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内裏に現るる怪奇の真実

1.

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※ ※ ※




「え…あちらの女御様も里下がりされたの?」

隣を行く女房が頷いた。

梨壺の更衣もとい範子の姉に呼ばれ、彼女についている乳母姉妹の女房に姉のいる局へ案内されていた折のことであった。

何でも、雷鳴壷に暮らす女御が最近体調を崩し実家へ里下がりをしたらしい。女房によれば、最近大内裏で怪異の噂が絶えず、繊細な性質だという件の女御は気疲れしたのではないか、ということだ。
彼女についている大半の女房たちにも暇を出したというし、最近姿を見ない女房の所在の理由を知ることとなった。

「そうか…」

梅壺の女御と合わせるとこれで二人目だ。短期間で帝の妃が後宮から姿を消すなど一大事。
それだけ、大内裏の怪異が人々に影響を及ぼし初めたのだろう。
そろそろ陰陽寮も動き出すのやもしれない。

確かに、祓っても祓ってもあやかしは現れ続けており、敦宣ただひとりでは荷が重いのは明らかだ。範子とて敦宣と同じ“逆転の者”として彼に助力は惜しまないつもりだ。
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