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私の職場は地図に載ってない
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しおりを挟む「やばい。まじでやばい。やばいやばい」
「やばいのはお前の頭だろ」
お決まりの応酬をきっちりしてから私は頭を抱えた。安い作業テーブルはそれだけでぎし…と不穏な音を立てて軋む。
「まだ決まんないわけ? どっか手応えあったとことかは?」
「ない…。思いっきり空振りしてるのがわかる…」
かつん、と爪がテーブルを叩いて我に返る。時たま話ながらも手だけは機械になりきって山のように積まれた御守りを袋詰めしていっていたら、どうやらさっきのが最後の一個だったらしい。
担当の宮司さんに追加の段箱を頼まなくては、と思ったら、友人が既に席を立って青い袴の男性に声をかけている。仕事が早い。流石、混迷極める就活状況の我ら友人グループの中で内定取得一番乗りを果たした人間だ。
「休憩していいってよ」
「はぁ…、シャバの空気吸ってくんわ」
ふざけたことを言いつつイスから立ち上がる。
ため息つくなってどやしつつも、人混みに流されるなよと言って友人が送り出してくれた。
こういう細やかな気遣いが出来るとこも内定者とそうでないものの違いなのかと、何でも就活に結び付けてしまう膿んだ脳味噌を冷やすべく、私は社務所の裏口へ向かった。
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