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03 カミーユ様の正体

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 その男性のどでかいお声によって、一時、その場の悲鳴は止みました。

 え、誓います?

 どういうことでしょう?カミーユ様はどこへ消えてしまったのでしょうか?

 この男性は一体誰なのでしょうか?


 そう思った私は、偶然、その男性の腰に目が行きました。その股間を隠している布きれにです。

 あれ?あの布切れってもしかして、カミーユ様がお召しになっていたドレスでは・・・?

 それに・・・あれ?よく考えたら、エーデルワイス辺境伯家にご令嬢っていたかしら?

 それに・・・カミーユ・エーデルワイス様って、たしか・・・


 そんな考えを巡らす私をよそに、殿下は涼しい声で上級婚礼の締めくくりの言葉を告げました。



「では、神の前で、永久の愛を約束する証である、誓いの口付けを」



「ま、待て!待ってください!殿下!こんな奴は知らない!俺のカミーユは!愛しのカミーユはどこへ!?」


 その声が聞こえた途端、その男性・・・カミーユ・エーデルワイスは、グスタフ様のお顔を両手でガシ!っと掴んで持ち上げました。

 グスタフ様の足は、大広間の床から中空に浮いています。


「あ、あああああ!やめろ!!!!やめろおおおおおお!!!!!」


 そして・・・


「ダーリン♡永久の愛を誓います♡♡♡」










ぶちゅうううううう









・・・







 私は、こんな激しい誓いのキスは、見た事がありません。今までに見てきた結婚式のどんなキスよりも、激しく、濃厚で、まるで貪るようなキスでした。

 そんなキスでした。エーデルワイス辺境伯様のキスは。

 そのキスを目撃した観衆の反応は、驚きのあまり失神する方、呆然とする方、ハァハァと荒い息をして、食い入るように見つめる方など、様々でした。

 私の反応は、呆然でした。



 そして、長く、激しいキスが終わりました。

 あまりに激しいキスで、グスタフ様は白目を剥いて失神されてしまったようでした。
 本当に大変なショックだったのでしょう、彼の股間には大きなシミができていました。どうやら、失禁もしてしまったようです。



 そんな光景を前に、殿下は声高らかに言いました。

「ここに永遠の愛は誓われた!皆さま!盛大な拍手を!」


・・・ぱちぱち

ぱちぱちぱちぱち!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!!


 殿下の御言葉で、その場にいた方々から拍手が広がっていきます。

 最初はまばらだった拍手は、さざ波のように広がっていき、ついには、われんばかりの大拍手に!



「お幸せにー!」
「お二人の永久の愛に乾杯!」


 そんな声が各地であがっています。
 よく見たら、先ほどお二人のキスを、ハァハァと荒い息をして、食い入るように見つめていた方々でした。

 私もそれにならってお声をかけることにしました。

「オシアワセニー」



「うふふふ♡♡♡♡♡ダーリン♡♡♡♡♡今夜は寝かせないわよ♡♡♡♡♡♡熱い夜を過ごしましょうね♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」



 そう言って、エーデルワイス辺境伯様は、その逞しい腕でグスタフ様をお姫様抱っこすると、大広間からニコニコと去っていきました。

 グスタフ様は、ピクピクと痙攣していらっしゃいました。

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