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11 アテナとローラ

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「アテナ様、先日はありがとうございました。おかげ様でレオン様と楽しく動物園を見て回ることができました」
「まぁ!わたくし、ローラ様の御力になることができて嬉しいわ!」

 私の目の前には、まるで女神のように美しい女性が、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべていました。

 アテナ・フォンブラウン公爵令嬢。『恋の女神様』様です。

 私の大事なご友人であるこの御方は、私とレオン様が恋仲になれるように積極的に力になってくださいました。私にとって、大変御恩のあるかけがえのない方です。

 その美しすぎると言っても過言ではない、完璧な容姿であるにも関わらず、彼女は全くそれをひけらかすことはありません。それどころか、無自覚なのです。そして、周りの人の幸せを強く願うほどのお優しい性格。

 まるで、本当に天から降臨された女神様であるかの如き女性です。私はこんな素晴らしい方の友人でいることに誇りをもっています。

 そんなアテナ様ですが、ご自分の恋愛にはとんと興味がないようでした。今までどれだけの貴公子達が彼女に求婚し、膝を折ってきたことか。アテナ様はもしかしたら、男性に興味がないのでは?そう思ってさえいました。
 しかし、それはどうやら間違いであったのだと、最近の彼女を見て思うのです。

「マロンったら、わたくしよりも殿下が好きみたいなんですのよ!ずーっと殿下の御膝の上に乗ってたんですから!まったく、飼い主のわたくしよりも殿下に甘えるとはなにごとでしょうかね!でも、殿下も殿下ですよ!マロンは飼い主よりも愛想がいいな、ですってよ!失礼しちゃうわ!」

 最近、アテナ様はよく殿下のお話をしていらっしゃいます。今まで彼女の口から、殿方とこんなことがあった、といった話を聞いたことがありませんでしたので驚きました。しかも、殿下の話をする時のアテナ様はとても活き活きとしていらっしゃるのです。
 そして・・・・

「まぁ・・・殿下も眼差しは鋭いですが・・・とてもお優しい方ではありますけどね」

 頬を赤らめながら、胸元の猫のしっぽの形をしたアクセサリーを撫でていらっしゃいました。
 そのご様子は、まさに恋する乙女です。

 普段のアテナ様ももちろん素敵ですが、この彼女の表情はもう異次元の可愛らしさです。ランド殿下もアテナ様を想っていらっしゃるご様子ですし、お2人には是非恋仲になっていただきたいですね。

 それに・・・アテナ様にはまだお話しておりませんが、私は先日の動物園デートで、レオン様から告白を受けたのでした。近々、婚約発表がなされる予定ですが、ここまでレオン様との仲を深めることができたのも、アテナ様と殿下のおかげです。

 私もレオン様も、お互い友人の幸せを願っており、アテナ様と殿下のご様子を度々2人で見守ってきました。その結果、私達の距離は急激に近づいたのです。おそらく、アテナ様と殿下も、私とレオン様のために協力して動いてくださったことで、今、お互いの距離をどんどん詰めていっている最中なのでしょう。

 あと一押し、そんな状態な気がします。

 そして、それにうってつけのイベントが来月開催されます。

 ダンスパーティーです。

 ダンスパーティーに男女がペアで参加する場合には、男性が女性を誘うのが習わし。レオン様が殿下に、アテナ様を誘うように働きかけていらっしゃると思いますので、楽しみですわね。
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