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第一章
2-4.
しおりを挟む(これで引き下がったと思うんじゃないぞ…!)
ずんずん廊下を行くアレックスは対抗心に燃えていた。
先日の本当は歩けるのではないかとヘーゼルに問うた時こそは子どもに腰を折った。あの場はそうする他なかった。己はただの使用人なのだ。
(だから、あの子どもの気迫に呑まれたからじゃない…。断じてない…! そんなわけあるか!)
頭を振り、己を鼓舞する。
アレックスは自らの考えが正しいと確信していた。
絶対にあの子どもは何かを隠している。
ここまでこてんぱんにされたからには尻尾を掴んでみせないと気が済まない。大人の面目丸潰れだ。
もとより監視の役目を与えられているのだ。今までは遠慮していたのは否めない。けれどこれからは大いに役目を果たしてやろうではないか。幼気な子どもを監視するなど酷いこと? 知ったことか。
アレックスは頭の何処かにあったヘーゼルに対する罪悪感なぞかなぐり捨てる決心をしたのだった。
(見てろよ!)
内心は決意に燃えながら、しかし表面上は落ち着き払った態度を装おって扉を開ける。
「アレックス先生、おはようございます」
出迎えたヘーゼルが花の咲くように笑った。
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