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1幕:安定の上に立つ焦燥
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開演まで四十分、昼前。少し、着くのが早かったかもしれない。
洗練された内装の建物内に入り、劇場があるB1フロアに移動する。
少しふわふわした気分だ。デビューしてからもう五年たつけど、自作の放送や上演の前は、いつでも少し緊張して浮かれ気分になる。
……それとも、今日のこれは、別の興奮がまだ冷めていないせいなのだろうか。
ズキ、と胸の内が痛む。
ロビーに降りてもすぐに受付に行かず、チラシが置かれた棚を確認する。
先生方やライバルたちが次に発表するものは気になるし、自分の勉強のためにも常にチェックしているべき。それはそうなのだけど……
真っ先に目に飛び込んできたのは、ライバルであり一応恋人同士の関係であるはずの柴山京介さん脚本の舞台作品のチラシだった。
ほんの少しの対抗心と嫉妬、そして同時に愛しさと不安が湧く。
昨夜の喧嘩を思い出す。
言うのに、それなりに勇気が必要だった。だって、正直なるべくなら関わりたくないものだし、仮に立場が逆だとしても乗り気になれない相談だし。
でも、こういう関係にいる以上、そろそろ触れるべきことだと思ったからそうしたのに。
『最近、考えてたことなんですが……一度、私も京介さんのご両親にも会って、正式に挨拶に行ったほうが……』
緊張しながら、少し怖いとも思いながら言ったのに。
だけど、次の瞬間、彼は険しい表情を見せた。
『ダメだ』
洗練された内装の建物内に入り、劇場があるB1フロアに移動する。
少しふわふわした気分だ。デビューしてからもう五年たつけど、自作の放送や上演の前は、いつでも少し緊張して浮かれ気分になる。
……それとも、今日のこれは、別の興奮がまだ冷めていないせいなのだろうか。
ズキ、と胸の内が痛む。
ロビーに降りてもすぐに受付に行かず、チラシが置かれた棚を確認する。
先生方やライバルたちが次に発表するものは気になるし、自分の勉強のためにも常にチェックしているべき。それはそうなのだけど……
真っ先に目に飛び込んできたのは、ライバルであり一応恋人同士の関係であるはずの柴山京介さん脚本の舞台作品のチラシだった。
ほんの少しの対抗心と嫉妬、そして同時に愛しさと不安が湧く。
昨夜の喧嘩を思い出す。
言うのに、それなりに勇気が必要だった。だって、正直なるべくなら関わりたくないものだし、仮に立場が逆だとしても乗り気になれない相談だし。
でも、こういう関係にいる以上、そろそろ触れるべきことだと思ったからそうしたのに。
『最近、考えてたことなんですが……一度、私も京介さんのご両親にも会って、正式に挨拶に行ったほうが……』
緊張しながら、少し怖いとも思いながら言ったのに。
だけど、次の瞬間、彼は険しい表情を見せた。
『ダメだ』
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