上 下
31 / 58
奴隷との新しい生活

031_奴隷の発情

しおりを挟む
シロと恋人同士になった翌朝から『事件』が起きている。

起きた時からシロが俺にべったりだ。
まず、目が覚めたらシロが俺の顔を覗き込んでいた。

「かみさま、おはようございます」

「あ、おはよう」

俺と目が合った時にシロの目の瞳孔が開くのに気づいてしまった。
瞳孔というのは、好きな物や興味があるものを見た時に開く。
これは無意識の動きなので、人間は意識してコントロールできない。
嘘はつけないのだ。

俺が目覚めて、挨拶を交わした時にシロの瞳孔が開いたので、間違いなく、嘘偽りなくシロは俺のことが好きだ。

そして、起きたと同時に首に抱き着かれてしまった。
なに気に首の辺りのにおいを嗅がれている。
臭いフェチがここにいた。

俺も半分寝ぼけていたので、好きなようにさせていたのだが、突然だった。

(ちゅっ)

「かみさまぁ・・・」

朝からキスされたのは初めてではないだろうか。
シロが至近距離から上目遣いで見てくる。
その瞳の光は確実にハートマークになっている。

ヤバい。
シロに狙われている。

元々、顔立ちが整っていて、美少女のシロに狙われるようなことは、別の出会い方だったらならば絶対にない。
狙われたら抗う術などないので、きっと1日イチャイチャして過ごしてしまう。
それだけならばいいが、自分を抑えきれずにシロに襲い掛かってしまうかもしれない。

色々と辛いことがあったと思われるシロなので、これから先は辛い思いをしてほしくない。

「よし!朝食にしよう!今日はシロの好きなヨーグルトをフルーツ入りで!」

できるだけ興味を逸らす様に、シロの好物を朝食に選んだ。

いただきますの後、シロはヨーグルトを食べているが、ヨーグルトはあまり見ていない。
こちらを、ちらちらと見ては、目が合うと視線を下に向けてしまう。

ちら←シロ

ちら←俺

目が合う

すっ(慌てて下を見る)←シロ

ちら←シロ

目が合う

すっ(慌てて下を見る)←シロ


これの繰り返しだ。
顔は赤くなっていて、どんなことを考えているかは手に取るように分かる。
朝食の味なんて覚えていない・・・

ご飯を食べ終わって歯を磨く時は、シロがすぐ横で俺のシャツの裾を持ったまま離さなかった。
こんなに慕われたことがないので、嬉しさは既に突き抜けている。

掃除の時はずっと後ろをついて回り、洗濯の時はベッドの上に座り、俺の枕を抱きしめてずっとこちらを見ていた。

その瞳は艶(つや)っぽいというか、エロいというか・・・
頬は紅潮(こうちょう)させていて、どんなに鈍感な俺でも『今すぐ抱いてほしい』と視線で伝えているのは明らかだった。

シロを抱くのはやぶさかではない。

『やぶさかではない』は『ない』と否定的な表現があるので、ネガティブな感情だととらえる人も少なくない。

元々『やぶさか』は、『気が進まない』みたいに後ろ向きな気持ちのこと。
だから、『吝かではない』は後ろ向きな感情を否定することで『やりたくないわけではない』『どちらかと言えばやりたい』『むしろ喜んでする』と肯定の積極的な表現だ。

正しい意味の「やぶさかではない」なのだが、最後まで行ってしまうことには躊躇(ちゅうちょ)がある。

まず、シロは未成年であること。
そして、俺と2人しかいない世界なので、俺のことが好きになっているだけかもしれないこと。
さらに、面倒を見てくれる人だから好きになっている可能性。

俺としてはシロのことを一人の女性として好きなのだが、シロはどうなのだろうか・・・
そこがどうしても最後の一線を踏み越えられないようにしていた。

昼ご飯はシロが俺の横で食事をしていた。
いつもは向かい合って食べるのだけれど、横並びで食べるのは新鮮だった。

午後は、俺の大学の授業があった。
いつもの様にパソコンで動画を見る授業。

テーブルにノートパソコンを置いて動画を見る。
時々、必要なことをノートに書く。
都度動画は止められるので、ゆっくりノートはとれる。

マウスも右手、ペンも右手なので、左手は余裕がある。
俺がテーブルの椅子に座って授業を受けているときに、シロはすぐ横の床に座って、俺の掌をもてあそんでいた。

指を開いたり、閉じたり。
遊んでほしそうだが、授業は受けないといけない。
可哀そうだが、そのままにしていた。

1コマ目の授業は何とか終わった。

「ふー」

一つの授業が終わったので、ため息をついたら、すぐにシロが話しかけてきた。

「かみさま、休憩?シロがコーヒー淹れましょうか?」

「ほんと?ありがとう。頼むよ」

「はいっ」

シロは嬉しそうにコーヒーを淹れていた。
お湯が沸く間、ちらちらとこちらを見ている。

嬉しいんだけど、どこか恥ずかしい。
嬉し恥ずかし状態が続く。

一日これだと俺の心が持たない・・・

シロがコーヒーを持ってきてくれた。

「かみさま、どうぞ」

(ズズ・・・)「あ、おいしい」

シロのコーヒーを淹れる技術力が上がっていた。
インスタントだけど。

「ほんとですか?嬉しい♪」

シロは俺のすぐ隣で腕にすがっている。
こんなかわいい子に一日中、顔を赤らめて見つめられていると、自分がすごい存在なのではないだろうかと勘違いしてしまいそうだ。

2コマ目の授業を受け始めると、やっぱりシロはすぐ隣の床に座っていた、俺の指を唇で甘噛みし始めた。

唇だから痛くはないのだけれど、すごく気になる。
仕舞には、指や掌にキスをし始めた。

ううう・・・これをスルーし続けるほど俺は人間出来てない。
そして、こんなにアピールされ続けるほどモテたこともない。

3コマ目の授業を受けるときは、完全に授業には気が入っていなかった。
動画は流れているが、全く頭には入っていなかった。
シロが俺の指をなめているのだ。

キスしたり、指の股を舐めたり・・・
こんなのに耐えられる人間がいるはずがない。

俺は動画を止めて、床に座っているシロを抱きしめてキスをした。

「シロ、そんなにされたら我慢できなくなるから、それくらいにしておいてくれ」

そう伝えると、シロは益々真っ赤になって潤んだ瞳で見つめてきた。
目の光のハートマークが煽情的で、俺は何故我慢しているのだと自問自答が始まるほどだった。

7割まで授業の動画は見たので、あと3割を何とか見てしまおうと授業に戻る俺。

横からゆっくり顔を近づけてきて、頬に(ちゅっ)とキスをするシロ。
俺がシロの方を見ると、シロは明後日の方向を見て『私何もしてないよ~』という素振り。

なんだこのかわいさ100%の生き物は。

俺が授業に戻ると、今度は反対側からゆっくり近づいてきて、頬に(ちゅっ)。
くるっとシロの方を見ると、手を後ろに組んで遠くを見ながら口笛でも吹いているような仕草。

今すぐ押し倒したい衝動を抑えるのが大変だった。

一日をこんな風に甘々の蕩(とろ)けるような過ごし方をしてしまったので、この後の風呂と一緒に寝るというイベントは、もう普通ではいられないのだと予感していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない

たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。 何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...