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8 フローリアの心情
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邸に着いてからもお姫様抱っこで運ばれた先はシュナイザーの私室だった。
そこにあるソファーにやっと降ろされた。
でも、安心できる要素は全くない。腹黒そうな笑顔で私の体を挟むように両手をソファーにつけている。シュナイザーの腕の檻の中だからだ。
前世で壁ドンとか顎クイとか聞いたが相手が好きな人なら嬉しいのだろうか?
この笑顔でやられたらこれは恐怖でしかない。
「で、何を考えてたのかな?」
えーっと考え事?それだけでこんなブリザード監獄に入れられるの?
不満が顔に出てたみたいだ。私の顔を見て、言えないこと?と小首を傾げてこちらを見るが、笑顔が消えて無表情なだけに恐怖が倍増した。
あの腹黒そうな笑顔だけでも怖いのにそこから表情が抜けると更に恐怖が増す。
思い切り首を横に振る。目が回り、首がもげるかと思った。
あの時考えていたことは……
「し、新入生歓迎会でかなりの方が良き相手に巡り合えたと聞き、そんな方が出来なかった私は魅力がないのだなぁ…と」
これは本当の事。これ以外も考えていたけどね。それは本人の前では言えないわ。
シュナイザーはきょとんと本当にきょとんと音がしそうな表情になり
「何を言っているの?フローリアは誰にも負けないくらい魅力的で可愛いよ。」
家族の意見ほどあてにならないものはない。確かに今世の私は可愛い方だろう。更にエステのスペシャリスト侍女集団に毎日全身お手入れされているのだから素の私より2割りいや、もしかすると5割り増しだ。うん。パーティーの時は5割はいってた。良い仕事してるわ。給料アップを父にお願いしとかなくちゃ。結果は散々だったけど。
それにしてもこれ程大袈裟に言われてしまえば嬉しいより反対に慰められてる感が大きくなる。
「それは家族の贔屓目ですわ。
もし、お義兄様の言う通りなら私はモテモテのはずです。でも現実はどなたにも声をかけられることはありませんでしたもの。」
そう学園でブラコンシスコン兄妹!と有名なルルシュでさえ歓迎会の準備中にパートナーのお誘いがあったのだ。もちろんエリオットが見ていないところでだけど。しかもルルシュったらあっさりと断っていたし。もったいない。
「それはフローリアが魅力的すぎてみんなが声をかけるのを戸惑ってしまっているだけさ。」
シュナイザーは当たり前のように言うが、そんな訳ない。私を怯えたように見る人はいてもうっとりするような視線を受けたことがない。
シュナイザーも相当シスコンをこじらせているらしい。ここはスルーしておこう。
「お義兄様も私をずっと連れ回していたので話しかけたそうにしていたご令嬢もいらっしゃったのに、どなたともお知り合いになれなかったのでは?」
要するに私を連れ回すんじゃないよ。と暗に言っているのにシュナイザーは気にすることもなく
「大事なフローリアを1人にしておけないからね。」
いや、そこは1人にして欲しかった。本当の意味でのぼっちは嫌だけど。家族が側に居るのにアタックする度胸のある人はなかなかいないだろうからね。
私のためを思うなら1人にして婚約者とまではいかなくとも恋人を作ることくらいさせてほしい。だってまだまだ恋する年頃なんですもの。
そこにあるソファーにやっと降ろされた。
でも、安心できる要素は全くない。腹黒そうな笑顔で私の体を挟むように両手をソファーにつけている。シュナイザーの腕の檻の中だからだ。
前世で壁ドンとか顎クイとか聞いたが相手が好きな人なら嬉しいのだろうか?
この笑顔でやられたらこれは恐怖でしかない。
「で、何を考えてたのかな?」
えーっと考え事?それだけでこんなブリザード監獄に入れられるの?
不満が顔に出てたみたいだ。私の顔を見て、言えないこと?と小首を傾げてこちらを見るが、笑顔が消えて無表情なだけに恐怖が倍増した。
あの腹黒そうな笑顔だけでも怖いのにそこから表情が抜けると更に恐怖が増す。
思い切り首を横に振る。目が回り、首がもげるかと思った。
あの時考えていたことは……
「し、新入生歓迎会でかなりの方が良き相手に巡り合えたと聞き、そんな方が出来なかった私は魅力がないのだなぁ…と」
これは本当の事。これ以外も考えていたけどね。それは本人の前では言えないわ。
シュナイザーはきょとんと本当にきょとんと音がしそうな表情になり
「何を言っているの?フローリアは誰にも負けないくらい魅力的で可愛いよ。」
家族の意見ほどあてにならないものはない。確かに今世の私は可愛い方だろう。更にエステのスペシャリスト侍女集団に毎日全身お手入れされているのだから素の私より2割りいや、もしかすると5割り増しだ。うん。パーティーの時は5割はいってた。良い仕事してるわ。給料アップを父にお願いしとかなくちゃ。結果は散々だったけど。
それにしてもこれ程大袈裟に言われてしまえば嬉しいより反対に慰められてる感が大きくなる。
「それは家族の贔屓目ですわ。
もし、お義兄様の言う通りなら私はモテモテのはずです。でも現実はどなたにも声をかけられることはありませんでしたもの。」
そう学園でブラコンシスコン兄妹!と有名なルルシュでさえ歓迎会の準備中にパートナーのお誘いがあったのだ。もちろんエリオットが見ていないところでだけど。しかもルルシュったらあっさりと断っていたし。もったいない。
「それはフローリアが魅力的すぎてみんなが声をかけるのを戸惑ってしまっているだけさ。」
シュナイザーは当たり前のように言うが、そんな訳ない。私を怯えたように見る人はいてもうっとりするような視線を受けたことがない。
シュナイザーも相当シスコンをこじらせているらしい。ここはスルーしておこう。
「お義兄様も私をずっと連れ回していたので話しかけたそうにしていたご令嬢もいらっしゃったのに、どなたともお知り合いになれなかったのでは?」
要するに私を連れ回すんじゃないよ。と暗に言っているのにシュナイザーは気にすることもなく
「大事なフローリアを1人にしておけないからね。」
いや、そこは1人にして欲しかった。本当の意味でのぼっちは嫌だけど。家族が側に居るのにアタックする度胸のある人はなかなかいないだろうからね。
私のためを思うなら1人にして婚約者とまではいかなくとも恋人を作ることくらいさせてほしい。だってまだまだ恋する年頃なんですもの。
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