくれてやったのは回し蹴りであった。
「へぶう!?」
見事なまでの蹴りに、ミレイは驚きよりも先に感心を示す。
アルマロスの体はクルクルと回ってそのまま吹っ飛び、地面に深くめり込んだ。
「何がっ、おかえりサティよ!!」
美女が顔を真っ赤にして叫んだもので、これは修羅場かとミレイは身構えた。
しかし美女の口から飛び出したのはとんでもない一言。
「やっと捕まえたわよ犯罪者!」
「……は?」
ポカンと大口を開けるミレイに、美女は振り返って叫ぶ。
「あなたこの男の知り合い!? こいつ、私が仕事で夜遅くまで帰ってこないことをいいことに、自宅に上がり込んできたのよ!? 私が友達にもらったパイも食べるし! ったく、鍵はどこから用意したのやら……! 知らないうちに洗濯物は綺麗にたたまれてるし、ご飯もできてるし、おまけに罠まで! それで警戒してみればっ……とんだネズミが隠れていたものね!」
「えっと、つまり……あなたはこの男とは無関係で、妻でも何でもないと?」
「そうよっ! ここ1ヶ月怪しい人物に目星はつけていたけどっ……こうしてこいつが私の家の目の前にいることこそが何よりの証拠よっ!」
激昂する美女に、アルマロスは「お、落ち着いて」とどうにか宥めようとする。
しかし美女の怒りは収まらない。
「気持ち悪いっ……知らない男が家にいるなんてまっぴらだわ! 犯罪者は大人しく死んでちょうだい」
美女が炎の魔法で彼を襲おうとしたので、慌ててアルマロスはミレイに助けを求める。
「た、助けてくれミレイ! サティは今、機嫌が悪いみたいでっ……」
「キモ……お前はやっぱり社会のゴミクズだな。早めに成仏しろ」
「みっ、ミレイイイイィ……」
アルマロスーー否、変態の断末魔を聞きながらミレイはそのまま帰路についた。
今日の収穫といえば金の硬貨の女神のみである。
しかし例え変態が所持していたとしても、女神は変わらず微笑んでくれるもので。
「美味しいもの買って帰ろうかな……」
災難に巻き込まれたのだから、少しばかり贅沢をしてもバチは当たるまい。
◆ ◆ ◆
「おはようミレイ!」
「なぜいる害虫」
翌朝、犯罪者としてそのままお縄になったと予想されたアルマロスが、ごくごく普通の顔をしてミレイに挨拶をした。
その相変わらずさにミレイの顔面は引き攣るばかりである。
「いやあ、叩き出されてしまうかと思ったんだけどね! サティとはあの後仲直りして、今はラブラブさ!」
「洗脳でも使ったのか?」
「違う違う! ボクは洗脳魔法なんて使えないよ!」
浮かれた様子のアルマロスに、ミレイは思考を回してみる。
このクズ、カスーーもうこの際何でもいい。こいつに人と暮らせる余地があったというのか。
それに昨日はあんなに美女も怒っていた。
何かあったのでは、と思い、後日美女に会いに行って事情を聞いてみる。
「ああ、実はああいうのよくあるのよ」
「よくある」
「私って淫魔だし、そういう系弱い人をすぐ惹きつけちゃうみたいで……」
「そうなんですね」
「もういい加減鬱陶しいし、ハウスキーパーにしてしまおうと」
「その思い切りのよさはどこから生まれたんですか?」
「まあ、あの男使えるのよね。たまに下着盗まれるけど」
「ハイリスクノーリターンですよ。そんな男ゴミ箱に捨てちゃいましょう」
「あら、やっぱり? でもあいつ他のストーカーは追い返してくれるのよねぇ」
「じゃあもうネズミ取りにでも使いましょう」
その後しばらくストーカー除け兼ハウスキーパーで活躍したアルマロスであったが、その扱いがどれだけ適当であろうが幸せそうであった。
ちなみに生徒達の間では、「アルマロスが妻について語り出すと長い」という共通認識が立つほど話題になっている。
そして、ミレイの相談室に、またもや別の者が現れる。
「盗みが上手くなりたいんですけど、どうすればいいですかね」
「悪魔はこんなんばっかかよ」
第一話 悪魔に対外ロクなのはいない
初代校長アマリリスが建設したとされる歴史ある魔法学校であり、種族問わずさまざまな生徒が通っている。
その名の通り魔法を学ぶための学校であり、生徒達はそれぞれ切磋琢磨しながら日々を過ごしていた。
そう、アマリリス魔法学校は格式高い学校ーー
「おはよう、ミレイ。それは毛虫の髪飾りかい? 似合ってるよ」
「速やかに死んでくれ」
ーーのはずである。
◆ ◆ ◆
「お前には私が毛虫の髪飾りをつける馬鹿女に見えるのか」
「ミレイのことだから、てっきり前衛的な髪飾りかと」
「お前は私を何だと思ってるんだ?」
頭についた毛虫を窓から放り投げ、ミレイと呼ばれた少女は少年に振り返る。
「未確認生物、かな……」
「あながち間違ってない回答だ、失格」
ミレイはピッと人差し指を少年に向かって勢いよく突きつける。
少年は何が面白いのか、口角を吊り上げたままだ。
「それで、ここに何の用だ?」
「その……相談があってね」
「ほう。相談料は10万円な」
「ジュウマンエン……?」
「……10万コルだ」
「高すぎない? せめて500コルだよ」
少年はミレイに銀の硬貨を突き出すと、勝手にペラペラと語り出す。
「それでね、相談内容なんだけど。ボク最近ストーカー被害にあってて」
「被害届け出せよ」
「いや、ストーカーじゃなかったら恥ずかしいじゃないか。ボクの思い込みだったらと思うとね」
「お前考えるだけの頭は持ち合わせてるんだな」
「酷くないかい?」
さて、ここでミレイ達のいるこの場所は何なのかをご説明しよう。
ここはアマリリス魔法学校の端のほうに位置する相談室で、ミレイはここにカウンセラーとして居着いている。
度々生徒が相談室を訪れるが、教師がここに来る場合は相談料を必要とする。
現在ミレイと向かい合わせで座っている少年も、一見15ほどの年齢に見えるが、実際はとうに100を超えている。
彼は悪魔であった。
頭には山羊のように巻いた漆黒のツノが、悪魔の象徴と言わんばかりに輝いていた。
彼の名はアルマロスといい、この学校の教師のうちの一人である。
「んで、さっきのストーカー被害の話に戻るのだけどね? それに気づいたのは、自宅のテーブルの上に見知らぬ袋が置いてあったからなんだ」
「……ほう」
「中を除けばそれはそれは美味しそうなパイが入っていてね。ボクはそれを食べたんだけど」
「見知らぬパイをよく食えるな。やはりお前の頭は虫食いの考えなしだったか。そのままスカスカになって教師をやめろ」
「それでね、ボクは食べながら考えていたんだ。そういえばこれを置いていったのは誰なんだろうか、と」
ミレイの罵倒を思い切りスルーしてそこまで続けると、アルマロスは一旦息を吸って体勢を整える。
「それでね、ここ最近ずっと誰かにつけられているような気がするし、誰かに見られているような気がする。おまけに家では変な音もするし。私物もどんどんなくなっているんだよ。そろそろ不安になって、君のところに相談に来たんだよ。何かいい打開策はないかい?」
「うむ……ちなみにそれは何日前の話だ」「1ヶ月前だね」
「もっと早く相談に来い馬鹿」
「いや……しばらく犯人と格闘していてね」
「は?」
訝しげにミレイが眉を顰めると、アルマロスは事情を引き続き語った。
「足元に特製の雷魔法を敷いてみたり、罠を張ってみたりしたんだよ。だが! 犯人はそれらを全て解除して家に滑り込んできている! おまけにボクがそれに引っかかってしまう有り様!」
「犯人の件は置いておいて、自分で引っかかるのはないだろう」
「それだけ念入りにやったのさ!!」
力の入り具合からして、よほど苦労したらしい。
ミレイは流石にアルマロスに同情を寄せた。
アルマロスは両の手で顔を覆っておんおんと泣き出す。
それを成人男性がやるにはキツいところがあるのでやめていただきたい。
「それにっ……ボクには一緒に暮らしている妻がいるっ。妻にも迷惑をかけて、申し訳が立たない!」
「はあ」
「そこでだミレイ! 君にボクが家に帰る途中で、ストーカーらしき人物がいないか見張ってほしい!」
「追加料金1万コル」
「払おう!」
バン、と金の硬貨がテーブルに叩きつけられる。
硬貨の表面では女神が緩く微笑んでおり、ミレイの心にも祝福をもたらさんばかりであった。
ミレイは躊躇うことなく硬貨をふんだくると、「交渉成立だな」と返した。
◆ ◆ ◆
その夜。
ミレイはアルマロスと並んで彼の自宅へと向かった。
夜道は独特の雰囲気を感じるものの、特にストーカーらしき人物は見当たらない。
隣のアルマロスがソワソワしているのをひたすら鬱陶しいと思っていると、自宅についてしまった。
「……おい、本当にストーカーはいるのか」
「いるって言っただろう!? どうして信じてくれないのさ!」
「お前だしな……」
その時、カツンと地面を叩くヒールの音がした。
振り返ると、金髪の派手な美女がこちらを鋭く睨んでいる。
いよいよ本当にストーカー出現かと思えば、後ろから「妻だよ」とアルマロスが言った。
その顔が気持ち悪いほど歪んでいたので、ミレイはドン引きして後ろに引き下がる。
「おかえりサティ! 今日は仕事が早く終わったのかい? 疲れてるだろう、早く中に入ろう」
アルマロスは嬉々として妻を迎え入れようと腕を広げるが、美女がそんな彼にくれてやったのは回し蹴りであった。
「へぶう!?」
見事なまでの蹴りに、ミレイは驚きよりも先に感心を示す。
アルマロスの体はクルクルと回ってそのまま吹っ飛び、地面に深くめり込んだ。
「何がっ、おかえりサティよ!!」
美女が顔を真っ赤にして叫んだもので、これは修羅場かとミレイは身構えた。
しかし美女の口から飛び出したのはとんでもない一言。
「やっと捕まえたわよ犯罪者!」
「……は?」
ポカンと大口を開けるミレイに、美女は振り返って叫ぶ。
「あなたこの男の知り合い!? こいつ、私が仕事で夜遅くまで帰ってこないことをいいことに、自宅に上がり込んできたのよ!? 私が友達にもらったパイも食べるし! ったく、鍵はどこから用意したのやら……! 知らないうちに洗濯物は綺麗にたたまれてるし、ご飯もできてるし、おまけに罠まで! それで警戒してみればっ……とんだネズミが隠れていたものね!」
「えっと、つまり……あなたはこの男とは無関係で、妻でも何でもないと?」
「そうよっ! ここ1ヶ月怪しい人物に目星はつけていたけどっ……こうしてこいつが私の家の目の前にいることこそが何よりの証拠よっ!」
激昂する美女に、アルマロスは「お、落ち着いて」とどうにか宥めようとする。
しかし美女の怒りは収まらない。
「気持ち悪いっ……知らない男が家にいるなんてまっぴらだわ! 犯罪者は大人しく死んでちょうだい」
美女が炎の魔法で彼を襲おうとしたので、慌ててアルマロスはミレイに助けを求める。
「た、助けてくれミレイ! サティは今、機嫌が悪いみたいでっ……」
「キモ……お前はやっぱり社会のゴミクズだな。早めに成仏しろ」
「みっ、ミレイイイイィ……」
アルマロスーー否、変態の断末魔を聞きながらミレイはそのまま帰路についた。
今日の収穫といえば金の硬貨の女神のみである。
しかし例え変態が所持していたとしても、女神は変わらず微笑んでくれるもので。
「美味しいもの買って帰ろうかな……」
災難に巻き込まれたのだから、少しばかり贅沢をしてもバチは当たるまい。
◆ ◆ ◆
「おはようミレイ!」
「なぜいる害虫」
翌朝、犯罪者としてそのままお縄になったと予想されたアルマロスが、ごくごく普通の顔をしてミレイに挨拶をした。
その相変わらずさにミレイの顔面は引き攣るばかりである。
「いやあ、叩き出されてしまうかと思ったんだけどね! サティとはあの後仲直りして、今はラブラブさ!」
「洗脳でも使ったのか?」
「違う違う! ボクは洗脳魔法なんて使えないよ!」
浮かれた様子のアルマロスに、ミレイは思考を回してみる。
このクズ、カスーーもうこの際何でもいい。こいつに人と暮らせる余地があったというのか。
それに昨日はあんなに美女も怒っていた。
何かあったのでは、と思い、後日美女に会いに行って事情を聞いてみる。
「ああ、実はああいうのよくあるのよ」
「よくある」
「私って淫魔だし、そういう系弱い人をすぐ惹きつけちゃうみたいで……」
「そうなんですね」
「もういい加減鬱陶しいし、ハウスキーパーにしてしまおうと」
「その思い切りのよさはどこから生まれたんですか?」
「まあ、あの男使えるのよね。たまに下着盗まれるけど」
「ハイリスクノーリターンですよ。そんな男ゴミ箱に捨てちゃいましょう」
「あら、やっぱり? でもあいつ他のストーカーは追い返してくれるのよねぇ」
「じゃあもうネズミ取りにでも使いましょう」
その後しばらくストーカー除け兼ハウスキーパーで活躍したアルマロスであったが、その扱いがどれだけ適当であろうが幸せそうであった。
ちなみに生徒達の間では、「アルマロスが妻について語り出すと長い」という共通認識が立つほど話題になっている。
そして、ミレイの相談室に、またもや別の者が現れる。
「盗みが上手くなりたいんですけど、どうすればいいですかね」
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