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04 ダブルデート 後編
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その後、わたくし達は、色々なお店でショッピングをしてカフェでお昼をいただきました。ローラ様とレオン様はすっかり仲良くおしゃべりをしていらっしゃいました。どうやら、わたくしの囮作戦がうまくいって仲を深めることができたようです。さすがわたくし!
わたくし達はカフェでおいしいパスタ料理に舌鼓を打った後、演劇を開催する劇場に向かいましたのよ。カフェと同様、わたくしは抜かりなく良い席を予約しておりましたので、問題なく入場できました。席順は、左から殿下、わたくし、ローラ様、レオン様です。お邪魔虫がちょっかいをかけないように、わたくしがしっかりと壁になる完璧な席順ですのよ!
わたくしは演劇が始まるまで、殿下が退屈しないようにちょこちょこお話をしつつ、ちらちらとローラ様達の様子を伺います。うん!問題なし!お二人とも笑顔で談笑していらっしゃいますね。良い雰囲気です。
「俺は演劇はあまり見ないんだがな」
殿下がぼそっとそんなことを口にしておられます。ふふふ、ご安心あれ、そういう可能性も考慮して殿下が退屈しないようなものを選びましたのよ!
「今から鑑賞する演劇は、以前に殿下がおっしゃっていた流行りの恋愛劇を題材にしたものですのよ」
「ほう」
お、ちょっと興味を示したようですわ。
「本で読むのと、演劇で見るのとでは切り口や見せ方が違ったりしますので、きっと殿下も楽しめると思いますわよ」
「そうか、それは楽しみだな」
「!」
うお!またしても殿下の笑顔が!まさか、今まで見れなかったものが1日に2度も拝めることになるとは・・・明日は雪が降るのではないかしらね?・・・しかし、満席で人が多いせいでしょうか、ちょっと顔が熱くなってきた気がしますわ。殿下が不快に感じていらっしゃらなければ良いですが。
ローラ様達も不快に感じていらっしゃらないかしら?と思って振り返ってみたら、なぜかお二人はこちらを向いてニコニコ微笑んでいらっしゃいました。・・・微笑んでいらっしゃるなら大丈夫そうね。
そんなことを思っていたら、演劇がスタートいたしました。よし!しっかり楽しみますわよ!
・・・
「う、ううう・・・」
な、なんて切ないシーンなんでしょうか・・・。相思相愛のヒロインと王子様が政治的な問題で仲を引き裂かれてしまうというシーンです。わたくしもこのシーンは本を読んでおりましたので知ってはいましたが、演劇ではことさらこのシーンを強調しており、悲しみに暮れるヒロインの感情が心にしみます。
ああ、涙が出ちゃう・・・。わたくしはハンカチをだそうと小物入れに手を伸ばそうとしましたが、ふと横から視線を感じます。ふと見てみると、殿下がわたくしの顔をぽけーっと眺めていらっしゃいました。
「ど、どうなさいましたか?殿下?」
「な、なんでもない!」
わたくしが声をかけると、殿下はあわてて前を向きなおります。・・・心なしか、殿下の顔が赤いようです。もしかしたら、今になって観客の多さによる熱気で体調を悪くされたのかもしれません。さすがに殿下の御加減が悪くされてしまうといけませんので、わたくしは更に声をかけました。
「殿下、もしかしたら体調がすぐれないのではありませんか?少し顔が赤いようですが・・・」
「い、いや、問題ない!俺は大丈夫だから演劇に集中しろ!」
「は、はい・・・」
そ、そんな大きな声を出さなくても・・・。周りの観客達の迷惑そうな視線が突き刺さります。く・・・!恥ずかしい・・・。ま、まあ、殿下が大丈夫とおっしゃっているなら、大丈夫なのでしょう・・・。そう思うことにして、わたくしはハンカチを片手に演劇の続きを鑑賞することにいたしました。
・・・
その後、わたくし達は演劇の鑑賞を終えて、劇場を後にしました。殿下のお顔の色は戻っていましたので、どうやらわたくしの見間違いのようです。ほっ、よかった・・・。
ローラ様とレオン様も終始ニコニコとしておられましたので、今回のダブルデート作戦は大成功ですわね!さすがわたくしの作戦です!完璧!
わたくし達はカフェでおいしいパスタ料理に舌鼓を打った後、演劇を開催する劇場に向かいましたのよ。カフェと同様、わたくしは抜かりなく良い席を予約しておりましたので、問題なく入場できました。席順は、左から殿下、わたくし、ローラ様、レオン様です。お邪魔虫がちょっかいをかけないように、わたくしがしっかりと壁になる完璧な席順ですのよ!
わたくしは演劇が始まるまで、殿下が退屈しないようにちょこちょこお話をしつつ、ちらちらとローラ様達の様子を伺います。うん!問題なし!お二人とも笑顔で談笑していらっしゃいますね。良い雰囲気です。
「俺は演劇はあまり見ないんだがな」
殿下がぼそっとそんなことを口にしておられます。ふふふ、ご安心あれ、そういう可能性も考慮して殿下が退屈しないようなものを選びましたのよ!
「今から鑑賞する演劇は、以前に殿下がおっしゃっていた流行りの恋愛劇を題材にしたものですのよ」
「ほう」
お、ちょっと興味を示したようですわ。
「本で読むのと、演劇で見るのとでは切り口や見せ方が違ったりしますので、きっと殿下も楽しめると思いますわよ」
「そうか、それは楽しみだな」
「!」
うお!またしても殿下の笑顔が!まさか、今まで見れなかったものが1日に2度も拝めることになるとは・・・明日は雪が降るのではないかしらね?・・・しかし、満席で人が多いせいでしょうか、ちょっと顔が熱くなってきた気がしますわ。殿下が不快に感じていらっしゃらなければ良いですが。
ローラ様達も不快に感じていらっしゃらないかしら?と思って振り返ってみたら、なぜかお二人はこちらを向いてニコニコ微笑んでいらっしゃいました。・・・微笑んでいらっしゃるなら大丈夫そうね。
そんなことを思っていたら、演劇がスタートいたしました。よし!しっかり楽しみますわよ!
・・・
「う、ううう・・・」
な、なんて切ないシーンなんでしょうか・・・。相思相愛のヒロインと王子様が政治的な問題で仲を引き裂かれてしまうというシーンです。わたくしもこのシーンは本を読んでおりましたので知ってはいましたが、演劇ではことさらこのシーンを強調しており、悲しみに暮れるヒロインの感情が心にしみます。
ああ、涙が出ちゃう・・・。わたくしはハンカチをだそうと小物入れに手を伸ばそうとしましたが、ふと横から視線を感じます。ふと見てみると、殿下がわたくしの顔をぽけーっと眺めていらっしゃいました。
「ど、どうなさいましたか?殿下?」
「な、なんでもない!」
わたくしが声をかけると、殿下はあわてて前を向きなおります。・・・心なしか、殿下の顔が赤いようです。もしかしたら、今になって観客の多さによる熱気で体調を悪くされたのかもしれません。さすがに殿下の御加減が悪くされてしまうといけませんので、わたくしは更に声をかけました。
「殿下、もしかしたら体調がすぐれないのではありませんか?少し顔が赤いようですが・・・」
「い、いや、問題ない!俺は大丈夫だから演劇に集中しろ!」
「は、はい・・・」
そ、そんな大きな声を出さなくても・・・。周りの観客達の迷惑そうな視線が突き刺さります。く・・・!恥ずかしい・・・。ま、まあ、殿下が大丈夫とおっしゃっているなら、大丈夫なのでしょう・・・。そう思うことにして、わたくしはハンカチを片手に演劇の続きを鑑賞することにいたしました。
・・・
その後、わたくし達は演劇の鑑賞を終えて、劇場を後にしました。殿下のお顔の色は戻っていましたので、どうやらわたくしの見間違いのようです。ほっ、よかった・・・。
ローラ様とレオン様も終始ニコニコとしておられましたので、今回のダブルデート作戦は大成功ですわね!さすがわたくしの作戦です!完璧!
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