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お友達に愚痴を聞いてもらう1

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「まぁ!ローラン様はなんてひどいお方なんでしょう!」
「そうですよねぇ。でも、びっくりしたんですが、結果的にはよかったかもしれません。あんなマウンティングすることしか頭にない人と結婚したら、ストレスで胃に穴が空きそうですから」

 私は次の日、お友達のジャンヌ・ブラン子爵令嬢とお茶を飲んでいました。
 ジャンヌ様とは学園に通う前からの付き合いで、色々ご相談ができる気が置けない親友です。

 彼女に、『ちょっと聞いてよー、彼氏を妹に取られちゃったんだけどー』的なお話をした訳です。

「確かに、そうかもしれませんわね。・・・ローラン様の学園での態度はあまり褒められたものではありませんものね」

「ええ」

 元婚約者のローラン様は、とにかく、学園内でマウンティング活動に勤しんでいました。

 まず、自分よりも格が下の家柄に当たる男爵家、子爵家の令息の方々に非常に高圧的な態度をとっています。まるで子分のような扱いです。そして、自分よりも格が高い家柄の侯爵家、公爵家、王族の方々に対しては非常に腰が低く遜った態度をとるのです。

 また、自分と同じ伯爵家の令息に対しては、とにかく自分の方がお前よりも優秀なのだ、というアピールを常にしていました。やれ、〇〇よりも俺の方が背が高い、〇〇よりも俺の方がイケメン、だのです。

 ハッキリいって、他人からしたら本当にどうでもいいことを延々とアピールするのです。「いや、お前の話興味ないから」とは皆様はおっしゃいません。皆様は処世術として、表面上は大人の対応を取っています。
 すごいですね、そうなのですか・・・といった感じです。その言葉で、彼は自分が肯定されたと思って、浅はかな自尊心を満たしているのです。
 しかし、他の人・・・伯爵家以下の人が同じような自慢を言った場合は、猛烈に批判なさいます。そんな態度を日常的に取っておられる方なので、彼の評価がどんなものかは言うまでもありませんよね。

 婚約者である私は本当に恥ずかしかったのです。ですから、何度もローラン様にご忠告申し上げたのです。他者に思いやりを持って接しましょう、と。
 しかし、彼は私に対してもマウンティングを取ってきました。お前は俺よりも家柄の格が下なのだから、黙っていろ!と言うのです。

 それであれば、家柄に見合った品格を身に着けていただきたいのですが・・・彼に言っても無駄でしょうから、それは黙っていました。

 とにかく、自分よりも上の立場の方にはイエスマンで、自分と同じか、それより下の立場の方に対してはマウントを取りたがるのです。あれはもう病気でしょう。

 本当に稚拙で恥ずかしく思っていましたので、彼とお別れできて本当によかったです。
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